第29話 【魂絶者ノ『デカ』】
首相官邸付近に着くと突然、豊野たちが立ち止まる。
「あれっ...?これ以上...進めない...?」
豊野がそう言う。
先輩と先生たちも同じ所でパントマイムのような動きをしているので嘘ではなさそうだ。
加えて、周囲にいる他の人も立ち止まっている。
ただし、僕はすんなり通れる...。
「僕以外を拒絶する結界...か。仕方ない...ここで待っていてください。ここから先は僕だけで進みます。」
「常立君!絶対に死なないで‼︎」
豊野にそう言われて僕は無言で頷く。
僕は結界の中の方へと歩いていく。
しばらく歩くと、官邸の玄関らしき入口に着く。
僕はフリゾンローブを纏い、ガラス張りの扉を風属性魔法で割る。
奥に進むと、広い空間に出た。
流石の僕でもこの場所には見覚えがある。
よくテレビの報道で映される場所だ。
そこにポツンと1人の男。
渋谷のモニターに映った男だ。
「君が主犯...ってことで大丈夫そ?」
「ああ...そうだ。」
瞳の白い部分が黒に、黒い部分が灰色になった気味の悪い男が言う。
瞳以外にも彼からは何か違和感を感じる。
まるで...操られているような...。
僕はダメ元で聞いてみる。
「他人の身体を操って快適?」
「貴様には関係ないことだ...。」
どうやら図星のようだ。
「まあいいや...。ところで、総理はどこにいるの?」
「総理を取り戻したければ...我と戦え......常立一重...。」
「──!?」
僕は突然本名で呼ばれて、思わず動揺する。
「なんで僕の名前を知ってるのか聞いてもいいかな...?」
「我は偉大なるあのお方より、貴様を殺すように命じられた者...。」
「あのお方...?」
もしかして、謎の男が言っていた『奴』のことか...?
「貴様はあのお方にとって邪魔者...。」
「ふーん...そっか...。じゃあ...最後に、君の名前を聞いてもいいかな?」
「我は魂絶者のデカ...。貴様を殺す者だ──。」
そう言った彼は、僕との距離を一気に詰める。
僕は手始めにフリゾンの斬撃を飛ばしてみる。
しかし、彼はどこから出したかもわからない謎の剣でそれらを切る。
彼は僕に斬りかかろうとする。
僕はフリゾンソードを生み出し、左手で持つ。
そして彼の剣を防ぐ。
すると彼の剣は簡単に崩れてしまう。
彼は僕と距離を取る。
「...やはり、この剣は脆いな...。せいぜい、この戦闘は耐えてくれると思ったんだが...。」
「随分と僕のことを舐めているようじゃないか...。」
「フッ...実際、渋谷での戦闘はそのレベルだったからな...。」
「あれは君の仕業だったんだね...。」
「ああ、そうだ。だが、まさか二魂獣くらいの魔物であれほど苦戦するとは思わなかったがな。」
彼は挑発するようにそう言った。
「それ...僕を怒らせて隙を作ろうとしてるつもり?」
「もし、そうだったらどうするんだ?」
「一つ、君に言っておきたくてね...。全て無駄だと。」
僕はフリゾンソードに炎を纏わせる。
これは今までの戦闘とは違う。
日本の命運がかかっている。
『廃神』として、必ず国家崩壊を食い止めてみせる──‼︎
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