十話 冷姫の勘違い
日間ランキング9位に入りました!!
自分でも驚くくらいみんなに見て貰えてて嬉しいです!
私は隣に恩人がいるというのにお礼を言えずにいた。
わっ、私男性に話しかけたことないかも…
話しかけられることは多かったけど、話しかけることは無かったことに気づいた。
どうやって話しかけようかとあれこれ考えていたら、いつの間にか昼休みになってしまった。
はぁー…まぁしょうがない…
学校では昼休みと放課後しかスマホが使えないので、今は保育園に電話しよう。
ーーー
私は教室を出て人気のない場所に移動した。
私はスマホを取り出して保育園に電話をかける。
「はい、野ばら保育園の川崎です」
「すみません、東雲 未郁の保護者のものですが、今朝私がそちらに向かえなかったもので、未郁のことが心配になってお電話させていただきました」
「そうでしたか。みくちゃんはみんなと仲良く楽しそうにしてますよ」
それは良かった…不安になっていないか心配だった。
「ですが…たまに誰かを待ってるような顔をするんですよね」
誰かを待っている…?
多分、いや絶対その人は私のことでしょう!!
待っててね、みくちゃん!学校が終わったら直ぐに会いに行くわ!
「そうですか、ありがとうございました」
「いえいえ。では失礼します」
私は相手が電話を切るのを待った。
相手が切るまで待つのは礼儀だ。
……よし、それじゃあ教室に戻りましょう。
ーーー
教室に戻ると周りがザワザワしていた。
「爆ぜろリア充!」
「ちっ、見せつけやがって」
なんのことでしょう?
私は自分の席に戻る。
…えっ?
隣の席の寺坂さんが可愛らしい女子を抱き抱えて頭を撫でている。
女子は寝ているのか反応がない。
なっ何あれ?
二人は付き合ってるのかしら?
それでもいいのだけれど、甘々すぎて砂糖を吐きたくなる…
あっ、女子が起きた。
すると顔を真っ赤にしてドピューンと出ていってしまった。
一体なんだったのよ…
付き合っているのなら堂々としてればいいのに…
ーーー
ついぞお礼も言えずに最後の授業が終わってしまった。
隣を見ると寺坂さんがさっさと帰ろうと言わんばかりに手早く帰りの準備をしている。
早くお礼をしなくては…
「起立、礼、さようならー」
帰りの挨拶をして寺坂さんがリュックを背負って歩き出す。
寺坂さんが行ってしまう…!
「……まっ待って」
あ、寺坂さんが止まった!
気づいてくれてよかった…
あっあれ?少しキョロキョロしたら行ってしまった。
「…っ!!ちょっとっ!」
私は急いで廊下を出るが、もうそこに彼の姿は見えなかった。
走って行ってしまったのだろう。
ま、まぁでも反射的に呼び止めてしまっただけで、全然話す内容考えてなかったから良かったのかもしてない…とか考えてみたり…
はぁー…私って意気地がないわね…
明日こそ彼にはお礼を言わなくては。
放課後は保育園に行かないと…
''私''を待っているみくちゃんのため野ばら保育園に向かう。
ーーー
ーーようやく着いた。
道中に、迷子にさせてしまった私にみくちゃんが怒っていないか、などあれこれ考えていて遅れてしまった。
冷姫が歩きながら真剣な顔で顎に手を当てて考えてた姿が、美しく、クールでカッコよく、なんか凄いことを考えていたと噂されるのはまた別の話。
私は保育園の門をくぐって、職員室に向かう。
まずは先生に挨拶しなくては…
ん?地面に座っている人がいる…?
あれ!?あれって…
「みくちゃーん!!」
私の可愛いみくちゃんだ!!
私はみくちゃんのもとに駆け出す。
……………はっ?……
そこには、寺坂さんの足と足の間に入り、抱きついて撫でられている''私の天使''の姿があった……
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今日は午後にもう1話投稿します。
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