元魔法少女黒咲密子
今から10年くらい前、魔王をたおして世界を救った魔法少女がいた。美しい黒い髪、愛嬌のある瞳、スレンダーなボディ。とても美しかったらしい。美しかったと言い切らなかったのはこの私が黒咲密子本人だからである。そして今はその姿とはかけ離れた醜い姿になってしまったからだ。美しくて黒い髪はボサボサでパサついた髪に、
愛嬌のある瞳は死んだ魚のような目に、スレンダーなボディは鏡餅みたいな体になった。
....そんな私がこれからまた世界を救うなんて思いもしなかった。
「ただいま」
一人暮らしの誰もいない部屋にそう言いながら入る、そしてTシャツ短パンに着替え、冷蔵庫からビールと冷奴をとりだす。
今の私は探偵をしている。昔は人助けや魔物退治が仕事だったが今は人助けに金をとり浮気調査などをしている。こんな姿をパートナーや他の魔法少女にみられたら笑われるだろうでも、私は今の自分を変える気は無い。
「もうビールがないもう一本あけるか」
私がビールを取りに行くとにそこには妙な光を放っている冷蔵庫があった。
私が驚いてると扉がかってに開き冷蔵庫の中には見覚えのある毛玉が入っていた。
「やっやあ、久しぶり元気だったかい?感動の再開の途中だけど寒いからここから出してくれないかい」
「それより冷蔵庫元に戻せ、毛玉」
「かつてのパートナーを凍死させるのかい!?密子!」
「扉しめていい」
「お願いします!出してください!」
「いやー助かった!死ぬとこだったよ!」
「私のビール消え去ったんですけど、まりも君」
「一週間分の食料も消え去ったんですけど、どうしてくれんの」
「許してほしいなっ」
この毛玉は、魔法少女時代のパートナーのまりも、こいつのせいで高校生の間は魔法少女活動で全然遊べなかった。
「いやそれよりも!君の今の姿を見て驚いたよ!」
言われると思っていたが少し頭にくる。
「・・・全くそれじゃまた、魔法少女の姿になった時惨めな思いをするよ。」
「私はもう25だもう魔法も使えないし少女でもない」
「君はまだ魔法を使えるし、女の子はいつだって心は少女なんだよ」
「はっ?」
「えっ?」
・・・思ったよりこれはきついぞ。
まりもに言われて試しに変身してみたら、かつてのコスチューム
に着替えていた。とても、見るに堪えない姿だった。
「密子ダイエットしよう。」
「君がもう1度魔法少女になるためにはまずその醜い体を美しくするんだ!!!」
「ちょっとまて」
「なんだいダイエットしないとか言わないよね?」
「私はもう1度魔法少女やるなんていってないし、やる気もない」
「というかなぜ、またやらないといけないの?」
「言いにくいんですが密子さん」
「はい」
「君が魔王を倒したあと新たな敵が現れまして」
「はい」
「魔法少女を、次々誕生させたんだけど」
「はい」
「ほとんど敵の手に落ちちゃった。助けて密子さん」
「・・・無理です。」