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この世界の廃神様 第一神実  作者: ZAB
第一章 〜《国家崩壊》〜
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第18話 【意味ノアル戦イ】

 強風が吹き、砂が舞う校庭に僕...常立一重は立っている。

 そして、目の前の長い杖を持った女に意識を集中させる。


 「(フレイム)...」


 そう女が唱えた瞬間、彼女の杖から無数の火の玉が現れ、彼女の周りに規則正しく並ぶ。

 彼女は杖の先を僕に向ける。


 「行け!」


 規則正しく並んでいた火の玉は、彼女のその合図で一斉に僕の方に発射される。

 ここまでが彼女のターン......。

 ここからは...


 「僕のターン!!」


 僕は発射された火の玉を目で追いながら、フリゾンで自分の足元に細長い塔を形成する。

 火の玉は僕に吸い付くように上に曲がった。


 「なるほど...これが詠唱の恩恵か...。でも...これならどうかな?」


 僕がそう言うと、僕の足元の塔は形を変え、僕の左足に巻きつき、僕を地面へと引っ張った。

 当然、火の玉は僕に追いつけず空中で燃え尽きた。

 対して、僕は地面に華麗な着地を決めた。


 「へえ...その自由自在な物質があれば攻撃から避けたり,守ったりできるんですね。」


 「これは僕が生と死の狭間で編み出したものだ。名前はフリゾン...。」


 「じゃあ...そのフリゾンごと吹き飛ばせば問題ないですね...。」


 彼女はまた僕に杖の先を向ける。

 僕は右手からフリゾンを生み出し、周囲に浮遊させる。


 「疾風(ゲイル)!」


 と彼女が唱えると同時に音がなくなる。

 いや、これは耳が聞こえなくなっているのか...。

 どうやら聴覚がダメになったようだ。


 「回復したいけど...そんな余裕は与えてくれなさそうだね...」


 彼女はもう次の詠唱を始めている。

 だが、その詠唱も当然聞こえない。


 「詠唱の欠点をなくすとは...やるね...」


 そう僕は言ってみる。

 当然、自分の声はほとんど聞こえない。

 詠唱が終わったのか、彼女の口が動かなくなる。

 すると、彼女と僕の間に大きな竜巻が起こる。

 きっとこれも彼女の魔法だろう。

 まさかこれをぶつける気か?

 確かに空気の流れである竜巻はフリゾンでは防げない。

 せいぜい、できて地面に無理矢理しがみ付くくらいだろう。

 それでも一度でも地面から離れれば上昇気流で一瞬で上空に飛ばされる。

 融通のきかない上空で狙われれば終わり...。


 「仕方ない...あれを試してみるか...」


 僕は豊野が作り出した竜巻に向かってまっすぐ歩く。

 竜巻の中心に近づくに連れて、風圧が強くなる。

 あまりの風圧に僕が着ているフリゾンのローブが破けている。

 竜巻は僕を下から上に突き上げようとする。

 そしてその力が僕にかかる重力と釣り合った直後、僕は上空へと飛ばされる。


 ――――――――――

 

 彼...常立一重が私の魔法...大旋風(トルネード)によって飛ばされたのを確認して、私は竜巻の魔法を解く。

 きっと彼は無防備で落下してくるだろう。

 そこを狙って打ち落とす...


 「これが私の全力......エクスプロージョ...」


 「疾風(ゲイル)!!」


 「――!?」


 私が魔法を打とうとした時、詠唱と共に凄まじい風が私を校庭の防球ネットへと突き飛ばす。

 なぜ?

 彼は無防備で落下するはず...


 「なんで...」


 「いやーお見事だったよ...。僕の鼓膜を破って詠唱を聞かれないようにするなんて...」


 「なんで...なんで浮いてるの...?」


 「ああ...これ?僕が着ているボディスーツとローブは質量操作が可能なフリゾンでできてるから、うまく操作すれば浮き続けられるんだ。」


 「嘘...でしょ...?」


 私はただただ目の前の光景が信じられなかった...。

 それと同時に絶望も感じた。

 なんだか...この絶望には懐かしさがある...。


 「君は確かに魔力に対する知識や経験が豊富だ...。だが、それ以上に僕の魔力に対する知恵が回った。それだけさ...」


 私は出せるだけの力を振り絞って立ちあがろうとする。


 「とりあえず今日は引き分けってところかな...ってまだやるの?」


 私は手から離れ落ちた杖を拾い上げ、彼に向ける。


 「君がそうするなら僕も乗るよ...。」


 彼はそう言い右手を前に出し、詠唱する。


 「暴風雨(テンペスト)


 私はその詠唱と同時に意識を失った。

 意識を失う直前、空に巨大な渦雲が形成されるのを見た。

 あれもきっと彼の魔法なのだろう。

 今回、分かったことがある。

 今の私では、今の彼には勝てない。

 でも...彼と戦うことには意味がある。

 そう確信した。

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