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この世界の廃神様 第一神実  作者: ZAB
第一章 〜《国家崩壊》〜
31/82

第31話 【神術】

 なんだ...?

 奴...常立一重から溢れ出るあれは一体何なんだ?

 今まではあんなもの、微塵(みじん)も感じなかった。

 だが、奴が立ち上がった瞬間、我をも圧倒する何かが溢れ出した。

 魔力とは違う...何か。

 とにかく、今はなるべく平然を装わなければ...。


 「貴様...死にたいのか?」


 「フッ......それはこっちのセリフだ...。お前こそ、その程度の力で我に挑もうとするのか?...それは自殺行為だぞ。」


 頭の中で何かが切れる。


 「貴様‼︎我を挑発したこと、後悔させてやる‼︎」


 そう言いながら奴との距離を一瞬で詰め、両手に持った剣で斬りまくる。

 しかし、奴は謎の黒い物質を最低限動かして攻撃を全て防いだ。


 「その程度か?魂絶者の力は?」


 奴は見下すように呟く。


 「まだまだあああぁぁぁ‼︎」


 次はできるだけ距離を取り、奴に向かって無詠唱で魔法を撃ちまくる。

 だが、その全てが奴に近づいた瞬間に消失した。

 それはまるで氷が溶けるように。


 「......やはり、お前の力はその程度か...。」


 奴のその言葉と同時に、周囲が何かで満たされる。

 これは...


 「魔力──!?」


 「おや...察しが良いではないか。そうだな...せっかくだから説明してやろう...。」


 奴は偉そうに語る。


 「まず大前提として我々は普段、魔力を体内で練ることで魔法を使っている。だが、その工程では少なからず魔力のロスというものが生まれていた。そこで我は気づいた...()()()()()()()()()()()...と。そうすれば魔力をロスなく使うことができる。」


 「つまり貴様は先程、魔力をそのまま体外に放出した。だから我の魔法が負けて消失した...ということか?」


 「イグザクトリー‼︎まさにその通りだ‼︎...ただ、まだ終わりじゃない...。我はこれまでの1ヶ月間、あることを感じ続けていた。それは、魔力の無限の可能性...そして人間の限界...。」


 奴は語り続ける。


 「我は考え続けた...魔力の無限の可能性を手に入れ、人間の限界を克服する方法を...そして我が辿り着いた()()()は...」


 奴の目が紅く光る。


 「()()()だ──。」


 その瞬間、奴の姿が見えなくなる。


 「自身を魔力化すれば、理論に反することができるようになる。例えば...身体を動かさずに移動したり...だ。」


 奴の声があらゆる方向から聞こえてくる。

 だが、奴の姿は見当たらない。


 「しかし、移動した分のエネルギーは決してなくならない。エネルギー保存の法則によってな...。だから我はそのエネルギーを攻撃に用いようと考えた。」


 そこまで言うと、奴が目の前に現れる。

 逃げろ。

 本能がそう言う。

 だが、動けない。

 体が、言うことを聞かない。


 「それによって繰り出される攻撃の威力は通常の数京倍......時に、()()()()()()()()()...。これこそ、我が見つけた最強の(ワザ)...」


 奴はこちらを睨み、剣を振り上げる。


 『神術(カミワザ)万滅斬(バンメツザン)


 奴が剣を振り下ろした瞬間、首から下の感覚がなくなる。

 視界が激しく動く。

 そうか...我は首を切られたのか...。

 動きがおさまると、周囲が更地になっていた。

 なんだ...何が起こった...?

 これも奴の...常立一重の仕業なのか?

 常立が近づき、見下ろしてくる。

 頭部に残った魔力で最期に聞く。


 「われ...が.........よわ...かった......の......か...?」


 正直、否定して欲しかった...。

 自分は...デカは弱くないと言って欲しかった。

 それだけを望んでいた。


 「安心しろ。お前が弱かったのではない......この世界が我を強くしすぎたのだ──。」


 瞳から液体が流れる。

 そうか...これが人間の言う『涙』と言うやつか...。

 静かに目を閉じ、眠りにつく。



 ――――――――――



 朝日が昇る......日出だ。

 更地となった旧官邸で僕はため息をつく。


 「成功だけど...やりすぎかな...?」


 そう呟きながら、僕はあるものを見つける。

 それは...腕だ。

 さっき僕が切り落としたデカの右腕がそこには落ちていた。


 「あっ...いいこと思いついた!」


 僕がそう言うと後ろから


 「常立君‼︎」


 と呼ぶ声が聞こえる。

 後ろを振り返ると、こちらへ走ってくる豊野がまず目に入った。

 豊野はその勢いのまま、僕に抱きつく。


 「ちょっ......」


 「良かった...無事で......死んでなくて...。」


 その時、先輩や先生たちも近づいてくる。

 皆、笑顔だった。

 そうだ...僕は勝ったんだ──!

 総理大臣を救うことはできなかったが、デカを殺したことで少なくとも最悪の結末は避けられた。

 僕は朝日を見ながら笑みを浮かべる。


 「常立...君?どうしたの?」


 豊野が、少し離れて僕の顔を見ながらそう聞く。


 「えっ...まあ...達成感で喜んでた...ってところかな。」


 「そうか...そうだよね...だって、常立君は日本を救ったんだから。」


 豊野もそう言いながら朝日を見る。

 僕はこの1ヶ月を思い出す。

 今まで色んなことがあった。

 でも、今日の僕は最も『廃神』に近づけた。

 なぜだか、そんな気がする。

もし、「面白い!」と感じて頂けたら『いいね』や『⭐︎』などで応援してもらえるとありがたいです‼︎

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