二話 迷子の少女
よろしくお願いします!
絵美ちゃんとお母さんと別れて小走りで学校に向かう。少し話し過ぎた。
なんと、今日は高校二年生になってはじめての学校なのだ。今日遅刻したら絶対不良だと思われる…
今日はショートカットで行こう。この裏道をとっていけばいけるんだが、この裏道誰かの私有地なんだよなぁ…
「うっ…ううぅ……」
ん?どこからか女の子の泣き声がする…
あの隅からかな?今時間ないんだけどなぁ…
…いた。体育座りで突っ伏している。
「ひっく…ひっく……」
「大丈夫かい?」
女の子がすごい勢いで見上げてきた。泣き過ぎて目元が赤くなっている。
「だっ、だぁれ?」
女の子が首をこてんとして尋ねてくる。
「僕の名前は寺坂 春斗。よかったらお名前教えてくれるかな?」
「わっ私は…みく…」
「そっかぁ、みくちゃんっていうんだね」
俺はしゃがんでなるべく怖がらないように接した。
「それで…こんなところでどうしたの?
もしかして迷っちゃった?」
みくちゃんはゆっくりと頷いた。
「どこに行きたいの?」
「野ばら保育園ってところ…」
驚いた…俺が部活で行っている保育園だ…
「そこならわかるよ。僕と一緒に行こうか」
幸い、野ばら保育園とうちの高校は近い…ってか隣にあるのだ。まぁそこらへの説明は後にして、俺は中腰になって手を差し伸べる。
「あ、ありがとう、お兄さん…」
みくちゃんは恐る恐るだが僕の手をとってくれた。しっかり手を握ったのを確認し、
「それじゃあ行こっか!」
「う、うん!」
俺は少女の手を引いてゆっくりと保育園に向かった。
ーーーー
キーンコーンカーンコーン♪
あ、ホームルームのチャイムなっちまった…
あの後しっかりとみくちゃんを保育園に届けた。最後には結構打ち解けてくれた。
「なんで春斗くんがみくちゃんを?」と園長に訊かれたりもしたが、まぁ大丈夫だろう。
ひとまず昇降口前に貼ってあるクラスの紙見ないと…… っとあった俺の名前。
この学校はA組からE組まであって、俺は今年はB組だった。クラスの人を確認する時間もないので急いで教室に向かう。
うわぁ…話し声が聴こえる…
このまま回れ右して帰りたい…
ドアの前でうろちょろしていると、ガラガラッとドアが開いてしまった。
「君が寺坂 春斗くんだね。早く入って席につきなさい」
「はっはい、すみません!」
お咎めなし!?優しい男の先生だな〜。良かったぁ。
「後で職員室に来るように」
……前言撤回…優しくはないようだ。
あれ?席が二つ隣合わせで空いてる…
やべぇ…確認してないからどっちかわからん…
「先生…俺の席はどっちですか?」
「お前は窓側だ」
「くすくす」
「初日から遅刻って…」
「笑える…」
お、終わった…俺の高校二年生の日々が…
その瞬間
ーーガラガラガラッ
「すみません、遅れました」
読んでくださってありがとうございます!