第34話 【豊野二千花ノ1日】
目が覚める。
もう朝か...。
フリゾンで作られたベッドはとても寝心地が良くて、いつも寝過ぎてしまう。
ベッドから出ながら青色のパネル...Myパネルを展開する。
時間は...まだ7時か。
今日は早く起きれた方だ。
パジャマから外着に着替えて扉の方へ向かう。
「よーし...今日も頑張るぞい!」
そう言いながら私...豊野 二千花は、自分の部屋と廊下の間の扉を開く。
廊下には誰もおらず、とても静かだった。
「先生や先輩たちはもう行っちゃったか...。」
そう独り言を呟きながら、一つ下の階に下りる。
下の階に下りると、すぐ目の前に扉がある。
その扉に近づき、コンコンとノックする。
少しして扉が開く。
扉の先にはそれなりにイケメンで高身長な赤髪男子...常立 一重がいた。
彼はちょうど1週間前、魂絶者のデカってやつを倒して日本の滅亡を防いだ人物......まあ、英雄...みたいな感じかな...。
でも、彼が目指してるのは英雄じゃなくて『廃神』...つまり、最強らしい。
そして、彼は謎多き物質...フリゾンの研究をするため、この1週間ずっと研究室にこもっている...それも徹夜で。
彼が言うには回復魔法で眠気をなくせるらしい...。
それでも一応、たまには寝た方がいいと彼に言っておいた。
彼は研究の効率を重視しているだけなのか、それとも...眠るのが嫌なのか...。
「あっ...そうだ...例のフリゾンのサンプル、完成したよ。」
彼が突然、話題を変える。
話を逸らすってことはやっぱり......ん?
「えっ...本当⁉︎」
脳みそが少し遅れて内容を理解する。
「はい、これ...早速、訓練場で試してきてくれる?」
そう言いながら彼はフリゾン入りのビーカーを渡してくる。
これはついこの前、私でも使えるフリゾンを、と彼に頼んでいたものだ。
まさかこんなにも早くサンプルができるなんて...。
私はビーカーを受け取ると、急いで訓練場に向かう。
「よし、これで私もフリゾンマスターだー!」
廊下に響くような声でそう言った。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
訓練場に到着する。
訓練場は学校の体育館くらいの大きさで、小規模の鍛錬なら大体ここでできる。
私は早速、左手の上にサンプルのフリゾンを乗せる。
「あとは...これに魔力を流すだけ...か。」
私はフリゾンに少しだけ魔力を流す。
すると、フリゾンの形が変形する。
「これって......成功なんじゃない?」
私がそう言って、喜ぼうとすると突然、フリゾンが白色になる。
「へ?」
そして、白くなったフリゾンが膨張し始める。
ヤバイ。
本能がそう言っている。
でも、どうすることもできない。
フリゾンは接着剤のように私の手のひらにくっついている。
「あっ...おわった...。」
全てを察した私は目を瞑る。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
町の中を歩き回りながら、私は独り言を呟く。
「はあ...うまくいけば、今日からフリゾンボディスーツで散策できたんだけどな...。」
あの後、膨張したフリゾンは破裂して私の服と訓練場に飛び散った。
結局、私は夕方まで訓練場の掃除をやる羽目になった。
「まあ、掃除が夕方までに終わったのが不幸中の幸い...か。」
この1週間、私は毎日夕方に城下町を散策している。
別にサボっているわけではない。
一応、常立たちにはパトロールで外に出る、と伝えている。
まあ、間違ってはないよね...。
もし何か問題が起これば対処しようと思ってるし...。
...思ってるだけだけど...。
「...あれ?ここら辺...昨日まで更地のままだったはずだけど...。」
私はいつもの散策ルートで昨日まではなかった建造物を見つける。
かなりでかい...円形の...。
これって...
「円形闘技場⁉︎」
私は慌ててもう一度、建造物をよく観察する。
すると、一枚のチラシが私の目に留まる。
チラシには、『魔力武闘会』という大きな見出しと、その下に期間・参加条件等が書かれている。
開始は5日後...。
チラシを見て私はさらに慌てる。
「これはマズイ...かも。」
私は何も考えずに、とにかく城に向かって走った。
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