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二十三話 お家訪問

ひ、ひさしぶりぃ…

俺は早歩きで幼稚園の廊下を進んでいく。

ドアを開けたら冷姫がいた。シュッとした立ち姿で腕を組んでいた。


すぐ目を逸らしたが、あの冷たく鋭い眼光で俺を見ていたに違いない…ぶるっ…寒気が


そろそろ職員室に着く。

一年以上の付き合いで仲が良いとはいえ大人だ。気持ちを切り替えないと。



ーーー


【園長先生】


「春斗くん遅いなぁ…今日は職員室よって来ないのかな…?」


私は時計を見ながらつぶやく。

するとあの二人が近づいてくる。


「そう言えば春斗くんパンダ組にいたなぁー」

「楽しそうだったなぁー」


んぐっ…わざとらしい…


「行けばいいのに…」ボソッ

「度胸がありませんなー…」ボソッ


……絶対聞こえるように言ってるよ…


「い、行きたいなんて思ってないもん!」

「「へぇー」」


2人はニヤニヤしながら私を見てくる。

む、むむ…


「これだから春斗くん園長に意識ないんですよ?」

「この姿見せればいいのにー」


「わ、私は春斗くんに大人の女性に見られたいの!」

「だまれ抜けてる先生」

「お前のキャラを考えろ」

「ひどいっ!?」


仮にも私は園長で、彼女らより偉いのに!

昨日だって私の家に急に転がり込んできてどんちゃん騒ぎされたし…


「まあ、園長はそのままで大丈夫ですよ」

「なかなかいいキャラです」


2人はウンウンと頷いている。

キャラって何…


こうしているうちにどんどん時間は過ぎていった。

この調子じゃあもう春斗くんは帰っちゃったかな…私はため息をつく。


春斗くん、モテるだろうなぁ…

料理できるし、「子育てもできるつ!」、

イケメンだし、「それでいて優しい!」


「…………」

あんの二人が私の思考を読んでくる。

考えてたのが春斗くんなので、責めるに責められない。



ーーーコンコンコン


あれ?誰だろう、こんな時間帯に。誰かの親御さんかな。


「失礼します。寺坂 春斗です」


え!?まだ居たんだ!少し嬉しい…


「またまた乙女の顔をしておりますよー」

「えんちょかわいっ!」


二人は私を弄ってくる。顔に出てた…?


「こんにちは。園長先生。何かいいことでもあったんですか?」

「い、いえ!なんでもないわ!」


後ろであの二人がにやにやしてる顔が目に浮かぶ。ぐぬぬ…


「今日は遅かったけれど、なにしにきたのかしら」


私は春斗くんに問掛ける。正直今日はもう来ないかと思ってたからびっくりした。


「いえ…特に用事があったわけではないんですが…そうですね、強いて言うなら園長と世間話でも、と」

「わ、私と!?」


私は胸が躍っているのが分かる。これじゃあ本当に恋する乙女ではないか…


「そうね。仕事も一段落付いたし、そこのソファで話しましょうか」


私は大人の余裕を見せるように、春斗くんをソファに誘導し、客人用の紅茶を用意した。


「ありがとうございます。ここまでしてもらって…」

「いえ、いいのよ」


私は自分も用意した紅茶を1口飲む。

それに合わせて春斗くんも紅茶を飲む。


「お、美味しいですね…この紅茶…今度作り方教えてください」

「ほ、ほんと!?うん!今度教えるわ!」


春斗くんに褒められ嬉しくなって大きな声が出てしまった。私は恥ずかしくなってまた紅茶を口に含む。


「なにか最近いい事とか楽しいことありました?」


春斗くんが世間話を聞いてくる。

んー…あ、そう言えば、


「そうね…私、姉がいるんだけど、その姉も育児の仕事に就いてるのよ。その姉が育児本を出してたわね」

「それはすごいですね!見てみたいです!」


春斗くんが興味津々で聞いてくる。


「私の家にあるから今度…」


……ん?春斗くん後ろにあの二人が何やら立ってる。


「「今から行ったらどうです?」」

「おわぁ!びっくりした…」


春斗くんがソファに手をついて振り返る。


「そんな事しなくても…今度持ってくれば!」


私は必死の反撃をする。春斗くんを自分の家に招待なんかしたらドキドキして死んじゃう…


「そうですよ。時間はありますし…」


よ、よし!春斗くんナイス!


「園長…今度の演劇会…どうするんです?」

「んぐっ…」


そ、そこを突かれるときつい…


「あれ、そう言えば今年はどうするんですか?もうそろそろでしたよね?」

「それがねー春斗くーん。園長先生まだ決めてないのよぉ~」

「何がいいか迷っててねぇ~。園長先生の家にその資料があるんだけどぉ…」


や、やばい…押し切られそう…


「で、でも!まだ未成年の春斗くんを家に呼ぶのは…」

「そ、そうですね!いけないですよね!」


二人は凄まじいコンビネーションで私たちの開けた穴を塞いでくる。


「私達も行きますから」

「これなら大丈夫ですよ」


「仕事は…」

「「終えてます!」」


怖いなぁ…あの二人が何かしでかすに違いない。


「そ、それなら大丈夫かな…断る理由もないし…」


これは本当の事だ。

でも欲を言うと、ちょっと、春斗くんを自分の家に呼んでみたかった。

……ちょっとだけ!!


「それじゃあ私の車で行きましょう!」


ついてくる二人が車を出してくれるらしい。

私も公共機関を使って保育園に来ているので都合がいいけど、


ふ、不安だぁ……

読んでくださってありがとうございます!

よかった評価、ブクマよろしくお願いします!

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