第30話 【最強ノ『力』】
僕はデカと名乗った男に向かって斬りかかろうとする。
だが、彼はまたどこから出したかわからない剣で僕の攻撃を防ぐ。
「その程度か...『廃神』の力とやらは...。」
「そう思う?」
僕はフリゾンローブの一部を切り離し、斬撃として飛ばす。
彼はそれをギリギリで躱す。
彼は先程と同じように、僕と距離をとる。
そして彼は詠唱を唱える。
「無秩序─‼︎」
彼がそう唱えると彼の剣が黒い物質を纏う。
あれは確か、渋谷で二魂獣が吐き出した物質だ。
...ってことは光魔法で対抗すれば大丈夫か...。
デカはこちらに向かって走ってくる。
僕は地面に右手をつけてフリゾンウォールを生成する。
これはただの壁ではない。
光属性魔法を応用して闇属性の攻撃を吸うように作った壁だ。
彼は壁ごと僕を斬ろうとするが、彼の剣は壁に当たった瞬間に止まってしまう。
僕はフリゾンウォールを変形させてフリゾンソードにする。
ここで初めて彼が動揺する。
だが遅い‼︎
僕は彼の右腕を容赦なく斬り落とす。
彼は焦りながら、また僕との距離をとる。
だが腕一本を失った彼は明らかに劣勢。
「勝負あり...かな?」
「クソ...認めぬぞ...あのお方に...魂絶者の名を与えられたこの我が......敗北するなど...。絶対に認めぬ‼︎」
彼はそう言い、左手を地面につける。
すると、彼と僕との間に黒い結界が展開される。
今度の結界は僕も通さないようだ。
結界の奥で彼は何かを両手で取り押さえている。
あれは......
「総理大臣!?」
僕は急いで結界を破ろうとした。
「...爆発‼︎...氷柱‼︎...雷閃光‼︎...疾風‼︎......」
しかし、どんな魔法でも結界は破れない。
「クソッ...破れろ!...破れろ‼︎」
僕はもう結界を殴りながら叫ぶことしかできなかった。
結界の奥ではデカが総理大臣を喰らっている。
結界が閉じると、もうそこに総理大臣はいなかった。
代わりにそこには、血痕だけが残っていた。
僕は膝から崩れ落ち、蹲る。
「いいぞ...!この力だ...!我はこの力を欲していたのだ‼︎他者を圧倒する最強の力を‼︎」
肌の色が変わり、身体も一回り大きくなったデカがそうほざく。
「貴様もそう思わないか...常立一重‼︎最強の力が欲しいと‼︎」
なんだろう...もう何も頭に入ってこない...。
僕は次、何をすればいいんだ?
というか...僕は今まで一体、何をしてきたんだ?
投身自殺して...同級生と鍛錬して...先生や先輩と再会して...魔物に苦戦して...総理大臣を独りで助けようとして...結局......
「なれてないじゃん...『廃神』......。」
それどころか僕は守れるはずだった命を守れなかった。
僕がデカを一発で殺せば...。
僕にそんな力があれば...。
「いや...あるじゃないか.........最強の術が──‼︎」
僕はようやく思い出す。
そうだ......あの力があれば...僕は...。
「真の『廃神』になれる──‼︎」
僕はゆっくり立ち上がる。
そして、デカを真っ直ぐ見据える。
見せてやる
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