第58話 【死ナナイデ】
身体中に何かが巡るのを感じる。
僕は目を覚ます。
僕はうつ伏せに倒れていたようだ。
僕は立ち上がって、まずは自分の状態を確認する。
僕が着ていたフリゾンボディスーツが溶かされている。
僕はすぐにフリゾンボディスーツの形を戻し、次に部屋の中の状況を確認する。
部屋に集まっていた者は、僕を除いて全員死んでいる。
全員、死因は魔力の停滞だろう。
それだけ、今の人間は魔力に頼って生きているのか。
「色々と、考え直す必要がありそうだな...蘇生。」
僕はまず、部屋の中にいる8人を蘇生する。
そして、僕は窓の外を見る。
外はまだ暗い...。
白い光の柱は依然として残っている。
そして何より...
「これは酷いな...。」
城下町にいる人全てが、倒れている。
きっと全員、死んでいるだろう...。
その時、誰かが起き上がる音がする。
「早いな、豊野。」
僕は後ろを振り向き、そう言う。
「常立君...私は一体...」
「とりあえず、他の7人を見ておいてくれ。何かあったら、すぐに連絡すること。」
「常立君はどこに行くの...?」
「結界を使って、城下町にいる人全員を蘇生する。詳しい話は、その後にしよう。」
僕はそう言うと、すぐに部屋を出ていく。
とりあえず、結界の中心へ向かおう...。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
死体だらけの暗い城下町を走り抜ける。
白い光の柱は城下町からも見える。
きっと、ここで倒れている死体は、あの光の柱を見ようと外に出た人たちのものだろう...。
「ここら辺でいいか...。」
僕は結界のほぼ中心に着くと、そう言って真上に上昇する。
結界を抜けると、僕は結界の上に立つ。
しゃがんで、右手で結界に触れる。
とその時、僕はふと気になって、自分の残り魔力量をMyパネルで確認する。
数値は...200⁉︎
僕はその数字を見て、思わず驚く。
今までずっと、カンストの数字しか見てこなかったから、驚くのも仕方がない。
原因はおそらく、自分の蘇生のための条件発動魔術だろう。
あれは、体外に放出した魔力で魔術を発動するから、条件を満たすまでずっと魔力を放出し続けなければならない。
さらに、ただ放出した魔力に自身を溶かす神術とは違い、条件発動魔術は体外で魔術を発動しなければならないため、神術よりも多く魔力を要する。
「でも、ここまでとは...」
僕はそう呟きながらフリゾンで作られた試験管を取り出す。
試験管にはゼリー状の何かが入っている。
僕はその中身を一気に飲み込む。
すると、さっきまで少しずつしか増えていなかったパネルの数値が一瞬でカンスト...999999になる。
「備えあれば憂いなし...ってやつだな。」
僕はそう言うと、また結界に右手で触れる。
そして...
「蘇生‼︎」
そう強く唱える...。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
城の最上階の部屋にて...
「ふぅ...」
僕はため息をつきながら、深々とソファに腰掛ける。
「お疲れ様です、廃神様!」
「うん...」
あの後...住民の蘇生をした後、白い光の柱は消えていた。
しかし、部屋に残っていた8人で方角を特定した結果、例の柱は沖縄にある可能性が出てきたそうだ。
「沖縄......かぁ...。」
僕は静かに呟く。
でも、その呟きは静寂に包まれた部屋全体によく伝わる。
宇地原先輩と須田先輩に言ってもらっていた調査では唯一、沖縄の結果がない。
沖縄までの陸路が存在しないからだ。
「さてと...調査で沖縄に行く者を募ろうと思うが...」
誰も名乗り出ない...。
そりゃそうだ。
6月のそこそこ暑い梅雨の沖縄に、それも調査で行きたがる者はいないだろう...。
だったら...
「ジャンケンで決める!」
「え...廃神様、今なんと...」
「ジャンケンで沖縄調査に行く者を決める‼︎」
「はあ...」
部屋が再び静寂に包まれる。
「まず、前提として僕は調査に行く。それに伴って、神術を扱える豊野はこの城に残ってもらう。」
「うしっ‼︎」
豊野が静かにガッツポーズをとる。
「と言うことで、残りの7人から2人を選ぶこととする。ジャン負けで2人、選ぶぞ。」
僕がそう言うと、7人がグーの手を前に出す。
「最初はグー......ジャンケン...ポイッ‼︎」
「「ぬあああぁぁぁぁぁ」」
勝負は一回で決まった。
ある2人のみグー、他は全員パーだ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
1週間後。
城門の内側には豊野...宇地原先輩...須田先輩...富地...乃々華...灯也の6人がいる。
この7人はジャンケンで勝った者たちだ。
そして、城門の外には僕...香角先生...活田先生の3人がいる。
ジャンケンで負けたのは香角先生と活田先生だった...。
「じゃあ...行ってくる。」
僕は6人に向かってそう言う。
すると、
「常立君‼︎あと、先生方も...絶対に死なないで‼︎」
と豊野が言う。
なんか死亡フラグみたいだけど...
「大丈夫だ。僕を誰だと思ってる?僕は...廃神になる者だぞ。」
「そっか...じゃあね!...廃神様‼︎」
「ああ...じゃあな!」
豊野の言葉に僕はそう返し、城門から離れるように歩き始める。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
城下町の結界付近に到着する。
僕らは結界をゆっくりと通り抜ける。
結界の周辺にあった建物は僕の神術でほとんど消えている。
でも、ここから遠くの方にうっすらとビル群が見える。
ここから先...僕らにとっては未開の地だ。
頼れるのは、先輩たちの調査結果と自らの実力だけ...。
「行きましょう!」
「「ああ。」」
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