第38話 【魔力戦闘適応試験(参)】
ついに来た。
ついに...この時が...
「キターーーーー‼︎」
そうやって叫ぶ僕を、周囲の人々は変人を見るような目で見つめてくる。
だが、そうしていられるのもあと2週間だけだ。
なぜなら僕...香角 刻四は、この魔力武闘会で優勝し、主人公枠として活躍するのだから!
以前の国家崩壊事件では、謎の結界によって僕の活躍の場が奪われてしまった...。
しかし、今回はそんなことはないはずだ...。
根拠は...ない!
そんな独り言を頭の中で喋っていると...
「北小型闘技場の方は、もう2人もSランク討伐者がいるらしいぜ。」
という脇役Aの声が耳に入ってくる。
なるほど...逆にSランク討伐者はまだ2人しか出ていないのか...。
ってことは、僕もそのSランク討伐者になればトーナメント出場は確定か?
脇役Aの知り合いらしき脇役Bが質問をする。
「で、その2人の名前ってなんなんだ?」
ナイス‼︎
その質問、ちょうど僕もしたかったんだよね。
Sランク討伐者って言うくらいだから、余程の実力者だよね?
僕も主人公として、ライバル(になるかもしれない人)の名前くらいは知っておきたかったんだ。
脇役Aが返答する。
「名前は確か...活田と...豊野...だったかな?」
「え?」
僕は思わず声を出してしまう。
活田と豊野って...活田佳奈四と豊野二千花のことだよな...?
なんだよ、どっちも身内じゃん...。
...てか、あの2人も参加してたのかよ...。
どうやらこの大会、一筋縄では行かなそうだ...。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
僕の前の人の試験が終わる。
前の人はAランクの魔物を出せたが、惜しくも負けてしまった。
どうやら、普通の戦士はAランクの魔物に勝てるか勝てないかくらいの実力らしい。
そう考えると、Sランクは普通の戦士にとっては格別なのだ。
「んじゃ、やっていきますかー」
僕はそう言いながら、フィールドに出ていく。
水晶の前まで歩き、そこに左手を当てて魔力を込める。
しかし...
「あれ...?これって出てこないってこともあるの?」
なんと、魔物が出てこない...。
これじゃあ僕、脱落だよ...。
「マズイぞ...ひじょーにマズイ...。僕の主人公への道が今、断たれようとして...」
後ろ‼︎
僕の本能がそう言う。
その指示に従って僕は直ちに背後を振り返り、剣を創造する。
背後には幼稚園児くらいの背丈のゴブリンが、剣でこちらを切ろうとしていた。
僕はその攻撃をなんとか、弾く。
「危なっ...」
そう僕が言っている間にゴブリンは姿を消す。
これは...高速移動か...。
きっと今もゴブリンは僕の周りを高速で周回しているのだろう。
僕が周囲をキョロキョロしていると、ちょうど視界の先にゴブリンが姿を現す。
「ラッキー!」
僕はまた、ゴブリンの攻撃を弾く。
だが、今回は剣に風属性魔法をかけておいた。
そのおかげで、ゴブリンはフィールドの壁の方に吹っ飛ばされる。
やっぱり...そんな小さな体じゃあ、体重も軽いよな。
ゴブリンがようやく止まり、ステータスを見れるようになる。
なるほど...此奴...「スピードゴブリン」と言うのだな...。
「ランクはS......フフ...フハハハハ...」
僕の突然の大笑いに、観客席がざわめく。
「そうか...僕はコイツを倒せば、トーナメントに出場できるのだな!Sランクと言えども、所詮はただの足が速いゴブリン。一体程度なら、いとも簡単に...」
上だ‼︎
また僕の本能がそう言う。
僕はまた、その指示に従う。
上を振り向くと、何かが降ってくる。
う〜ん...これは一体なんだろう...。
レンガでも...落石でも...隕石でもない。
これは...
「スピードゴブリン⁉︎」
僕は反射的に背後に跳ぶ。
僕のいたところに、ゴブリンが剣を突き刺す。
今のはマジで危なかった...。
このゴブリンはさっきのやつと同じか...?
...いや、種類は同じだが、個体としては全く別だな。
その証拠として...今、僕の目の前には2体の「スピードゴブリン」が立ち並んでいる。
2匹とも僕への殺意MAXだ。
「さぁて...。ここからどうしようか...。」
僕は、少し震える声でそう呟く。
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