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この世界の廃神様 第一神実  作者: ZAB
第三章 〜《失踪》〜
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第63話 【歪ンダ月】

 僕...香角刻四は上昇しながら移動する龍の(うろこ)につかまる。

 彼女も...活田佳奈四もきっとつかまっているだろう。

 クソッ...今僕らはどこを飛んでいるんだ...。

 そう思った次の瞬間、龍が突然に急降下し始め......気づけば僕の体は水で包まれていた。

 僕はすぐに水面から顔を出す。

 そして、すぐに近くの陸に上がる。

 ここは...湖か......それも、僕らが朝まで野宿していた場所だ。

 この数分で、僕らの徒歩5・6時間分の距離を...。

 コイツは...次元が違いすぎる...。

 僕たちで相手になるかどうか...。

 でも、彼の...常立一重からの期待には応えないとな...。


 「行きましょう...活田さん!」


 僕は同じく陸に上がってきた彼女にそう言う。


 「ええ、行きましょう...2人で‼︎」


 彼女の言葉で僕は思い出す。

 そうだ...龍1匹に対して、僕らは2人。

 2人ともそれなりに戦闘経験はある...。

 希望はわずかだが...残されてはいる。

 絶望するのはまだ早い...!

 周囲が暗くなってくる。

 僕は龍がいるであろう湖を見つめる。

 すると突然、湖から巨大な2つの水の柱が伸びる。

 水は重力に引っ張られて湖に戻り、空中に残ったのは2匹の龍......ん?


 「2匹⁉︎」


 僕は思わず大声でそう叫んでしまう。

 元から2匹いたのか...いや、魔人が出したのは1匹だったはず...。

 とするならば...


 「一方は湖で長年、眠っていたということか。」


 これで...1対1になってしまったと...。

 龍はどちらも白い...ただ、長さが違う。


 「...っ」


 僕は無言で長い方の龍に向かって走り出す。

 遅れて活田も走り出す。

 そして、龍たちはこちらに向かって飛んでくる。

 僕は陸のギリギリで、魔力なしの全力で跳ぶ。

 僕は龍の顔にギリギリ乗ることができた。

 龍は先ほどとは異なり、木のスレスレを低空飛行する。

 僕はその勢いで落とされないようにしながら、いつも持っているナイフを手に持つ。

 そして、そのナイフを龍の目に突き刺そうとするが、龍の目に触れた瞬間ナイフが粉々になってしまう。


 「チッ...やはり無理か...。」


 僕はそう言いながら進行方向を見る。

 龍は依然として、低空飛行を続けている。

 しかし、森の中心あたりで龍は減速し、僕を上空に投げ出した。

 僕は何もできずにただ上昇し、落ちていく...。

 そして、その先には大きく開かれた龍の口...。

 次の瞬間、僕は上半身と下半身に分離した。

 下半身の僕は龍によって咀嚼(そしゃく)され、上半身の僕は振り落とされる。


 「あ...がっぇ............⁉︎」


 上半身の僕は地獄のようなその痛みに、ただ唸り声を上げることしかできなかった...。

 視線以外は動かせない...。

 動かす気力が湧かない...。

 その時、近くの木に何かがぶつかる音がする。

 見ると、その木には四肢を失った活田佳奈四が意識なく張り付いていた。

 空を見ると、2匹の龍が飛び交っていた。

 その奥からは、結界を通して歪んだ月の光が...。


 「なんでだ...?」


 僕は龍を見ながらそう呟く。

 僕の喉に血液が伝ってくる。


 「なんで、僕の...オレの力は......創造なんだ...。」


 ずっと思っていた。

 無から武器を創造する...確かにそれは強い力だが、直接的な攻撃方法にはならない。

 もっと、強い力......例えば...


 「──破壊の力...それさえあれば...」


 オレは理想を呟く。

 ただ、それは本当に理想だ。

 破壊の力で、大勢の人々を救うのも...結界をすぐに壊すのも...龍に殺されないのも...そして、他者を寄せ付けぬ最強の主人公になるのも......全て僕の理想に過ぎない。


 「オレに.........力があれば──‼︎」


 オレの、血液混じりのその声はほとんど周囲に響かない...。

 オレの理想は高すぎたのだろうか...?



 ――――――――――



 「フッ......いいだろう、人間。貴様に我の最強の技をぶつけてやろう...。」


 そういった魔人は、常立一重に左(てのひら)を向ける。

 私...石川花はそれをただ、見ていることしかできなかった...。

 今なら、魔道具を使って魔人を殺せるかもしれない......でも、なぜか体が動かせない...。

 私は、今目の前にいる2つの存在に怯えている...。

 私にこの2人は殺せない...そう体が言っている。

 悔しいが...今は見つめ、祈るしかない。

 常立一重の勝利を...。

 次の瞬間、魔人の左手から魔術が放たれる。

 それと少しズレて、常立一重の左腕が切り落とされ、周囲の木々が倒れる。

 今のは...風属性魔術?

 それにしては、あまりにも強すぎる...。

 これが、魔人の本気なのか...。

 常立一重と魔人は睨み合っている。

 すると突然、


 「貴様ァ...‼︎何をしたあああぁぁぁぁぁ‼︎」


 と魔人が叫ぶ。

 対して、常立一重は


 「流石に気づいたか...。自分の力量は理解しているみたいだね。」


 と冷静に返す。

 一体...何が起こったんだ......??

 私が見た限りでは、魔人が優勢だと思っていたが...実際は...。


 「貴様ァ...我の(じゅつ)を変えたな......それも、より強く‼︎我を舐めているのか...?」


 「そうだね。僕は君を舐めているし、舐めプとして君の攻撃を強化した。」


 私は、未だに話についていけてない。

 常立が...魔人の攻撃を強化した...?

 魔力なしでどうやって...?

 私の中に次々と疑問が積み上がってゆく。


 「でも、そんな舐めプもここまでだ...。」


 そう言いながら、常立は空を見上げる。

 空を見ると、満月が結界越しに歪んで見えた。

 彼の雰囲気が変わる...。


 「()(うたげ)の始まりだ」


 常立一重のその言葉と同時に、魔人の口から大量の黒い液体が流れ出てくる。

 魔人は、その場でしゃがみ込む...。

 すると、私たちを覆って魔力を封じていた結界が崩壊する。

 なんだ...?

 彼は...常立一重は何をしたんだ?

 私がそうして思考を巡らせている間に、彼は切り落とした左腕の回復と同時に謎の黒い物体で作られたローブと仮面を身につける。


 「満月...か。今宵は血が美しく光り輝くだろう...。」


 「なんなんだ...貴様は一体何者なんだああぁぁっ‼︎」


 「我が名は常立一重......この世界の廃神になる男だ!」


 彼はそう低く、でもよく響く声で名乗る。

もし、「面白い!」と感じて頂けたら『いいね』や『⭐︎』などで応援してもらえるとありがたいです‼︎

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