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この世界の廃神様 第一神実  作者: ZAB
第三章 〜《失踪》〜
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第56話 【訓練場ニテ】

  旧東京都千代田区千代田1−1にそびえたつ城の訓練場...。

 そこには、僕を含めた9人の人物が集まっていた。

 豊野(トヨノ)二千花(ニチカ)...宇地原(ウチハラ)三令(ミレイ)...須田(スダ)智三(トモミ)...香角(カスミ)刻四(トキヨ)...活田(イケダ)佳奈四(カナヨ)...五藤(ゴトウ)富地(トミジ)...五藤(ゴトウ)乃々華(ノノカ)...河谷(カワタニ)灯也(トウヤ)...そして僕、常立(トコダチ)一重(ヒトエ)

 訓練場内の戦闘フィールド内には、僕と香角先生がいる。

 他の7人はフィールドの外から、向かい合う僕らを静かに見つめている。

 そんな沈黙の中、審判役の灯也が


 「2人とも、位置について......よーい...始め!」


 と言う。

 それと同時に、僕と香角先生は互いに走って間合いを詰める。

 彼はその最中にフリゾンソードを作り、右手に構える。

 そして、その剣を前に突き出す。

 僕はその突きをフリゾンボディスーツの質量操作で、上に避ける。

 彼の頭上を悠々と飛び越えた僕は空中で振り向き、彼の背中に向かってフリゾン弾を撃つ。

 彼はそれを感じ取ったのか、すぐに僕の方を向き、左手でフリゾンウォールを作り出す。

 このタイミングで、僕はまた彼との距離を詰める。

 彼がフリゾンウォールをしまうタイミングと同時に僕はフリゾンソードで切りかかる。

 と、僕を除いたこの場にいる全員が思っただろう。

 そう、僕を除いてね...。

 フリゾンの恐ろしさを1番知っているのは、フリゾンを1番使い続けてきた僕だ。

 香角先生が、フリゾンウォールに左手を当てる。

 すると、フリゾンウォールの表面がトゲ状になり、僕の体が見事に刺さる。

 彼はそれを確認するとすぐにフリゾンウォールをしまう。

 が、彼の左手にはまだフリゾンが残っている。

 そのフリゾンは次第に広がり、彼の左腕を覆ってしまう。

 彼は慌てて、フリゾンを振り落とそうとするがフリゾンはしっかり彼の腕にくっついている。

 左手で魔術を扱う彼にとって、これは致命的な痛手だ。

 そして、彼が正面に視線を戻すと...


 「そこに僕がいるってこと...。」


 彼の正面に僕はずっと立っていた。

 彼がフリゾンウォールを展開してから動いていた僕は、フリゾンで作った分身だ。

 そこから僕の本体は、フリゾンで包み込んで周囲の風景に溶け込んでいた。

 僕は今度こそ本当に、香角先生との距離を詰める。

 左手に持ったフリゾンソードで、彼に切りかかる。

 左手の使えない彼はフリゾンも使えない...。

 この勝負...僕の勝ちだ!

 次の瞬間...訓練場に響いたのは血の飛び散る音ではなく、高い金属音だった。

 見ると、僕のフリゾンソードは彼の右手に握られた剣と交わっている。

 これは...創造魔術......右手でも使えたのか...。


 「やるじゃないですか...先生。でも......あなたの左手の主導権は、僕が握ってるんですよ...?」


 「何.........うおっ⁉︎」


 突然、フリゾンで覆われた彼の左手が彼の右手首を掴む。

 そして、左手を覆っていたフリゾンが右手へとさらに広がる。

 これで、彼の両手は僕の物だ。

 僕は彼に、武器を捨てさせてついでに両手を上げさせる。


 「これで終わりですね...。」


 僕はわざとらしくそう言う。

 ...おかしい。

 灯也が試合終了の合図を出さない...。

 彼は蘇生の手間を省く為、どちらかが死ぬ前に勝敗を決めるはずだ...。

 なぜ彼はまだ試合を続ける...?

 ......まさか...まだ試合は...⁉︎

 僕は咄嗟に頭を左に傾ける。

 すると、僕の顔のすぐ横を後ろから一本のナイフが通り過ぎて...


