第40話 【オ祭リ】
城の最上階の一室で僕...河谷灯也は、徳川家常と話す。
「試験、遂に終わりましたね。」
「ああ...そして、遂に始まる。」
彼はソファに座りながら、ローテーブルの上のコーヒーカップを見つめている。
「トーナメント出場者でSランクを討伐したのはたったの4名...豊野二千花、活田佳奈四、香角刻四、それと...」
「君...河谷灯也、だね?」
「はい。」
僕は少し照れながら頷く。
しかし彼は気にせず話し続ける。
「それ以外はAランク討伐者か...やはり予想していた通りだな...。トーナメント出場者にメールは送ったか?」
「はい。徳川様がおっしゃった14名、全員に送りました。」
「そうか。ようやく...か。魔術は...新たなフェーズへ...。」
彼はずっとコーヒーを見つめている。
――――――――――
「...にしても、豊野がトーナメント出場なんて...凄いな。」
町中を歩く私...豊野二千花の隣で、男...常立一重が呟く。
「常立君が出てくれればこんなことする必要なかったんだけど...。」
「仕方ないだろ...。こっちはこっちで色々と忙しいんだ。」
「それでも今週は付き合ってくれるんだね。」
「さすがにここまで来て負けてほしくないからな...。」
「ふ〜ん...。」
なんだか都合が良すぎるような気がするが、今は気にしないでおこう。
私たちは今、城下町で武器や防具を買い回っている。
常立君曰く...「トーナメント直前に鍛錬を行うことで、戦闘や新武器に慣れることができる」らしい。
なぜ彼がそんな細かいことまで知っているのかも、今は気にしないでおこう。
「っていうか、武器も装備も買えたんだからそろそろ帰ってもいいんじゃない......って、常立君?」
さっきまで私の隣で歩いていた彼が突然立ち止まる。
「どうしたの...大丈夫?常立君...」
「......付いてこい。」
彼は突然、そう言って私の腕を掴み、走り出す。
「ちょっっ...」
その勢いに私は思わず転びそうになる。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
5分くらい走っただろうか...。
私たちは静かな裏路地に着く。
「はあ...はぁ......常立君...いきなり......どうしたの?」
私がそう尋ねると、背後から足音が聞こえてくる。
私は反射的に振り返る。
なんと、そこには...
「あっ...やっぱり常立と豊野だったか。」
なぜか はっぴ を着ている香角先生がいた。
両手にはリンゴ飴とチョコバナナを持っている。
「なんですか、それは...。」
「ああ...これ?いいでしょ〜。屋台で買ったんだ。」
彼は両手で持っている物を交互に見ながらそう言う。
「いや...1番気になるのはその はっぴ なんですけど...。」
「ああ...はっぴ ね!これもすぐそこの屋台で買ったんだ。」
彼はチョコバナナとリンゴ飴を食べ終え、タバコを一本吸い始める。
「ふ〜ん...。そう言えば先生、この時期はなんのお祭りをしているんですか?」
「そうだね...以前の試験で戦い抜いた者たちを祝うお祭りってところかな...?」
「なるほど、トーナメント出場者向けに武器•防具を提供したいんだな。」
私と先生の会話に突如、常立君が割り込む。
「提供した武器で勝ち進んでもらえれば、広告にも繋がるからな...。」
彼のその発言で、路地裏がふたたび静寂に包まれる。
なんか気まずい...。
「あ、そう言えば...香角先生ってタバコ吸い始めたんですね...」
ナイス私!
上手く話をそらせた‼︎
「なんとなく始めてみたんだ...。」
そして再び路地裏が静寂に包まれる。
ダメだこりゃ......諦めよう。
もし、「面白い!」と感じて頂けたら『いいね』や『⭐︎』などで応援してもらえるとありがたいです‼︎




