第43話 【人ヲ殺ス目】
大型円形闘技場の控え室で私...豊野二千花は、試合開始の時刻まで暇を潰している。
Myパネルをいじっている最中に私はあることに気づく。
「あれ?常立君の連絡先が消えてる?」
なんと、常立一重の連絡先がMyパネルから消えていたのだ。
これは...いわゆる音信不通ってやつだな。
「何気にこんなの初めてかも...」
一見、落ち着いているように見えるが内心ではとても焦っている。
そりゃ、友人がいなくなったら誰でも焦る。
「まあでも、なんとかなるでしょ!」
私は開き直って、試合に集中することに力を注ぐ。
彼について悩むのはその後でも遅く無いはずだ...。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
北側の入り口から私は入場する。
正面...すなわち南側の入り口からは、今回の私の対戦相手の
石川 花が入場してくる。
彼女は私と同じく、杖を持っている。
ということは、彼女は魔法を専門として扱うのか...。
なんだか勝てそうな気がしてきた!
所定の位置につくと彼女が、
「あなたは、何のためにここに来たの...?」
と、尋ねてくる。
どういう意味だろうか...?
とりあえず私は適当に答えてみる。
「何のためって...この大会で優勝するためだけど?」
「じゃあ、あなた...この大会の優勝賞品は知ってる?」
「それは......知らないけど...」
「あっそ...じゃあさ.........」
彼女はそう言いながら杖を私に向ける。
彼女は一体、何がしたかったのだろう?
「死んで──」
彼女がそういうのと同時に私は頭を少し左に傾ける。
すると、私の頭のすぐ右を電気を帯びた矢が通り過ぎる。
「あとは...大旋風」
そう私が唱えると、私の周囲に小さな竜巻が起こり、頭上から降ってくる矢を吹き飛ばす。
竜巻が収まると、彼女の顔がよく見える。
図星を突かれたような滑稽な顔だ。
「その程度の攻撃、私が察知できないとでも?この程度、目を瞑っていても見抜けるわ。」
私はその言葉で彼女に止めをさす。
「な...なるほど、流石は試験でSランクの魔物を討伐しただけのことはあるわね。いいわ、ご褒美にこの大会の優勝賞品についてのウワサを教えてあげる。」
やけに態度がでかいな...。
ま、いいか。
「じゃあ、お願いできる?」
「ええ。この大会の優勝賞品...それは、圧倒的な魔力よ!」
「......ん?」
えぇ...。
そのウワサ、本当?
なんかふんわりし過ぎじゃない?
てか、それが本当だったらこの大会、ますます怪しいじゃん...。
「圧倒的な魔力があればどんな人間もイチコロよ‼︎」
彼女は無理矢理、話し続ける。
こいつ...メディアリテラシーって奴が微塵もねえ...。
「そのためだったら...私は何でもやってやる‼︎」
彼女の目つきが突然変わる。
この目は、人を殺す目だ。
これはマズイ...
「やめろ!それは危険......」
「これで終わらす‼︎‼︎喰らえ、へr.........」
彼女はそこまで唱えると、意識を失い倒れてしまう。
私はすぐ彼女に近づき、彼女の状態を確認する。
状態は...魔力欠乏による反動で倒れたってところか...。
とりあえず無事でよかった...。
しばらくすると、スタッフらしき人が担架と一緒にこちらにやってくる。
そして、石川花は担架に乗せられて運ばれていく。
そういえば、この大会のスタッフって初めて見たかも...。
――――――――――
特別観客室にて、僕...河谷灯也はすぐ隣で試合を観ている德川家常に喋りかける。
「勝ちましたね...豊野二千花。」
「ああ、そうだな...。」
「あまり、興味がなさそうですね。」
「興味がない...というよりは、もっと面白いものが見れたのでな。」
「と言うと?」
僕は薄々分かっていながら、聞いてみる。
「彼女の対戦相手の石川花が使用しかけた魔術......あれが少し気になってね...。」
「なるほど...。徳川様はあの魔術、使えそうですか?」
僕がそう尋ねると室内に沈黙が走る。
この質問はマズかったか...?
「使うよ...」
僕が焦っている最中に、彼が突然そう言う。
そして彼は続けて、
「それが必要になったらね...」
と優しく言う。
一体いつ、彼にとってその魔術が必要になるのだろう...。
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