 「ぐへぇ⁉︎」


 香角先生の(ひたい)に突き刺さる...。

 そこでようやく灯也が、


 「試合終了!」


 と言う。

 僕はそれと同時に香角先生の両手を覆っていたフリゾンをしまう。

 すると、彼の体は後ろに倒れてしまう。

 あ、やばい...死んじゃった?

 僕はすぐに彼に近づき、状態を確認する。

 彼の額にはナイフが深々と刺さっている...。

 脈は......ある!


 「良かったぁ...」


 僕は一旦、落ち着く。

 まあ、死んじゃっても蘇生(リ・バース)使えば良いんだけどね...。

 僕はすぐに彼からナイフを抜き取り、回復(リカバリー)で傷を癒す。

 死んでいないとはいえ、早期治療は大事だ。

 回復が終わると僕は、彼の頬をペチペチ叩きながら


 「先生〜起きてくださーい」


 と言って起こす。

 すると、彼はすぐに目を覚ます。


 「...ッファ⁉︎ここは...僕は......ああ、そうか。負けたのか...。」


 「やっぱり、武器を作るときはフリゾンより創造魔術の方が便利ですね...。フリゾンは防御メインで使うのが良いかもしれません。」


 僕は彼の腕を引いて起こしながら、そう言う。


 「そうだな...。ありがとう、色々掴めた気がするよ。」


 「なら良かったです。」


 魔力武闘会が終わってから1週間後の今日、僕らはフリゾンを用いた戦闘訓練を行った。

 以前、赤い装束の男から「他者に魔力を与えることで、その者もフリゾンを扱えるようになる」という情報をもらった。

 それをもとに、まずは豊野に魔力武闘会の表彰式の打ち合わせの場で、僕の魔力を溶かしたドリンクを飲ませた。

 その後の苦創者のノナとの戦闘で彼女はフリゾンを問題なく扱えていたため、今日は他の人にも試してみた。

 結果、全員フリゾンを使いこなせるようになったから大丈夫だろう。

 これなら...3冊の書物を探すのもよりスムーズにできるだろう。

 これでやっと、フリゾンの研究が終わる...。

 ただ...まだやらなきゃいけないことは残っている。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 同じ日の夕方、僕は訓練場である詠唱を唱えていた。


 「虚実融合(バーチャル)......虚実融合(バーチャル)‼︎...う〜ん、やっぱりできないなぁ...。あの時はノリと勢いでギリできた感じだったし...。」


 「あっ...ここにいた!」


 訓練場の入り口から声が聞こえてくる。

 見るとそこには、豊野がいた。

 豊野はこっちに駆け寄りながら、


 「ごめん...集中してた?」


 と申し訳なさそうに聞いてくる。


 「いや、全然。それよりなんの用事?」


 「ああ、この前の表彰式で使ったゲートからものを取り出すやつ?...について聞きたくて...。」


 「あれねぇ......あれは確か、2週間前のちょうど魔力武闘会の期間中のことだ...」


 「ねえ、待って...。もしかして、長い回想始まろうとしてない?」


 「そうだけど?」


 「もう少し簡潔に説明てくれるとありがたいかな...。」


 「そ、そうか。じゃあ簡潔にすると...フリゾンの質量操作で質量を虚数にしてみたのよ。」


 「うん。」


 「そしたらそのフリゾンが一気に小さくなって、見えなくなったと思ったら今度はゲートみたいのが出てきたんだ。」


 「へぇ...つまり、フリゾンの質量を虚数に設定すると謎のゲートができる...っていうこと?」


 「そゆこと。んで、そのゲートに入った先はなんと...」


 「え待って...なんの躊躇(ちゅうちょ)もなくゲートに入ったの⁉︎好奇心旺盛だな...。」


 「ゲートが現れたらすぐ入るだろう?まあいいや、それでゲートの中には平坦な黒い地面と白い空のある世界が広がっていたんだ。」


 「う〜ん...なんかイメージしにくいな...。」


 「じゃあ行ってみる?」


 「えっ...今行けるの?」


 「うん...虚実融合(バーチャル)。あ、成功した。」


 僕が右手を前に出しながら唱えると、例のゲートが開く。

 さっきまで成功しなかったんだけど...何か条件でもあるのか...?

 僕はそんなことを考えながらゲートに入っていく。

もし、「面白い!」と感じて頂けたら『いいね』や『⭐︎』などで応援してもらえるとありがたいです‼︎

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