第22話 【良キ未来ヘ】
辺りが白い...。
これは...光か...いや、霧か...。
もしかして...ここは...冥界か...?
僕...死んじゃった...?
そうして困惑していると、どこからともなくそよ風が吹いてくる。
周囲の霧が風に流される...でも、辺りは白い光に包まれていた。
その中に人影が一つ...。
「誰だ――!」
人影は僕に近づき始める。
〜「...よ... ...年よ... 少年よ」〜
反響するような声で何かが語りかけてくる。
これは...僕が飛び降りる直前に呼びかけてきた声だ...。
〜「少年...常立一重よ...」〜
こいつ...僕の名前を知っている...。
おそらく声の主であろう人影がさらにこちらへ近づく。
そして...遂に顔が見える...というと語弊がある。
「少年...常立一重よ...ようやく...出会えたな...。」
目の前には赤い装束を纏った男がいた。
彼の顔は布のようなものによって隠されている。
そしてその布には大きく「一」と書かれている。
彼の髪は僕と同じ赤色......いや...
「あれ...?僕の赤髪は?」
今まで気づかなかったが、僕の髪は黒色になっていた。
あれが原因で変質者だと疑われたこともあったけど、僕は何気にあの髪を気に入っていた。
その分、なくなった時のショックはでかい...。
それによく見るとこれは魔力を手に入れる前の僕の身体だ。
そして僕が着ているのはオークとの戦いで燃えたはずの天ヶ原高等学校の制服だ。
「一度...落ち着いてくれ...。ここは君の夢の中でもあり、僕の住まいでもある空間だ。君は死んでもいなければ、現実での姿は何ら変わっていない。」
僕が困惑しているのを察したのか、男がそう言う。
「あなたは...誰ですか...?」
僕は彼にそう問う。
すると彼は、
「まだそれは言うことができない......ただ、君に助言を与えて君を良き未来へ導く任を受けた者...とだけ言える。」
「つまり...あなたに従えば、僕はその良き未来とやらに行くことができるのですか?」
気づくと僕は彼に対して敬語で話していた。
なぜだか彼という存在からは、言葉では表せないような強さを秘めていると感じた。
そんなことを考えていると遠くの方から彼とは異なる声が聞こえてくる。
何を言っているのかの判別ができない...それくらい遠くからの声だ。
「常立君...時間がない...。今から言う助言をよく覚えるんだ。」
「あっ...まぁ...はい...。」
「これから日本では全国を巻き込む重大な事件が起こる。まずはそれを解決するため行動するんだ。奴らを...奴をどうしても止めなければ...。」
「奴...??」
僕がそう言うのと同時に僕と彼は一気に離される。
遠く離れていく彼からは、布で遮られているのにも関わらず眼差しを感じた。
――――――――――
私は必死に常立の身体を揺する。
この判断が正しいのかはわからないけれども、回復魔法を使っても手応えがなかったということは、彼の身体に異常はないということだろう...。
それにしてもさっきの技は一体何だったのだろう...?
私の攻撃は一つも彼に届かなかった。
そして彼は私の視界から消え、気づいた時には私の背後で倒れていた。
そして何よりも気になったのは...彼の目だ。
彼が仮面を外してから彼の目は紅く光っていた。
一体彼はどこまで強くなるのだろう......?
常立の身体を揺すり続けること5分...ついに彼が目を覚ました。
彼の目の色は元の黒色に戻っていた。
「うぅ...。僕は...気絶していたのか...?」
「うん...そう......。無事に目覚めてよかった...。」
「ごめん...なんか心配かけちゃったみたいで...。」
「全然...常立君は死なないって信じてたから...。」
「そうか...。...じゃあ何でそんなに僕の身体を本気で揺すってたんだ?」
「ああ...そうだった。たったさっき得た情報なんだけど、天上線が復旧したらしいよ。」
「本当か!?...そうか......ついに...か.........」
「明日にはもう出発する?」
「そうだな...。今日のうちに旅支度は済ませておこう。次帰って来れるのは1冊目の書物を手に入れてからだろうし...。」
そうだった...。
彼の本当の目的は『廃神』になることだった...。
私がすべきことは、それを援助すること...。
私は一生彼の後を追い続けたいと改めて決意した。
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