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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

喜怒哀楽

作者: ほんの未来

 前回短編に続き、擬人化の嵐が吹き荒れすぎて、船が難破したようです。

 いつもの悪い冗談、お楽しみ頂ければ幸いです。

 君のいる島を目指して、船に乗り込んだんだ。

 でも、困ったことに難破した。

 脳散(のーち)らす号なんて、やべー名前の船に乗ったが運の尽き。

 なんで乗ったの、ホントにさ。今さらの話なんだけど。


 そんなこんなで見事に沈没。

 ここまま行き先、海の底? 目指すは海底2万マイル?

 救命ボートで脱出だ! 慌てずすかさず、速やかに。

 (よろこび)さん、(いかり)さん、(かなしみ)さん、(たのしみ)さん。以上4名漂流中。


 こんなことになるなんて!

 しょっぱい大海原(げんじつ)が目の前に広がっている。

 水と食料は何日分? 救助の見込みはまるでなし。

 はてさて、一体どうしよう? ホントに困った、死んじゃうよ!


 喜べないのに、(よろこび)さん。どうにもこうにも落ち込んでいた。

 水と食料、超貴重。いっそ身を投げれば楽じゃない?

 1人だけでも食い扶持減らせば、皆のためになるんじゃない?

 (いかり)さんは怒って止めた。命を粗末にするんじゃない!


 そうこう言ってもお腹は空くし、かんかん日照りじゃ(のど)渇く。

 ウミガメ捕まえ、ナイフで(さば)く。水と食料、節約中。

 それでも最後の晩餐は、みんなでキレイに分け合った。

 ああ、早く君に会いたいな。(かなしみ)さんは涙を流す。


 飢えと渇きの朝を越え、孤独と無明の夜を越え。

 きっと、どうかしてたんだけど、(たのしみ)さんはこう言ったんだ。

 ねぇ、生贄(いけにえ)を決めないかい?

 4人朦朧(もうろう)上の空、うわごとだけがただ響く。


 公平にくじ引きで決めようか?

 無用の有りもので、くじぐらいなら作れるよ。

 誰かひとりが犠牲になって、その血肉で生き延びるんだ。

 こんな状況じゃ仕方ないだろ? みんなはどう思う?


 (よろこび)さんは賛成した。ただ死ぬよりも、ずっといいよね。

 (かなしみ)さんも賛成した。こんな状況じゃ、仕方ないよね。

 (いかり)さんは反対した。心が揺れる、弱さに怒りを隠せない。

 いつ如何(いか)なる時であれ、少数を犠牲にはできないな!


 (たのしみ)さんは諦めた。やっぱり殺しちゃダメだよね。

 (よろこび)さんは考えた。自殺でももちろんダメだよね。

 (かなしみ)さんはどう思った? ひとり、静かに泣いていた。

 (いかり)さんは目を逸らす。ただただ遠くを見つめてた。


 最初に倒れたのは、(かなしみ)さんだった。

 泣いてばかりの(かなしみ)さん、とうとう虚脱に(おちい)った。

 あれほど飲むなと言ったのに、渇きに耐えかねちゃったんだ。

 海水(げんじつ)を受け()れるのは、あまりにしょっぱすぎたんだ。


 半死半生、(かなしみ)さん。呼吸は浅く、息絶え絶え。

 (よろこび)さんは、(いかり)さんの目元を覆う。

 (たのしみ)さんはふらふらと、ナイフを手に取った。

 もう、どうしようもないよねって。


 いいよ、乾いた同意が漏れたんだ。

 (かなしみ)さんは、理解(わか)ってた。

 つらい役目を任せてごめんね、そうつぶやく。

 大丈夫だよ、もういいよ。あとは、みんなに任せるよ。


 (いかり)さんは怒ってばかり。それは期待の裏返し。

 いつも北極星(とおく)ばかり眺めてるんだ。

 その星はちょっと真北からずれてるんだけど。それもご愛敬さ。

 (いかり)さんが遠くを見ててくれるから、海路(みち)辿(たど)っていけるんだ。


 (よろこび)さんは仲間思いで、本当に気が利くよね。

 いつも水平線(まわり)ばかり気に掛けるんだ。

 だからこそ、疲れちゃうこともあるんだけど。それもご愛敬さ。

 (よろこび)さんが周りを見守ってくれるから、安心して進んでいけるんだ。


 (たのしみ)さんは身勝手で、ちょっと困った奴だけど。

 いつも脱出艇(じぶん)のことは見逃さないんだ。

 打開策(アイディア)は大概マッドで、クレイジーだけど。それもご愛敬さ。

 (たのしみ)さんが自分を見失わないから、(くじ)けず前を向けるんだ。


 それに比べて、私はさ。泣いてばかりの役立たず。

 大丈夫だよ、(いかり)さん。その正義は、過ちなんて二度と繰り返さないから。

 大丈夫だよ、(よろこび)さん。その希望は、絶えず辺りを照らし続けるよ。

 大丈夫だよ、(たのしみ)さん。その才能は、明日涸れるほど頼りないのかな?


 私のことは忘れてよ。

 なんなら最初から居なかったってことにしてよ。

 なぁに、今なら誰も見ていない。バレやしないさ、大丈夫。

 素知(そし)らぬ顔で大海原(げんじつ)を渡っていけば、それでいいんだよ。


 違うよ! (かなしみ)さんは優しくて、ただ繊細なだけなんだ。

 いつも羅針盤(ココロ)にしっかり向き合ってるんだ。

 愛にあふれるから、涙がこぼれるんだ。それもご愛敬さ。

 (かなしみ)さんが居なかったら、どんな表情(かお)で君に会いに行けばいい?


 必死に呼びかけるんだ、声を上げるんだ。

 力を合わせて、ひとつになって、生きていこうと決めたんだ。

 生きて足掻いて、辿りつくんだ。

 君の(もと)へ。


   †


 え? それで、どうなったかって?

 いま、君の目の前にあるものは? そういうことだよ。

 めでたし、めでたし。これにてハッピーエンド!

 最後まで読んでくれて、ありがとう。

 拙作を全部読んでくれてる友人に、「哀」の表現が上手いよね、と言われたので。

 喜怒哀楽、全部書けます>< って衝動が沸きました、アイディアをありがとう。


 スマホの買い換えで1日潰れちゃいましたが、何とかアップ。

 掌編・短編だと書くよりアイディア生まれる方が早いみたいなので、書くのが追いつかず^^;

 小説ファイルの管理方法やら見直した方がいいかな? とか色々やってみます。


 次回、『記述主義者が生まれた日。』、書いてて詰まったら別のになるかも? 近日更新!


 あとがき下のところから、評価を頂けると作者のテンションが爆上がります。よろしくね!^^

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