第36話 【魔力戦闘適応試験(壱)】
学校の校庭の4倍くらいはありそうな大型円形闘技場で、私...豊野二千花は集団の中で立ち尽くす。
集団の前には、台の上に乗った1人の男がいる。
「みなさま...本日はよくぞこの魔力武闘会に来てくださいました。私がこの武闘会の主催者...徳川 家常と申します。以後お見知りおきを...。」
徳川と名乗る男がそう言うと、周囲から拍手が沸き起こる。
胡散臭い...。
顔つき,服装,喋り方,デブ,バーコード...。
彼の持つすべての要素が怪しい...。
いや、むしろここまで怪しい要素が多いと、ツッコミを誘ってるんじゃないかと思ってしまう。
私はそんなことを考えながら彼の怪しい説明を聞く。
「この武闘会は準備に1週間、対戦に1週間、合計で2週間開催されます。対戦形式は1対1...トーナメント形式です。」
ここまではチラシに書いてあった内容だ。
対戦形式が1対1という都合上、2人で戦う魔法陣使いは大会に出場できない。
「そして本日みなさまには、魔力戦闘適応試験を受けてもらいます。この試験での成績上位者16名のみ、トーナメントに参加することができます。」
さすがに、ここにいる全員がトーナメントに出れると言うわけではなさそうだ。
ここに8000人くらいの挑戦者がいるとすると、トーナメントに参加できるのは上位0.2%ってところか...。
「トーナメント優勝者には豪華景品も用意しております。みなさまぜひ、優勝を目指して戦い抜いてください!」
彼がそう言うと周囲からとてつもなく大きな歓声があがる。
やはり皆、優勝が目標のようだ。
景品がなんだか知らないくせに...。
「さて、それでは早速、魔力戦闘適応試験を開始します。みなさま、まずはこの大型闘技場の南北にある小型闘技場に向かってください。」
彼のその言葉に従い、集団は南北の小型闘技場に分かれる。
ちなみに私は北の闘技場に向かう。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「はあ...なんで私が...。」
私は、自分の試験の順番が来るまで待ちながら呟く。
あの日...私がこの魔力武闘会の存在を知った日、私は早速、常立君に色々質問しに行った。
大会のこと,円形闘技場のこと,主催者のこと...。
だが、彼にどんな質問をしても彼は「知らない」の一点張りだった。
そして彼を説得した結果、私が調査という名目で大会に挑戦することになった。
どうしてこうなった...?
そんなことを考えていると、私の試験の番が回ってくる。
小型闘技場の中央に立つと、目の前に水晶が現れる。
よく占いで使うようなやつだ。
「なるほど...ここに魔力を込めれば良いんだね...。」
私は、水晶に軽く魔力を込めてみる。
すると水晶の奥に、ウマとヒトがあわさったような魔物が現れる。
上半身は人のようで、腕は4本生えている。
下半身は馬のようで、足に蹄がある。
あれは...
「ケンタウロス...かな?」
そう私が言うのと同時に、敵の横にステータスパネルのようなものが表示される。
名前は「ケンタウロス」で、使用属性は...全属性......なんか面倒臭そう...。
ちなみに、ランクという欄には「S」と書かれている。
やばい...説明聞き逃したから、どれくらい強いかわからない...。
っていうか、このランクって何か意味があるのかな...?
すると、いきなりケンタウロスが右下腕に持っていた槍を投げてくる。
「うわぉ!ビックリした...。不意打ちって...これはすぐに片付けた方が良さそう...。」
私は槍をギリギリで躱す。
ただ、また攻撃を確実に避けれるとは言えない。
だったら......一瞬で片付ける‼︎
私は杖を出して、ケンタウロスに先を向ける。
「これで終わりよ...」
そして、詠唱を唱える。
「噴火......乱気流」
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