第33話 【白イ装束】
大勢の人をまとめることのできる統率力を持つ人材...僕はそれを必要としていた。
理由は単純、例の事件で総理大臣がいなくなってしまったからだ。
そこに現れた彼...河谷灯也は僕の求めていたものを全て持っていた。
早速、彼に頼んでみた。
「しばらくの間、国民をまとめるような役を担って欲しい」と。
それを聞いた彼は「廃神様の言うことなら‼︎」と、快く引き受けてくれた。
彼は僕を...廃神を、一体どんな存在だと思っているのだろうか...。
まあ、こうして仮の総理大臣を誕生させられたので国としてはなんとかやっていけそうだ...。
あとは......居住区...だ。
渋谷に現れたような魔物がどこにいるかもわからない世界で一番必要なものは、絶対的な安全を保証できる居住区だ。
土地はある。
僕が神術で更地にした官邸付近がね...。
だから、あとは家を建てるだけだ。
でも、今僕たちには家を建てるための建材がない。
どうしようかと悩んでいた僕の頭に降りてきた名案...それは、フリゾンだ。
フリゾンで家を建てれば建材も必要ないし、時間もかからない‼︎
って感じで建てられたのが、今僕のいる城とその周囲にある家々だ。
この1週間で、周囲の家々には大勢の民が住むようになった。
今後も住居は増やしていこうと思う。
ちなみに城は、外観は和風城のようだが、内部は学校のような構造になっている。
かっこよさと便利さを兼ね備えた、完璧な城だ!
僕がそんなことを思い出しながらぼーっとしていると、
「廃神様...どうかしました...?」
と、灯也が尋ねてくる。
その言葉で僕は我に返る。
「あっ...すみません...。ちょっと...考え事をしていて...。」
「廃神様...。以前から申しておりますが、僕に対して敬語は使わなくてもいいんですよ...。一応、僕のが年下なんですから。」
「ああ...まあ...そうだな...。」
灯也に言われて僕も気づく。
それでもなぜか彼に対してはいつも敬語になってしまう。
これから慣れていくしかないか...。
「それで...今日は何の用件で...」
「ああ、そうだった...。実は一つ、やってみたいことがあって...」
僕はそう言いながら一枚のチラシを彼に見せる。
彼は目を大きく開きながら呟く。
「これは......」
――――――――――
歩く...ひたすら歩く...。
月すら見えない森の中を進んでいく。
そうして歩き続けると不自然に木のない空間へ出る。
目の前には白色の鳥居が立っている。
そしてその奥には宙に浮き妖しく光る、一冊の書物。
「やっと見つけた...」
鳥居をくぐりながら俺...伊岐 七斗は、そう呟く。
書物の目の前に辿り着くと、隣に女...伊美 七津木が続くように来る。
書物の表紙をよく見ると、「参」と書かれている。
俺は書物に手を伸ばす。
すると突然、七津木が刀を鞘から抜き、振り返る。
「どうした?」
「敵......2人来てる...。」
彼女は鳥居の方を睨みながらそう言う。
俺も鳥居の方を見ると、奥から2人の人間が歩いてくる。
どちらも白い装束を纏い、顔が布のようなもので隠されている。
顔を隠している布にはそれぞれ、「弐」「参」と書かれている。
体型的には、「弐」の方が男、「参」の方が女っぽい。
「誰だ──‼︎」
そう叫んでも相手は無言のままこちらへ歩いてくる。
「答えないなら...」
俺も鞘から刀を抜く。
「力ずくでも答えてもらう──‼︎」
そう言って奴らに向かって走ろうとする...
が、動かない。
「なっ──⁉︎」
俺の体はまるで金縛りになったように動かなくなってしまった。
おまけに魔力も使えない。
七津木も動けなさそうだ。
装束の2人が俺らの横を素通りし、書物のある方へ行く。
数秒後、奴らはまた俺らの横を通って鳥居の方へ行く。
男の右手にはさっきの書物があった。
「待て‼︎お前らは何者だ‼︎」
俺はさっきと同じように叫ぶ。
だが、結局動くことはできない。
「革命の時は近い...。神代の時代が、再び訪れる...。」
女がそう告げると2人は消えた。
それと同時に、俺らの体が動かせるようになる。
俺はすぐ振り返る。
だが当然、そこに書物はなかった。
俺は膝から崩れ落ちる。
「クソッ──!ようやくここまで辿り着けたのに...俺らは...一体なんのために......。」
俺は、ただひたすら感情を吐き出すことしかできなかった...。
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