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この世界の廃神様 第一神実  作者: ZAB
第一章 〜《国家崩壊》〜
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第13話 【絶体絶命ニ阻マレテ】

 僕の目の前に立っている魔物は威嚇するように大きな雄叫びを上げると、僕の方へ一歩、また一歩と距離を詰める。

 さあ、どうする。

 正直、魔力は使えるだけでは意味がない。

 魔力はよく理解し、使いこなせるようにしなければならない。

 例えば、火属性の魔物に火属性の魔法をぶつけても意味がない。


 「あっ...そういえばこの魔物のステータスって見れるのかな?」


 僕がそう言った瞬間、魔物の上にステータスの映されたパネルが出現した。

 便利だなぁ。

 この魔物の名前は「オーク」で、使用属性は個体ごとに異なるらしい。

 コイツの属性は火属性だ。

 ちなみに属性レベルは...25...らしい。


 「ひっっっく...。まあいいや...」


 やることは決まった...水属性の魔法で対抗するだけだ。

 僕はまず足に意識を集中させ...


 「ここだっ...うわっととと...」


 オークと壁の間を走り抜けるが、あまりの速さに曲がり角の壁にぶつかりそうになる。

 やっぱり魔力って難しい。

 でもこれで距離は取れた。

 あとは...アイツに水属性攻撃をぶつけるだけだ!

 僕はさっきの練習のように右手を開いて前に出す。

 そして、また意識をそこに集中させる。

 脳内で自分の想像を限定していく。

 想像し得る全てを限定し...右手だけに意識を絞る。

 僕の目の前には、鉄棒のような太さの水でできた矢が浮かんでいた。


 「喜べ...。お前が最初の実験動物だ...。」


 僕はニヤけながらそう言う。

 先ほどのように一気に右手に力を込める。

 すると僕の目の前にあった矢はオークへと放たれた。

 矢とオークが接触した瞬間...


 ドーーーーン


 という凄まじい音と共に、爆風が路地を通り抜け、周囲の建物を崩していった。


 「あちゃー...今度はかなり破壊しちゃったな...」


 僕は煙に包まれたかつて路地だったところを進んでいく。

 僕が先ほどオークのいた場所に着くとそこには何もなかった。


 「あれ...もしかして存在ごと消しちゃった的な感じか...?」


 僕はそんな言葉をつぶやくと同時に、煙の奥のほのかな光を視界にとらえた。

 あれはなんだろう...魔物の魂だろうか...?

 僕はよーく目を凝らしてなんとかそれを見ようとする。

 あれは...


 「火!?」


 僕がそれに気づき、声に出した途端...僕の腹部に熱が走る。

 正確に言えば熱だけではない。

 だが、僕がこの数瞬で感じたものを全て説明するには僕の人生経験はあまりにも浅すぎる。

 僕は自分の腹部を見る。

 そこには火をまとった太い矢が刺さっていた。

 僕が先ほど説明できなかったものは、刺された痛みだったのだ。

 僕は感じたものの正体を理解し、次に矢が飛んできた方を見る。

 僕の視線の先には左手を開いて前に出しているオークが息を切らしながらこちらを見つめている。

 オークの左脇腹には何かが通り抜けたような穴が空いていた。


 「あっちは...あっちで......ギリギリ...なのか...」


 だが現状では明らかに僕の方が劣勢...。

 僕とオークは見つめ合う...。

 しばらく見つめあってオークが一歩こちらに踏み出す。

 オークが拳を握る。

 それと同時に僕の視界は歪み、皮膚の感覚が無くなった。

 いや、感覚というよりも皮膚自体が無くなってきているようだ。

 僕は全身を火に包まれた。

 飛びそうになる意識をなんとか繋ぐ。


 「こんな...はずじゃ...なかっ...た......のに.........」



 ーーーーーーーーーー



 夕日の差す無駄に豪華なレッドカーペットの敷かれた廊下を歩く。

 180センチ未満の身長でよく生徒と間違われる天パの僕...香角(カスミ) 刻四(トキヨ)は、国立天ヶ原(アマガハラ)高等学校の教師である。


 「今日こそ必ず...」


 そう言いながら僕はカーペットの末端にある扉に辿り着く。

 僕は扉をノックし、


 「失礼します」


 と言い、中へ入る。

 僕が中へ入り、扉を閉めるといかにも偉そうに手を組んで座っているハゲが、


 「そこから申せ」


 と言った。

 僕の怒りはとうに限界を超えている。

 ただ今はまだその時じゃない。

 例のイジメを解決できる可能性がほんの少しでも残っている限りは、粘らなければ...。


 「本校の生徒...常立一重へのイジメに関する話なのですが...」


 「はぁ...またか...」


 僕の言葉に被せるようにそのハゲはため息混じりの言葉を吐いた。

 そして続けて、


 「我が校でイジメは起っていない。あれは単なる戯れだ。」


 「一方的な暴力のどこが戯れなんだ?」


 「我々、教育管理部にとってはあんな出来事は戯れ程度でしかない。我々の労力も考えて発言したまえ...香角君。」


 その瞬間、僕の中で何かが破れる。


 「じゃあ、アンタは常立の命も考えて発言しろよ!」


 僕の目の前のクズは僕の言葉に多少動揺しながらも冷淡に、


 「この話を君にするのはもう何回目か忘れたが、命には重さというものがあってね、常立君の命は他と比べてとても軽いのだよ。」


 と口に出す。

 どうする?

 殺るか?

 僕は自らに激しく問い詰める。

 考えれば考えるほど思考が遅くなる。

 だんだんと白い光に包まれる。

 気づけば僕の目の前には一本の剣が浮いていた。

 僕は無意識にそれを手に取る。

 その瞬間、僕の視界の光が消え失せる。



 状況を脳内で整理するのに1分はかかった。

 僕の目の前にいたクズは何故か生まれたての猿のように暴れていた。

 よく見ると瞳の白が黒に、黒が灰色になっていた。


 「これは...練習台にしろってことか?」


 僕はそう呟きながらヤツを目で追う。

 地面を蹴るのと同時に剣を振り下ろす。

 するとどうだろうか...あれだけ憎かった顔は真っ二つに切れている。


 「なるほど...謎の剣と未知の力...ワクワクしてき...た......」


 僕の意識はここで途切れた。

 これはまだほんの始まりでしかなかった。

 そう...決して欠けてはならない始まり...。

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