十三話 寺坂家
日間ランキング4位に入りましたっ!!
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俺は向日葵を家に送ってから帰路に着く。
俺達、寺坂家は女手一つで成り立っている。
父親は、母さんが言うには俺達が小さい頃にどっかいってしまったという。
なので、母さんの帰りはいつも遅めだ。
なんの仕事をしているのか教えてもらったことはないが、やばい仕事ではないらしい。
「ただいまー」
「おかえりー!」
琴音は帰宅部なので俺が帰る頃には必ずいる。
以前なぜ部活に入らないのか聞いたところ、誰かが家で出迎えてくれる人がいると嬉しいでしょ?と言っていた。
いい子過ぎる。
だが…
「ご飯にする?お風呂にする?それとも…わ、た、しぃ?」
なんてニヤニヤしながら言ってくる。
からかっているのは分かっている。
そっちがその気ならこちらも…
俺は琴音に近づき、顎をクイッと上げさせて
囁く。
「じゃあ…琴音をご馳走になろうかな…」
「は、はいぃ…」
琴音は顔をほんのり赤くして受け入れる。
…えっ!ご馳走になっちゃダメだろっ!
ーーいや……これも演技だというのか!?
そうしたらもう女優と言っていいレベルだろ!
「はぁ~…琴音は上手いな、まんまと騙されたよ」
「それじゃあ…このまま一緒にお風呂に……
はぇ……?」
琴音が間抜けな顔をする。
「え?いやぁ…すげぇ演技だったなって」
「あっ…ああ!そうそう!お兄ちゃん、すっかり騙されてたね!」
琴音は腰に手を当てて胸を張る。
身長が小さい人がこれをすると可愛く見える
俺は靴を脱いで自室に向かう。
「先に風呂入るわ」
「そっそう!それじゃあごゆっくりっ!」
琴音はリビングの方に走って行ってしまった。何をそんなに焦っているんだ…?
階段を上がり自室に入ると、リュックを置き、制服を脱いでクローゼットに掛けて、スウェットに着替える。
今着たスウェットは、風呂に上がったあとでまた着るので下着だけ持って風呂場に行く。
一度スウェットを着てしまうのはしょうがない。パンツ一丁でうろつく訳にもいかないし、親しき仲にも礼儀ありってやつだな。
俺は風呂場に着くと、もう一度服を脱ぐ。
脱いだ服をまたしっかりと畳んでバスタオルの上に置いて、風呂場に入っていった。
ーーー
【琴音side】
「ーーーっ!!」
今私はリビングのソファに横たわり、クッションに顔をうずめている。
するとさっきの出来事がまた脳内再生されて…
「いやぁぁああ!!はずっ!はずい~!!」
私は足をバタバタさせる。
声はクッションのお陰でくぐもって聞こえるので、おにぃまでは聞こえないはず。
「あれはずるい…あんなの反則だよ…」
私は消えそうな声で呟いた。
それと同時にニヤニヤも止まらない。
またさっきの出来事を思い出す。
「……お兄ちゃん…召し上がってください…」
ひゃぁああ!!思わず口に出てしまった!!
私の願望がっ!
……そしてそのままベットに…
私のイマジネーション爆発しろぉ!!
「召し上がるって夕飯のことか?」
…………えっ?
振り向くと頭をタオルで拭いているお兄ちゃんがいた。
「……いっ…いつからいたの…」
「…さっき来たばっかりだぞ」
…よっ…よかったぁ……
「召し上がってください」だけじゃ分からないもんねっ!そうだよね!!
今でも恥ずかしくて死にそうなのに、もっと前からいたなんて言われたらもう死ぬ。
さっきのセリフもいい感じに勘違いしてくれた。
私は深呼吸してさっきまでのピンク色な妄想を取っ払う。
「それじゃあ…ご飯食べよっか!」
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