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この世界の廃神様 第一神実  作者: ZAB
第一章 〜《国家崩壊》〜
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第11話 【魔力ヲ求メテ】

 ここは...どこだ...?

 僕は無事に異世界転生できたのか?

 やばい...打った衝撃で頭が回らない...。

 体が...動かせない...。

 口はどうだろうか...?


 「あ、あー。あー。」


 声は出せた...が、なんだか違和感を感じる...。

 まあ、今はそんなことはどうでもいい。

 やっと頭が回ってきた。

 顔を少し上げる。

 自分の手を見て、そっちに意識を集中させる。

 手がやっと動く。

 よし...。

 これで立ち上がれる...。

 僕は手を地面につけ、立ち上がる。


 「さてと...。魔力のある異世界はどんなものかな...?」


 と、陽気になっていた僕の期待を砕き潰すかのように目の前の光景が目に突き刺さった。


 「何も...変わって...いない...?」


 何も変わっていない。

 そのまんまの意味だ。

 僕の目に入ってくる光景はついさっき校舎に入る前のものとなんら変わっていなかった。


 「おかしい...。僕は異世界に転生して魔力で活躍するんじゃなかったのか?」


 陽気に投身自殺するほどには期待していたのでショックだった。

 いや、まだ希望はある。

 もしかしたら景色だけ同じで他は全く違う異世界に転生できている...かも。

 仮にそうだとしたら異世界転生の超特殊ケースになるが...。

 僕はその一縷(いちる)の望みにかけて、また校舎に入る。

 校舎に入ると迷わず、さっき行ったトイレに向かう。

 そのトイレには僕が吐いて処理せずそのままにした吐瀉物があるはずだ。

 まるでこのためにマーキングしたかのようだ。

 トイレに吐瀉物があれば地獄、なければ天国だ。

 僕は出発時刻ギリギリの電車に駆け込むようにトイレへ突っ込んだ。

 目に入ってくる情報を今までにないくらいのスピードで処理する。


 「嘘だろおおぉぉぉぉ...」


 自分の心に浮かんだ言葉を今までにないくらい情けない声で嘆く。

 トイレに入るとそこには、例のブツがあった。

 吐瀉物でこんなに絶望したのは初めてだ。

 僕はただただ、立ち尽くすしかなかった。



 さて...異世界転生していないことが発覚してから数時間が経過した。

 外はもう真っ暗だ。

 目の前の吐瀉物は乾いてただの汚れとなってしまった。


 「......帰るか...。」


 ここでずっと立っているのも時間の無駄だと思い、帰るために後ろを振り返る。

 僕は見逃さなかった。

 鏡に映った人の姿を。

 僕が鏡へ近づくとその姿もこちらへ近づく。

 顔が映る。

 僕が頬を触ると、その姿も頬を触る。


 「マジか......。」


 間違いない。

 鏡の中のその姿は僕だ。


 「別人じゃん...。」


 平均身長で顔もパッとせず、前髪で目元を隠していたかつての僕は、高身長で顔がスッとした俗に言うイケメンになっていた。

 だが...一番変わったのは...


 「赤髪って...不吉すぎだろ...。」


 そう、僕の目を隠すために貢献していた街灯のない夜道のような黒色の髪は、血を連想させるような真紅に染まっていた。

 だが、そんなのはどうでもいい。

 想像していた形とは多少違えど、僕は一応生まれ変われた。

 あとは...


 「魔力ってのはどうなったんだよぉ...」


 結局、どれだけ顔とスタイルが良くても魔力がなければ活躍はできない。


 「なんだかムカついてきた...。あの変な声が言っていたのは全部嘘だったのか...?」


 僕は湧き上がってくる怒りに身を任せて、壁を殴ろうとする。

 その結果はもうわかっている。

 鈍い音と共に手を痛めるだけだ。

 運と当たりどころが悪いと、最悪骨折するかもしれない...。

 しかし、僕の殴ろうとした右手が壁に触れた瞬間、


 ガラガラガラ


 という粉砕音と共に、目の前の壁に小さな子供が屈んで入れそうなくらいの大きさの穴ができた。

 それから間も無く、僕の身体中に『何か』が巡るのを感じた。

 血液とは違う『何か』。

 その『何か』に適応しようとしているのか、それとも拒んでいるのか、身体中が熱くなる。

 さらに右半身の胸あたりから突くような痛みを感じる。

 やばい...倒れる...。


 「倒れるの...今日...これ..で...何回...目...だ......よ.........」


 僕は倒れ、そして気を失う...。

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