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この世界の廃神様 第一神実  作者: ZAB
第二章 〜《魔力武闘会》〜
54/82

第54話 【『オレ』ハ.........】


 「なるほど...ノナが()られたか...。」


 円卓の周りに設置された十脚の席のうちの一つに座りながら、僕はそう言う。


 「デカを殺られてから1ヶ月...予定よりも(はる)かに早いな。」


 「ノナを殺した者は、デカを殺した者とは別人...これが何を意味するか、あなたはわかる?」


 声のする方を見ると、そこには白い装束を見に(まと)った女性がいる。

 彼女の顔は、「参」と書かれた布で覆われている。


 「向こうには、神術を扱える者が少なくとも2人はいる...ということか。」


 「そう。そして、そのうちの1人が...」


 「常立一重」


 その時、部屋の扉が開いて、1人の少年が入ってくる。


 「少し、遅かったね...。まあ、ゆっくり進めていこうじゃないか。」


 「黙れ。...俺は用件が済んだらすぐに出発する。お前らの茶番に付き合うつもりは微塵(みじん)もない。」


 白いローブに身を包み、「肆」と書かれた白い仮面で顔を隠している少年が言う。

 彼は席に座ろうとしない。


 「わかった。では、単刀直入に言おう。ノナが殺された。」


 「...まさか、それだけのために俺を呼んだんじゃないだろうな?」


 「いや...それだけだけど?」


 次の瞬間、彼の背後から伸びた白い物質が僕の首のすぐ横に到達する。


 「あまり、調子に乗るなよ...。俺は急いでいるんだ...。」


 「冗談だよ...冗談。問題は、ノナを殺したのが常立一重でないことだ。」


 「そうか。」


 「もっと興味を持たないのかい?」


 「俺が求めているのは常立一重だけだ。他の奴に興味はない。」


 そう言って彼は部屋を出て行こうとする。


 「どこに行くんだい?」


 「...沖縄だ。」


 「旅行かい?」


 「違う。あのお方の(めい)だ。」


 「そうか...じゃあ、死なないでね。」


 「お前...俺はデカたちのように簡単には死なないぞ...。」


 「それは分かってる...でも、君は僕には勝てない......そして、常立一重にも...。」


 「チッ......勝手にほざいていろ...。」


 そう言って、少年は部屋を出ていく。

 それと同時に、席に座っていた女性が立ち上がる。


 「君も行くのか...(di)。」


 「だって、もう話すことはないでしょう?」


 「まあ、そうだが......それより君は何をするんだい?」


 「漫画読む...。もうすぐ忙しくなりそうだから...それまでには......」


 「ああ......そうか。...もう行っていいぞ。」


 「じゃあ、遠慮なく...」


 そう言いながら彼女は静かに部屋を出ていく。

 静かになった部屋で、白い装束を見に纏って「弐」と書かれた布で顔を隠した僕...モノ(mono)は、ため息をつく。

 そして、


 「常立一重......僕は...君を.........。」


 と呟く。



 ――――――――――



 豊野の部屋を出た僕...常立一重は、富地と乃々華を連れて廊下を歩いている。

 そして、ある扉の前で止まり、扉を開ける。


 「これが、部屋だけど......本当に2人一緒で大丈夫か?」


 「大丈夫だよ。だってボクら、つい最近まで同じ病室で過ごしてたんだもん!」


 僕の質問に乃々華が答える。


 「2人とも...少し良いか......?」


 部屋に入って僕はそう言う。

 そして、2人に向けて深く頭を下げながら


 「ごめん」


 と言う。


 「えっ...何が...?」


 「あの時...9年前の事件の時に2人を置いて僕は逃げた。僕は...2人を見捨てたんだ......。君らに何を言われても...何をされても...僕は文句を言えない。だって...僕がやったことは.........」


 「ちょっと待って‼︎そのことで、ボクらから言いたいことがあるんだけど...良いかな?」


 僕は乃々華の予想外の返答に動揺する。


 「えっ......も、もちろん...」


 「実はさ...一重兄ちゃんの起こしたマッチの火さ......すぐ消せたんだよね...。」


 「...どゆこと?」


 「つまり、校舎が全焼した原因は一重の起こした火ではないということだ。」


 僕の疑問を富地が解消してくれる。


 「え、待って。それって僕以外にも火を起こした人物がいるってこと⁉︎」


 「ああ、そういうことだ。」


 「そう...なのか......でも、僕が2人を置いて逃げたのは事実だし...」


 「あーそうだ、それで思い出したんだけど...一応ボクらも昇降口までは逃げれたんだよね...。でも、昇降口でいきなり動けなくなって......もし、一重兄ちゃんが助けに来ても巻き添えになるだけだったかもだから...あんまり気にしないで。」


 「そうか...そうなんだな......。ありがとう、少しだけ気が楽になった気がする...。本当に良かったよ...2人が生きていてくれて......。」


 そう言った僕の頬に涙が伝う。


 「当分はこの城でゆっくりしていてくれ。僕もしばらくはここに滞在するから、何かあれば僕の部屋に来てね。」


 「りょーかい!」


 「じゃあ...おやすみ。」


 「「おやすみ」」


 僕は部屋を出る。

 改めて2人の無事を喜ぶ一方で、僕の脳裏によぎる宇摩(ウマ)阿比留(アビル)の存在...。

 もし彼が、校舎を全焼させた火を起こした犯人だとしたら...


 「()()は.........()()()を...」

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