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葦毛の雄王〜転生の優駿達〜  作者: 大城 時雨
クライマックス 勝利の鼓動
51/79

51.FUSION

また投稿できんくてすいません!

あの日から、俺は3日間を寝て過ごした。痛めた所が心臓だったということで、大事を取っての選択だそうだ。それのおかげで、自分の身体について少し考えられる時間が生まれた。


まずはあの謎の声が言っていた内容を整理する事から始めた。まず1つ、力だ。これはまぁ……普通に考えれば走力だろうな。俺が今までの事を振り返りながらしきりに速さについて考えていたからこのような空耳が聞こえた……というふうにも考えられる。


もう1つは“魂”という単語だ。それにくっつけて、1つになるとかも言ってたっけな。これに関しては本当に謎が多すぎる。考えていたから出た空耳理論も通用しないし、別に俺がラリってるとも考えづらい。ならば、俺が転生し、人と話せるのと同じく、人知を超えた現象なのではないか。


もし、この世界に魂というものがあるとするならば、あれが言っていた事に辻褄が合う。そう、俺はこんな仮説を立てた。


俺は人が馬に転生して生まれたイレギュラーな存在 (アカガミリュウオーやアースガルド達もそうだが)だ。しかし、思考や心や記憶等々は生前のものを引き継いでいる。そう、心と身体の不一致が起きているのだ。


形としてはこうだろうか―元々、シンジスカイブルーはシンジスカイブルーとして、ただの競走馬として産まれてくる予定だった。だが、そこでイレギュラーが発生した。青空慎二という魂の存在だ。その魂が何らかの方法を使って、シンジスカイブルーの中へと入り込み、シンジスカイブルーのコントロールを乗っ取った。それによって、本当のシンジスカイブルーとしての心というのは、どこか奥深くに封印されてしまった。それが今回、なんかしらの影響を受けて発現した……


普通に考えりゃありえねぇ説だ。科学もクソもありやしねぇ。でも、俺の存在自体が科学ガン無視だからな。元理系大学生としては許せねぇが、これが1番有力だと考えている。ありえねぇけどな。うん。


仮説を立て終えた俺は、元のシンジの魂との会話を試みた。頭の中で彼について考え続ける。何回も何回も繰り返した。が、上手くいかなかった。これを2日間続けても成功しなかったため、今の状態では呼び出す事は不可能だと考えた。


どうすれば呼び出せるのか。俺は方法を模索した。“答えは彼の言葉にある”これは深く理解していた。彼は何を言っていたのか、俺はあの時を思い返す。


「もしお前が己の強さを信じ、さらに力をつけるのならば、私は再びお前の前に現れるだろう。」


「あ、もしかして……」


そうか、これだ!これこそが答えだ!俺は遂に気づいた。彼にもう一度会う方法を。俺は人目もはばからず飛び跳ねた。そう、この言葉のまんまだ。“自分の力を信じる”これが答えだ。


俺は今までも自分の力を信じられるだけの努力はしてきた。だが、彼に言わせりゃまだまだなんだろうな。なら、自分を本当に信じられる―自分こそが最強だと思えるぐらいに強くなればいいだけ。そうだろう?


思い立ったらすぐ行動!俺は信頼のおける1人の厩務員に、調教師を呼んでくるよう頼んだ。


――



「おーう、俺になんのようだ?まさか、走りたいなんて言うんじゃあねぇだろうなぁ?今日までは絶対安静だぞ!」


おいおい、勘弁してくれ。俺はこんな状態で走りたいって言うほど馬鹿じゃねぇよ。まぁそんな事はおいておいて、俺は浮かんだ考えを伝えた。


「ふむぅ……もしお前がただの馬だったら、そんな事はありえねぇって言えるが、お前は特別だからなぁ……可能性としては捨てきれん訳だし……それが調教にもなるかもしれないし……でも怪我のリスクもあるし……うーん……」


調教師は珍しく悩んでいた。俺がやろうとしている事は、自分自身の限界を超えるということ。それには、大変なリスクがついてくる。そうでなくても、脚に負担は必ず残ってしまう。もしそれが菊花賞に影響を与えるならば、却下すべきだ。数分考えた後、調教師はようやく重い口を開いた。


「よし!お前の気持ちはよーぉくわかった!限界を超える“超絶大特訓”を許可しよう!かなり辛い戦いになるだろうが……いいな?」


その言葉が聞けて、俺は嬉しかった。今までの特訓を優に超える特訓……それの許可を出してくれたからだ。俺の心は燃えていた。そして、調教師の問いにこう答える。


「当たり前だ!」

今回もご閲覧ありがとうございました。

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