第10話 【転】
僕はずっと...考え続けていた...。
今、僕と伊岐たちの間で起こっているイジメを滅する方法を...。
このイジメによって、香角先生に迷惑をかけているのは火を見るよりも明らかだった。
僕は自分の...いや、香角先生のために、このイジメという病の原因療法を探し続けた。
でも無理だった...。
一年という月日を要しても、イジメはなくなるどころかみるみる悪化していった。
明日には、香角先生が上にこの件を直接伝えに行くだろう。
彼が本気なら、皆殺しとまではいかなくてもなんらかの反発はするだろう。
そうすれば...彼は確実にクビだ。
僕にはそれを止める術は無かった。
鏡で自らの醜い顔を見るまでは。
自分を見て気づいた。
このイジメという病の原因療法にも、香角先生を救う方法にもなれる...そんな術を僕はすでに持っている。
僕は、自分の目の前にある腰程度の低さの柵を掴む。
空を見上げる。
墓石のような鈍色の空はこんな僕を受け入れてくれなさそうだ。
ただ、決心はもうついてる。
僕は柵を跨ぎ、校舎の淵に立つ。
「あとは...一歩......踏み出すだけ...。」
と呟きながら、目を瞑る。
その瞬間、激しい耳鳴りが始まった。
真っ暗だった目の前がいきなり真っ白な光に包まれる。
〜「...よ... ...年よ... 少年よ...」〜
誰だ?
何かが呼びかけてくる。
〜「少年よ...汝の望むままに世界を変えよう...」〜
何を言ってるんだ?
世界を変える?
僕の思うままに?
〜「少年よ...汝の望む世界を述べよ...」〜
なんだ?
コイツは転生の話でもしてるのか?
だとしたら...
「魔力のある世界にしてくれ。それだけが僕の望みだ。」
僕は見えもしない何かに向かってアニメのような理想を語る。
〜「少年よ...汝の望み...聞き届けた...。」〜
その言葉の直後、僕の視界の光は消え失せた。
瞼を開ける。
「...眩しい...。」
僕の目の前には僕に向けたスポットライトのように夕日が輝いていた。
「さてと...」
もう僕が恐れるものは何もない。
転生後は魔力のある世界で波乱万丈な人生を送れるだろう。
僕は遂に、床のない空中へと飛び出す。
地面を見続ける。
1秒後、僕が目を瞑るのと同時に
「ドスンッ」
と鈍い音が鳴り響く。
これは、ある意味では、僕の新たな人生の始まりだった。
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