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この世界の廃神様 第一神実  作者: ZAB
第二章 〜《魔力武闘会》〜
48/82

第48話 【勝トウ】

挿絵(By みてみん) 

 魔力武闘会トーナメント4日目午前。

 私...豊野二千花は控え室で杖の最終調整を行なっている。

 今回の相手は活田佳奈四...創造の力の持ち主だ。

 彼女は様々な種類の武器を創ることができる。

 ただ、その創れる武器の量には限りがある...と思う。

 て言うか、無限に武器創れたら彼女の魔力が無限ってことだからね...。


 「そしたら終わりだな...。」


 そんなことを考えていると、もう試合の時間だ。


 「行くか...」


 そう言い、私は控え室を出ていく。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 私は、北側の入り口から入場していく。

 正面には、活田先生...。

 彼女も私も所定の位置につく。

 私の心臓の拍動が体全体に伝わる。

 ああ、久々の緊張だ...。

 そういえば、魔力を手に入れてから今までの2ヶ月間、こんな正式な場所で、こんな強者と戦ったことなかったな...。

 心の中のわずかな興奮を私は楽しむ。


 「やっと、本気で戦えるわね。」


 彼女は創った双剣を両手に逆手で持ちながら、そう言う。

 私は杖の端を彼女に向けながら、


 「ほんっと...待ちくたびれましたよ!...早くやりましょ‼︎」


 と返す。

 彼女はそれに対して(うなず)くだけだった。

 彼女が一歩、踏み出す。

 すると、彼女の姿が消える。

 私は嫌な予感がして、体を反らす。

 次の瞬間、私の頬に傷ができる。

 そして、背後には彼女が...。

 どうやら私の嫌な予感が的中したようだ。

 私はすぐに彼女に杖を向け、魔法を発動しようとするが、


 「させないわ──疾風(ゲイル)‼︎」


 と、彼女に杖を飛ばされてしまう。

 私の杖は私の背後にある。

 杖を拾おうとすれば攻撃されて終わる。

 だったら...


 「杖なんていらないや!」


 「はぁ⁉︎」


 私は、彼女に向かってまっすぐ走っていく。

 そして私は、彼女の顔にグーパンをヒット...はせず、勝手に避けてくれた彼女の背後に回る。

 彼女は当然、私の首目掛けて双剣を振ろうとするが...


 「遅い...」


 私がそう言った瞬間、彼女の双剣の動きが止まる。

 私の左手には杖が、彼女の腹部には大きな風穴がある。


 「少し離れている武器は、自身の魔力が少しでも付着していれば自由に動かせる...まさか、暇つぶしの鍛錬中に見つけた法則がこんなとこで使えるなんてね...。」


 私は彼女にだけ聞こえるくらいの声でそう呟く。

 彼女は下を向き、立ち尽くしている。

 あれ...生きてるよね?

 私は彼女の顔を覗き込む。

 すると、彼女はいきなり顔をあげて笑い出す。


 「いや〜...強いね、豊野さんも。これなら、常立君の件も安心して任せられる...!」


 私は元気に喋る活田先生を見て安心する。

 彼女は続けて、


 「きっと決勝に進んであなたと戦うのは常立君よ。彼の目的が何なのかはわからないけど、あなたが優勝を目指すということに変わりはないわ。豊野さん...頑張ってね‼︎」


 と言いながら、拳を前に出す。

 私は自身の拳をそれに合わせながら、


 「もちろん‼︎」


 と返す。

 勝とう、と本気で思った。



 ――――――――――

挿絵(By みてみん)

 魔力武闘会トーナメント4日目午後。

 控え室で僕...香角刻四は、タバコを吸う。

 初めてタバコを吸った時は微妙だと思った...っていうか今もそう思っているが、吸うと落ち着くから、疲れた時や緊張している時はよく吸うようになった。

 体に害があることは分かっているが、それは回復魔法で補えるわけで...。

 もしかして、これからの時代はタバコが流行(はや)るのでは?

