第44話 【努力デ完璧ヲ】
魔力武闘会トーナメント2日目の1試合目が終わる。
「勝者は河谷灯也...か。」
私...豊野二千花はため息混じりにそう呟く。
「まあ、彼はフリゾンを使えるからね...。ところで、次は香角さんの試合だよ。」
私の隣で活田先生が言う。
私はそれを聞いてトーナメント表を見る。
次は香角先生と髙橋 愛莉っていう女との試合だ。
「そういえばこの前、町で香角先生に会ったんですけどその時あの人、何着てたと思います?」
私は準備期間中のことを思い出しながら活田先生に問題を出す。
「う〜ん...わざわざ聞くってことは、よほど印象的なものよね......。顔が見えない全身金装備...とか?...やっぱり分からないわ。答えは?」
「はっぴ」
「ン⁇⁇」
「はっぴ です。」
我慢できなくなった彼女は腹を抱えて笑う。
「はっぴ ってwwおじさんかよww」
そうして2分くらい笑い続けた彼女は
「いや〜...あの人も随分、丸くなったね〜」
と言う。
私はその言葉に疑問を感じ、質問する。
「活田先生は香角先生の過去のこと、知ってるんですか?」
「私たち、実は高校の頃からずっと一緒なの。彼が覚えているかは分からないけど、彼は高校の頃は完璧な生徒だったのよ。」
私は彼女の話を聞きながら、完璧な香角先生の姿を思い浮かべようとする......が、無理だった。
「当時の私はそんな彼に憧れて、自分も完璧になろうとした。でも私は結局、周囲からの期待に耐えられなくなった。その時、気づいたの。私は彼に追いつけない...ってね。」
と言う。
そして彼女は続けて
「彼には才能がある。だから才能のない私では追いつけないって...ずっと思ってた。でも、教員になって...教師としての彼を見て、やっと理解できた。」
と言う。
その時、選手の2人が入場して来る。
「彼は努力で完璧を創り出したんだって...。」
そう言う彼女は香角先生に祈るような眼差しを向けている。
彼女から話を聞いたからだろうか、彼がいつもとは違って見える気がする...
「5秒でけりをつけてやる‼︎」
前言撤回だ。
彼の今の言葉で見え方が戻った。
やっぱりどう頑張っても今の彼は完璧に見えない。
でも、どうやって5秒で終わらすのかは気になる。
相手は盾を持っているから、攻撃しづらそうだけど...。
「あっそ。お好きにどうぞ‼︎」
相手の髙橋愛莉はそう言いながら一歩踏み出す。
そして、二歩目から一気に彼との距離を詰める。
最後に彼の首目掛けて短剣が振るわれた...と思ったその時、
「言っただろう、5秒で終わらす...と。」
目にも留まらぬ速さで彼女の背後をとった香角先生が、落ち着いた声で言う。
彼は彼女の首をいつでも切れるよう、短刀を構えている。
「なんで切らないの...首。」
「主人公はレディーを傷つけないのさ。」
彼は彼女の質問に対してキモさ100%の回答で返す。
あんた、この前の鍛錬で私に容赦なく切りかかってきたよな...?
「あとは......たとえ切ってもさ、何も生まれないだろ?」
珍しく彼がまともな声で、まともなことを言う。
まあ、私に切りかかってきたことは忘れるなよ?
その時、髙橋愛莉が頬を少し赤らめたのを私は見逃さなかった。
ああ、惚れちゃったんだな...香角先生に...。
私は心の中でニヤニヤしながらその試合を観終えた。
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