三話 みくちゃんの事情
私は今、お姉ちゃんと歩いている。私にお姉ちゃんがいたことを知ったのは最近だ。
今までずっとお母さんと一緒にいた。だからお姉ちゃんがいたなんて知らなかった。
いきなりおばあちゃん家に住むことになったのはなんでだろう…
「今日からみくちゃんは、野ばら保育園に行くんだよ。」
「野ばら保育園ー?」
「ふふっ、そうよ~」
優しく私の頭を撫でてくれる。
お姉ちゃんは優しい。困っている時はいつも助けてくれる。こんなお姉ちゃんになりたいなぁ。
「それじゃあ、いこっか!」
「うん!!」
私たちは手を繋いで歩き出す。
ーーーー
……迷っちゃった…
可愛いねこちゃんがいていつの間にか体が勝手に動いていた…
ここはどこだろう?ねこちゃんもいない…
「おねーちゃーん!ねこちゃーん!どこー?」
ーーカサカサッ
「ひっ!!」
何かいるっ!怖い怖い怖い怖い怖い怖いっ!!
私はがむしゃらに走った。
ーーー
私は気づいたらどこか分からない薄暗いところに座り込んでいた。
お姉ちゃん…どこぉ…?
「うっ…ううぅ……」
誰もいない…暗い…寒い…怖い…
「ひっく…ひっく……」
だれか……
「大丈夫かい?」
だれ!?
私は凄い勢いで顔を上げる。
「だっ、だぁれ?」
話しかけてきた人の顔を見る。
あっ…優しそうな人だなぁ…
「僕の名前は寺坂 春斗。よかったらお名前教えてくれるかな?」
名前っ名前っ!!早く言わないと!
「わっ私は…みく…」
うっうまくいえたかな?
「そっかぁ、みくちゃんっていうんだね」
ちゃんと伝わってよかったぁ…
「それで…こんなところでどうしたの?もしかして迷っちゃた?」
私はこくりと頷く。するとお兄さんは行きたい場所を尋ねてきた。
行きたい場所…お姉ちゃんが言ってた!確か…
「野ばら保育園ってところ…」
「そこならわかるよ。僕と一緒に行こうか」
お兄さんが手を差し伸べてくれる。
「あ、ありがとう、お兄さん…」
私はお兄さんの手を取った。
あっ…あったかい…
お兄さんの顔を見てみると少し笑って
「それじゃあ行こっか!」
手をギュッと握ってくれた。
私は顔が赤くなるのを感じた。
「う、うん!」
私もお兄さんの手を握り返す。
そこから私たちはゆっくりと歩いた。
その間、お兄さんと色々話した。
お兄さんは高校生なんだそうだ。
「お兄さん!また会えますかっ?」
「また会えるよ、すぐにね」
すぐに会えるのは何故なのか不思議な顔をすると、お兄さんは少し笑っていた。
お兄さんが保育園の先生に私が迷子になっていたことを話してくれた。
お兄さんと別れるのは寂しいけど、すぐに会えるから我慢する。
私はお兄さんに手を振る。お兄さんは笑顔で手を振り返してくれた。
私は先生と一緒に保育園に入る
…………あっ!お姉ちゃん忘れてた!!
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