 ちょっと今度、常立に相談してみよっかな...


 「ってそうじゃん...僕、今からそいつと戦うんじゃん...。」


 そう、僕がこれから戦う相手は常立一重。

 廃神...すなわち最強を目指す最強だ。

 彼は今の状態でも十分(じゅうぶん)強い。

 なんか、かみわざ(?)ってので周囲の物を全て消せるらしい...。

 うん、勝てるわけないじゃん!


 「どうしよう、どうしよう...。こう無駄なことを考えてる間にも試合が迫ってる...。とりあえず試合開始までに3つは策を考えなきゃ...。えっと、試合開始まであと...5分⁉︎じゃあ、1つの策を考えるのに使える時間は...ってこんなことしてる場合じゃないってば‼︎」



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 闘技場の真ん中で常立一重と向き合う。

 彼の目に光はない。

 僕の戦いに策はない。

 5分はあっという間だった...。


 「常立君、君の目的は一体何なんだ?」


 僕は剣を創りながら彼に問う。

 しかし彼は何も答えず、フリゾンで剣を作る。

 そして、こちらに向かって走ってくる。

 攻撃される!

 僕はそう思い、咄嗟に剣を彼との間に構える。

 彼の剣と僕の剣が交わる。


 「お......重い...。」


 彼の剣は重かった。

 まるでダンプカーを時速100kmで突っ込ませたかのように...。

 これはやばい...腕と剣、共に折れそうだ。

 そんなことを考えた瞬間、彼の剣が僕の剣と右腕をまとめて切る。


 「い゛っっっ──⁉︎」


 僕は猛烈(もうれつ)な痛みに思わずしゃがみ込む。

 僕のすぐ近くに右腕が落ちている。

 彼は僕と距離を取りその場で立ち止まる。

 まだ僕を警戒しているのか......説得は不可能だな。


 「そうか...()()の答えはそれなんだな?」


 オレは右腕を拾って、回復(リカバリー)で繋げる。


 「だったら、こっちも容赦なく叩き潰してやるよ‼︎」


 オレは左手を地面につける。

 すると、地面から数多の槍が生えてくる。

 槍は3mくらい上昇すると、常立に先端を向ける。

 そして、


 「()れ‼︎」


 と、オレが言うと、常立に向かって数多の槍が高速で飛んでいく。

 だが、それらの槍は全て、フリゾンの壁によって防がれる。

 そんなこと分かってた。

 だからオレは槍の質にこだわってはいない。

 オレは槍の量で戦う。

 質より量ってやつだ‼︎

 壁の強度や修復を槍の量で超える。

 これがオレの創った攻略法だ。

 フリゾンの壁に(わず)かだが、穴ができ始める。

 できる穴の数は次第に多くなり、遂に一本の槍が常立の体を貫く。

 来た‼︎‼︎

 いいぞ...殺れるぞ......常立一重に勝てる‼︎‼︎


 「あれ?」


 何だ...これは...?

 全身の感覚が...途切れた...?


 「......ッハ...グラッッギィィァァ.........」


 全身からの激烈(げきれつ)な痛みに思わず声を吐き出す。

 オレは自身の両手を見る。

 すると、両手に限らず全身から太く長い針のようなものが突き出ていた。

 これは...フリゾン...右腕を切られた時に侵入したのか...?


 「なんだよこれ...嘘だろ......」


 ずっとオレの負けは決まってたのかよ...。

 オレは...常立一重に勝てなかったのかよ...。


 「嘘...だと......言って...くれ.........よ...」



 ――――――――――



 「終わったか...」


 特別観客室の席に深く腰をかけた德川家常がそう言う。

 彼の目には安堵(あんど)感と寂しさがあった。

 彼は続けて、


 「ついに、盤面が完成した。もうまもなく、奴らが...()()()()()が動き出すだろう...。そろそろ、奴らを尾行してくれるか?」


 と言う。

 僕...河谷灯也はそれに対し、


 「承知いたしました。」


 とだけ言い、部屋を出ていく。

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