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この世界の廃神様 第一神実  作者: ZAB
第二章 〜《魔力武闘会》〜
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第41話 【真ノ意味デノ勝利】

 城の訓練場で新しい杖の梱包を開く。


 「すごいよ常立君‼︎新品の匂いがする!」


 「杖の第一印象が匂いって...。どれどれ...なるほど、杖の両端から魔術を使えるのか。」


 常立君に言われて私も気づく。

 正直、杖はビジュで選んだから性能については何も知らなかった。

 他にどんな性能があるんだろう?

 私は説明書を探す...が、


 「あれっ...?説明書なくない?」


 見つからない。

 焦って探しても見つからない。

 常立君も一緒に探してくれるが見つからない。

 そして私は一旦落ち着いて杖に視線を戻す。

 すると杖の隣にパネルが出現する。


 「ムカつく...」


 私は静かに呟く。

 そして、


 「ああ、パネル表示なのね...。」


 常立君もワンテンポ遅れて気づく。

 私たちは気を取り直してパネルの文章を読む。


 「なるほど...杖の先端が尖った方は魔術を素早く使える分、威力はまあまあで...」


 「対して反対側は魔術の発動時間が少し長い分、当たれば相手に大ダメージを与えられるのか。」


 「そして、尖っている方は槍のように刺すこともできる...。これ...強くない?」


 正直、ビジュが良くて選んだけど性能もカッコよくない⁉︎


 「でも、その刺すやつはあまり使わないのが望ましいな。それに頼るのは少し危ない。」


 「えっ...あっ...そ、そうだね!」


 彼の指摘に私も合わせる。

 確かに彼の言っていることは「勝つ」という目的においては正しい...。

 でも......使ってみたいよ...。

 だってカッコいいんだもん...。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 訓練場の中央で常立君と向かい合う。


 「こうやって戦うのは久々だな。」


 「そうだね...。あの時...学校の校庭で鍛錬していた時はずっと常立君が勝ってたけど...」


 今日こそは‼︎

 私は杖の尖っている方の先端を彼に向ける。

 そして、


 「光線(レイ)


 と唱え、彼に向かって一直線に走る。

 狙うは短期決戦‼︎


 「これで...終わり...だ‼︎」


 私は杖の尖った方で正面を突く。

 しかし、刺さった感触がしない...。


 「だから言っただろう...それを使うのは望ましくない...と。」


 「なっ──⁉︎」


 後ろだ。

 後ろから彼の声が聞こえてくる。

 いつの間に背後を取られたのか...?

 私は後ろを振り向き、彼の持っている何かに気づく。


 「常立君...それって...何?」


 「ああ...これ?その杖、便利そうだったからフリゾンで作ってみたんだ。性能も同じかはわからないけど...。」


 彼の右手には私の杖と同じ見た目のものが握られている。


 「ちょっと試してみたいことがあってね...」


 彼はそう言いながら杖を地面と平行に構える。


 「氷柱(アイシクル)......疾風(ゲイル)


 彼のその詠唱で杖の尖っている方から一本の氷柱(つらら)がこちらに飛んでくる。

 しかし、私と彼の距離くらいなら余裕で対応できる。


 「甘いわ!(フレイム)‼︎」


 私は氷柱を燃やそうとする。

 この距離と速度なら解かしきれるはず‼︎

 その時、


 「えっ...消えた...⁉︎」


 氷柱が突然消える...いや、違う。

 これは消えたんじゃない...


 「高速でっ...⁉︎」


 私はできるだけ右に体を逸らす。

 すると、私の頬に傷ができる。

 後ろの方ではパリンッと氷柱の砕ける音が聞こえる。


 「へー...今のは直撃したと思ったんだけど...。」


 目の前にはフリゾンで作られた杖を吸収し、こちらを見つめている常立君がいる。


 「こ...殺す気...?」


 「まあ、殺しても蘇生(リ・バース)で復活できるからね。」


 彼に情というものはあるのだろうか?


 「分かったわ...なら、死ぬ気で戦う‼︎それだけよ!」


 「そう来なくっちゃ...」


 「これが私の全力...暴風雨(テンペスト)‼︎......凍結(フリージング)‼︎」


 私がそう唱えると杖から出た雨雲が訓練場の天井を覆う。

 そこから数多の雨が凍った状態で降り注ぐ。

 名付けて、「無限(むげん)氷柱(つらら)作戦(さくせん)」だ!


 「なるほど...氷柱の雨...か。(フレイム)で処理するのは面倒くさいな...。まあ、これでいっか...。」


 彼はそう言うと頭上にフリゾンの傘を作る。

 やっぱり...効率重視の彼は氷柱を炎で処理しない...。


 「でも、そこがあなたの欠点──‼︎(ヒート)感電(エレクトロキュート)──‼︎」


 私は杖を床に突き立てる。

 すると、床の氷柱が水となって宙に浮き...


 「ぐぎっっっ.........」


 その水を通して電流が彼の体を貫く。

 彼は感電し、動けなくなる。


 「(とど)めよ!氷柱(アイシクル)......疾風(ゲイル)‼︎」


 私はさっき常立君がやったように氷柱を高速で飛ばす。

 氷柱は文字通り、彼の「目」の前まで飛んでいく。

 勝った‼︎

 と思った瞬間、彼の姿が消える。


 「なっ...⁉︎」


 いや、落ち着け...。

 今までの彼の行動パターンを思い出せ...。

 彼だったらこんな時...


 「背後を取る‼︎」


 私は杖の尖った方で彼がいるであろう背後を()ぎ払おうとする......が、


 「降参だ──!」


 彼のその言葉に思わず手を止める。

 彼は続けて、


 「まさかここまでやるとは思わなかった...。今日は流石に君の勝ちだ...。」


 と言う。

 彼の顔は焦っているようだった。


 「本当に...私の勝ち?」


 「ああ、本当だ。」


 でも、そんな彼の焦っている顔からは少なからず、冷静さが(にじ)み出ていた。

 きっと、私が彼に真の意味で勝てるのはまだ先だろう...。

もし、「面白い!」と感じて頂けたら『いいね』や『⭐︎』などで応援してもらえるとありがたいです‼︎

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