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この世界の廃神様 第一神実  作者: ZAB
第一章 〜《国家崩壊》〜
30/82

第30話 【最強ノ『力』】

 僕はデカと名乗った男に向かって斬りかかろうとする。

 だが、彼はまたどこから出したかわからない剣で僕の攻撃を防ぐ。


 「その程度か...『廃神』の力とやらは...。」


 「そう思う?」


 僕はフリゾンローブの一部を切り離し、斬撃として飛ばす。

 彼はそれをギリギリで(かわ)す。

 彼は先程と同じように、僕と距離をとる。

 そして彼は詠唱を唱える。


 「無秩序(カオス)─‼︎」


 彼がそう唱えると彼の剣が黒い物質を纏う。

 あれは確か、渋谷で二魂獣が吐き出した物質だ。

 ...ってことは光魔法で対抗すれば大丈夫か...。

 デカはこちらに向かって走ってくる。

 僕は地面に右手をつけてフリゾンウォールを生成する。

 これはただの壁ではない。

 光属性魔法を応用して闇属性の攻撃を吸うように作った壁だ。

 彼は壁ごと僕を斬ろうとするが、彼の剣は壁に当たった瞬間に止まってしまう。

 僕はフリゾンウォールを変形させてフリゾンソードにする。

 ここで初めて彼が動揺する。

 だが遅い‼︎

 僕は彼の右腕を容赦なく斬り落とす。

 彼は焦りながら、また僕との距離をとる。

 だが腕一本を失った彼は明らかに劣勢。


 「勝負あり...かな?」


 「クソ...認めぬぞ...あのお方に...魂絶者の名を与えられたこの我が......敗北するなど...。絶対に認めぬ‼︎」


 彼はそう言い、左手を地面につける。

 すると、彼と僕との間に黒い結界が展開される。

 今度の結界は僕も通さないようだ。

 結界の奥で彼は何かを両手で取り押さえている。

 あれは......


 「総理大臣!?」


 僕は急いで結界を破ろうとした。


 「...爆発(エクスプロージョン)‼︎...氷柱(アイシクル)‼︎...雷閃光(スパーク)‼︎...疾風(ゲイル)‼︎......」


 しかし、どんな魔法でも結界は破れない。


 「クソッ...破れろ!...破れろ‼︎」


 僕はもう結界を殴りながら叫ぶことしかできなかった。

 結界の奥ではデカが総理大臣を喰らっている。



 結界が閉じると、もうそこに総理大臣はいなかった。

 代わりにそこには、血痕だけが残っていた。

 僕は膝から崩れ落ち、(うずくま)る。


 「いいぞ...!この力だ...!我はこの力を欲していたのだ‼︎他者を圧倒する最強の力を‼︎」


 肌の色が変わり、身体も一回り大きくなったデカがそうほざく。


 「貴様もそう思わないか...常立一重‼︎最強の力が欲しいと‼︎」


 なんだろう...もう何も頭に入ってこない...。

 僕は次、何をすればいいんだ?

 というか...僕は今まで一体、何をしてきたんだ?

 投身自殺して...同級生と鍛錬して...先生や先輩と再会して...魔物に苦戦して...総理大臣を独りで助けようとして...結局......


 「なれてないじゃん...『廃神』......。」


 それどころか僕は守れるはずだった命を守れなかった。

 僕がデカを一発で殺せば...。

 僕にそんな力があれば...。


 「いや...あるじゃないか.........最強の(ワザ)が──‼︎」


 僕はようやく思い出す。

 そうだ......あの力があれば...僕は...。


 「真の『廃神』になれる──‼︎」


 僕はゆっくり立ち上がる。

 そして、デカを真っ直ぐ見据える。

 ()()()()()

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