四話 冷姫
一人の女子生徒が入ってきた。
この高校には三大美女と言われている女子生徒がいる。その可愛さや美しさから校外でも有名だ。
今年で三年生がいなくなったから二大美女になってしまうだろう。学年に一人ずついたはずだ。
三大美女は有名なので俺でも知っている。
別に興味があるわけでもないが…
「私の席はどこですか?」
「あ、ああ…空いている席の廊下側だ」
それで俺と同じく遅れてきた女子生徒が、件の生徒の一人、東雲 冬華、通称『冷姫』と呼ばれている。
名前の由来は、透き通るように流れる黒髪に、氷のように冷たい眼差し、そしてよく告白されるらしいが、毎回冷たい言葉で断る…などからきている。
彼女のその冷たい態度がまた良い、などというファンは後を絶たない。
先生すら話しかけられて言葉に詰まってる。
「すごい綺麗」
「めっちゃ可愛い」
みんな冷姫に見惚れている。そんなか?
「ちょっと邪魔だからどいてくれるかしら」
「あ、ああ…ごめん」
俺はそそくさと窓側の空席に座る。続いて冷姫も隣にスっと座る。
……凄いな…背筋伸ばしてキリッとしてる。
「なにか?こっち見ないでくれる?」
「あ、いや…すまん」
俺はサッと顔を伏せる。
なんか謝ってばっかだな。潜在的に自分が下だと感じているというのか…
ーーー
「これでホームルームは以上だ」
いつの間にかホームルームは終わっていた。
「寺坂、あと… 東雲さん、今から職員室に来なさい」
冷姫は少し眉をひそめた。
なんだろう、怒られるのが嫌なのかな…
俺はもう諦めがついているので立ち上がり、先生についていく。すると冷姫も何も言わずについて来た。
ーーーー
「どうして今日は遅刻したんだ?」
職員室に着くと先生はすぐ遅刻の理由を聞いてきた。
俺は悪いことなどしていないし、正直に話すとしよう。
「俺は…ちょっと迷子になってた子がいまして、その子を送り届けてて遅れてしまいました」
「そうか…それはいいことをしたな。だが遅刻は遅刻だ、次からは気をつけなさい、もう行っていいぞ」
この先生…優しかったのかもしれない。
えっ…なんかめっちゃ東雲が睨んでくるんですけど。
……ではでは…さっさと戻りますかー
俺は逃げるように教室に戻る。
ーーーー
「はぁー」
俺はため息をつく。
無事教室に戻れたけどみんな遠目から俺を見てくる。
これは完璧に避けられられてるなぁ。
これからどう学校生活を送ろうか…
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