第16話 【コノ世界ノ『廃神』】
小路地から5分くらい歩くと、豊野はある白塗りの家に入っていく。
「遠慮なく入っちゃってー」
「うわぁ...すげぇ...。」
豊野の家は一軒家だった。
それも二階建て...。
さらに庭付き!!
僕は長年、マンション住まいだったから一軒家にはずっと憧れていた。
「あれ?そういえば親はいないの?」
「ああ...うん...。弟が海外の学校に入学することになったから親は弟についていって...。」
「へえ...豊野さんって弟いたんだ...」
「うん...13歳で中1の弟がね...」
中1で海外の学校に入学って...僕はまだ海外に行ったことすらないのに...。
それにしても広い家だ。
両親もさぞかし高収入なのだろう...。
「あっ...そうだ...テレビ観てもいい?」
「全然いいよー」
僕は許可をもらってすぐにテレビの電源をつける。
テレビの電源をつけて真っ先に映ったのは、魔力と魔物という未知の存在に困惑,興奮,絶望する人々の姿だった。
ニュースを見る限り、魔力や魔物という存在は日本国内に限らず、世界各地で確認されているらしい...。
まあ、普通に考えればそれはそうだって感じだ。
日本だけ特別ってのは流石に都合が良すぎる。
僕は満足してテレビの電源を消す。
そして例の青いパネルを展開する。
...こいつの名前も決めよう...。
そうだな...Myパネルとでも呼んでおくか。
「んっ?なんか通知来てる...。」
僕は展開したMyパネルの中に赤く強調されている「メール」という項目を見つける。
その項目をタップすると、一通のメールが届いていた。
そのメールを開くと現代っ子にとっては少し長く感じるくらいの文章が現れた。
少年...常立一重へ
これを読んでいるということは、汝は望み通り魔力を手に入れられたということだな...。
こちら側で汝の能力値は限界まで上げさせてもらった。
つまり汝は最強だ。
だが、だからといって何もしなくて良いわけではない。
汝を退屈させたくはないのでな。
この日本...と呼ばれている国の中に3冊の書物が隠されている。
これらの書物にはこの世に存在する数多の魔法が全て記されている。
まずはこれらを探してみてはいかがだろうか?
その過程で汝はさらなる力を手に入れるだろう。
『廃神』になるための力を...。
「んなっ...。こいつ...なんで『廃神』のことを...。」
いや...全てお見通しというわけか...。
『廃神』とは僕がこの前まで遊んでいたオンラインオープンワールドゲームの称号の一つだ。
この称号を得られるのはそのゲームで最強となった者だけだ。
そして、その最強は僕...。
誰にも言ったことない秘密だったが、なぜバレたのだろう...?
「まあいいか...。」
僕の目的はたった今、決まったのだ。
謎のメールに書かれていた3冊の書物...。
それらをこの日本という小さな国の中から見つけ出す...。
そして......
「なってみせるさ......この世界の...『廃神』――!!」
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