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この世界の廃神様 第一神実  作者: ZAB
第二章 〜《魔力武闘会》〜
53/82

第53話 【良カッタ】

 私の振るう力は弱き者を守るためになくてはならない...

 私が悪を打ち倒さなければならない...

 これは...神が私に与えた使命...

 だから......魔物も...PKも...そして、目の前にいるこの金髪の男も...全て.........


 「()()()()()()


 私はそう叫ぶと、フリゾンで杖を作り出す。

 ノナはそんな私を警戒してか、様々な属性魔法で攻撃してくる。

 しかし、それらはフリゾンウォールの目の前では無力。

 私はそれを見ながら、杖を右手で掴み......左掌(ひだりてのひら)に突き刺す。

 左手を貫いた杖に、私の血液が枝分かれするように張り巡らされていく。


 「ひっ──⁉︎な...なんだよそれ⁉︎」


 ノナが私の奇行を見てそう言う。

 私は構わず、杖の刺さった左掌を奴に向ける。


 「最強の(ワザ)の前で(つい)えろ...」


 「なっ...お前...何を言って──」


 『神術:魔滅核閃(マメツカッセン)


 そう私が言った次の瞬間、ノナの体が指先から徐々に崩れていく。

 彼はすぐにそれに気づき、


 「あれっ?なんだよ...これ?嘘だろ...嘘だよなぁ?」


 と言いながら慌てる。

 でも、もう遅い。

 彼の体はもう、崩壊するしかない。

 回復魔法も使えない。

 彼の体には魔力が通っていないからだ。


 「いやだ...‼︎こんなの...俺...死ぬの...?」


 彼の胴体が完全に崩壊すると、彼はもう喋らなくなった。

 そして静寂に包まれながら、彼の体は全て崩壊しきった...。

 私は気配を感じて、入り口の方を見る。

 そこには、常立君といきなり現れた双子がいた。

 私は彼らに駆け寄ろうとするが、一歩目を踏み出した瞬間、私の体から力が抜ける。

 私の体は、糸の切れた操り人形のように倒れる。

 それと時を同じくして、私の意識は途絶える。



 ――――――――――



 表彰式同日の23時...。

 僕...常立一重は、城内の豊野の部屋にいる。

 椅子に座っている僕のすぐ横のベッドで、彼女は眠っている。

 僕は、あの時の状況を思い出す。

 まず、豊野が神術でノナを倒した。

 そして、彼女は僕たちの方を振り返って、こちらに走ってこようとした。

 が、彼女はその場で倒れ、気絶した...と。

 色々と疑問点があるが、とりあえず彼女が生きていてくれて良かった。

 っと思った時、彼女の目が開く。

 彼女の瞳がこちらに向く。

 瞳の色はいつも通りの青色だ。


 「ここは...一体......」


 「安心しろ、ここは君の部屋だ。それより、体はどこか痛まないか?」


 「えっ...うん...大丈夫......たぶん。」


 「そうか...なら良かった。いきなり倒れたから、結構心配したんだ......」


 僕がそこまで言うと、廊下の方から...


 「誰だお前‼︎」


 という富地の声と、それに答えるように...


 「おっ...落ち着いて‼︎ぼ...僕は決して、怪しい者では......僕はただ、廃神様にお会いしたくて...」


 という声が聞こえてくる。

 この声は...。

 僕は部屋と廊下を仕切るドアに近づき、おそるおそる開ける。

 やっぱりか...。


 「灯也...一体どこにいたんだ?地味に心配してたんだぞ...。」


 「は...廃神様......申し訳ございません...。」


 「んで...どこに行ってたんだ?」


 「ラーメン」


 「ん⁇」


 聞き間違いだろうか...?

 彼のことだから、きっと監禁されていて、そこからなんとか抜け出せた...と言うと思っていたんだけど...


 「ラーメン.........食べてました。」


 ラーメンかよ!

 ラーメン食ってただけかよ‼︎

 僕はため息をつきながら


 「まあ、分かった。とりあえず、全員部屋に入ろう...。」


 と言い、富地と乃々華と灯也を豊野の部屋に入れる。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 「なるほど...じゃあ、灯也はノナとオクタを追っている途中にラーメン屋でラーメンを食べたところ、2人を見失ったんだな...。」


 「はい...。」


 「本当だったら何かしら罰を与えたいところだが、灯也がラーメンを食べたおかげで富地と乃々華にも会えて、豊野の神術を見ることもできた...と言っても過言ではないからな......」


 「と...言うことは......」


 「今後の行動次第...かな。」


 「あ...ありがとうございます‼︎」


 灯也は僕に向けて深く礼をする。

 っていうか灯也ってラーメン好きなんだ...。

 任務を放棄するほどって...。

 なんか無性にラーメンが食べたくなってきた...。

 今度、灯也に良い店教えてもらおう。


 「っていうかさ...徳川家常の正体は常立君だったじゃん?」


 話が一段落つき、ベッドに座っている豊野が聞いてくる。


 「ああ、そうだな。」


 「だったら、トーナメントに出場していた常立君はなんだったの?常立君の試合の時も徳川はいた気がするけど...。」


 「ああ...あれね。フリゾンで僕の体を作って、それを遠隔操作したんだ。いやー...大変だったよ...。僕から離れすぎると動かせなくなっちゃうからね。」


 「そっちも色々と大変だったんだね...。てか、そもそもなんで正体隠して武闘会を開催したの?」


 「一番の理由は、かっこいいからだけど......もし僕が主催者だとノナとオクタが知れば、2人は姿を表さなかったかも...と考えると、結果的には良かったのかなぁ...って思ってる。」


 「あー...かっこいい......。ふーん...そんな理由で...」


 「なんか...ごめん...。」


 僕は豊野に気圧(けお)されて、なんとなく謝る。

 その後、豊野・富地・乃々華・灯也の4人は改めて自己紹介をし始める。

 皆、楽しそうだ。

 「良かった...。」

 僕の中でそんなセリフが浮かんでくる。

 たしかに...良かったな。

 結果的には、ほぼ全てがうまくいった。

 豊野は神術を会得し、富地と乃々華とは無事に再会できた...。

 本当に...本当に......


 「良かった。」


 僕は4人が話している中で、誰にも聞こえないよう静かに呟く。

もし、「面白い!」と感じて頂けたら『いいね』や『⭐︎』などで応援してもらえるとありがたいです‼︎

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