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この世界の廃神様 第一神実  作者: ZAB
第三章 〜《失踪》〜
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第62話 【答エ合ワセ】

 彼の...常立一重の目は今この瞬間に、初めて本当の私を見た。

 彼のその目からは、怒りを感じられた。

 ああ、また怒られる...。

 何を怠けたことを言っているんだ...と。

 何か役に立ってからそう言え...と。

 全部、私が悪い。

 私が、役立たずだから...


 「好きにしろ」


 「えっ...⁉︎」


 私は彼の言葉を信じられなかった。

 彼の、適当で...でも、決して否定はしない...その言葉が...。


 「い...今、なんて...?」


 「だから、君の好きにしろって言ったんだよ。君が見捨てられたいんなら...ね。」


 「...。」


 「君、1人で抱え込んじゃうタイプでしょ。懐かしいな...。」


 彼は何かを思い出すように微笑む。

 そして続ける。


 「苦しかったら、『助けて』って言ってもいいんだよ?別に絶対にそうしろとは言わないけど...。それに、」


 「それに...?」


 「生きて苦しむか...死んで苦しむか...。君はきっと、死んでも苦しみを味わうだろう。」


 「なんでそんなことが...」


 「君は昔の僕によく似ている...。だから、君のことがよく(わか)るんだよ...。」


 彼の瞳の黒がとんでもなく暗く見える...。

 まさか...彼が味わった苦しみは......。


 「まあ、結局最後に決めるのは君だ。僕にそれを決める権利はないからね...。」


 彼はそう言いながら私に背を向け、続けて


 「ただこれ以上、君が僕と同じ道を歩まないことを祈るよ...。」


 と言いながら、立ち去っていく。

 最後に決めるのは.........私。

 周囲はすっかり、明るくなっていた。



 ――――――――――



 森の中を歩きながら僕は反省会をする。

 少し、そっけなさすぎただろうか...。

 それとも、詰め寄りすぎただろうか...。

 そんな後悔ばかりが、ただ積もっていく。


 「まあ...いいか!」


 僕はそう呟く。

 考えすぎても仕方がない。

 あの言葉に対する返答として、完全な正解はない。

 でも、それを少しでも正解に近づけることはできる。


 「全てはここから......ってわけだ。」


 僕はそう呟きながら、先生たちのいるところへ向かう。

 それにしても、やはり暑い...。

 早く結界を壊さないとな...。

 元の場所に戻ると、愛莉と恵理が出発の準備をしていた。

 特に荷物のない先生2人は、木陰でくつろいでいる。

 香角先生は僕を見ると、


 「おお、無事でよかった...。一体どこ行ってたんだ?」


 と軽く言ってくる。


 「森の中を散歩していたら、花が鍛錬をしているところを見かけたんです。」


 「なるほど...花って言うと、豊野と戦った相手か。」


 「そうですね...。結果的に彼女たちとも仲間になれたので、魔力武闘会は開催して正解だったようですね...。」


 「本当に人生、何があるかわからないな...。」


 香角先生が決め台詞っぽく呟く。

 その時、花が戻ってくる。

 見た感じ、彼女はもうすでに準備を済ましていたらしい。

 愛莉と恵理も準備完了だ。


 「では、出発しよう...。」


 ここから約5時間......長くなりそうだ...。

 こうして僕ら6人は結界の端に向かうことになった...



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 なんだ...?

 何が起こったんだ...?

 僕らは6人で結界の端へ向かっていたはずだ...。

 気づけば、2人...愛莉と恵理がいなくなっていた。

 いや、違う。

 彼女らは吹き飛ばされたんだ...。

 今頃、どこかしらの木に当たっているだろう...。

 そして、2人を吹き飛ばしたのは...


 「君かい?」


 「何のことだ...?」


 僕は目の前に立っている人を睨みながら、そう問う。

 いや、こいつは人ではない...。

 全身が栄養を失ったように黒ずんでおり、過度に痩せ細ったその身体...。


 「君、魔人だな...。」


 「なっ...⁉︎魔人⁉︎」


 香角先生が驚く。

 活田先生と花も動揺している。

 やはり、僕以外の3人はついてこれていないようだ...。

 そんなことを考えていると、魔人が左手を前に出して


 「お見事だ、人間。」


 とだけ言う。

 すると、奴の左手から細長い何かが飛び出る。

 僕はそれを魔力なしでなんとか避けきる。

 しかし、香角先生と活田先生はそれに当たってしまう。

 次の瞬間、2人は細長い何かと共に、クネクネと上昇して飛んでいく。

 なるほど、あの細長いのは龍だったのか...。


 「2人は、その龍の相手をしてください!」


 僕はできる限り遠くまで響くようにそう叫ぶ。

 返事は聞こえなかったが...まあ、大丈夫だろう。

 それより...


 「君の方が面倒くさそうだね...。」


 「怪我をしておきながら、よくそんなことが言えるな...人間。」


 「ああ...この腹部の?これは致命傷にはならないから大丈夫。それよりさ...」


 「なんだ?」


 「魔人についての知識...答え合わせさせてくれない?」


 僕は興味津々で魔人にたずねる。

 後ろにいる花から、「何をしているの?」と言う視線を感じる...。


 「フッ......何を言い出すかと思えば...。いいだろう。どうせ最後だ、教えてやる。」


 「ありがとう。じゃあ、まずは...魔人は魔力の暴走で生まれる...この解釈は間違っていないね?」


 「ああ。」


 「だったら、動物の魔力暴走で生まれる魔物、そして人間の魔力暴走で生まれる魔人は似た存在ってことか。」


 僕は顎に手を当てながら独り言を呟く。

 花は動かない...いや、動けないの方が正しいかな?


 「...これで十分か?」


 「うーん...そうだなぁ...。じゃあ、あともう一つだけ...」


 僕は魔人をまっすぐ見つめ、ゆっくりと呟く。


 「君の最強の(ワザ)を僕にぶつけてくれ」

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