プロローグ
飽きた寝るさんが書いている「変態魔王の世界征服」内のクロというキャラのスピンオフ?です!
その男はとても強欲だった。
生まれて間もなく両親が離婚・・一年ほどは母親が育てていたが育児ノイローゾになり育児放棄ネグレクト
大家からの連絡で祖母が様子を見に行くと赤ん坊は飢えを凌ぐ為か炊飯器の黄色く変色したご飯を食べていたらしい。
その後祖母が引き取り育てるのだが高校に入る頃にはすでに強欲になっていた。
みんなにもなかっただろうか?
例えば・・
友達が持っている人気のおもちゃが欲しいとか・・
お店で隣の席の人が食べてる物が美味しそうに見えてくるとか・・
大抵はそんな他愛の無い事は親に窘められて我慢できるのだがこの男は違っていた。
祖母は赤ん坊の頃の同情により甘やかしたのだ・・・
決して・・いやむしろ貧しい家ながら欲しがるおもちゃは買い与え
食べたがれば注文し食べさせる。
そんな生活が中学まで続いた・・・
だがそんな生活が続くはずもなく男が中学生になった頃祖母からもうお金がないと打ち明けられた。
男はそんな話を聞かされたが暴れるでもなく罵声を浴びせるでもなく淡々と答えた。
「そうなんだ!ばぁちゃん 今まで我儘言ってごめんね!」と・・・
だが男は反省する気などもうとうなくその謝罪の言葉は今居る寝床を確保するために言っただけだった。
男は考えていた。欲しい物は全て欲しい・美味いものも食べたいだけ食べたい・いい女だって欲しいと・・
表面上では陽気且つ良く気の利く学生を装い内心では人心を掌握し相手が気付かないように自分の思い通りに動かすことを考える。
男は人の顔色を伺い状況を把握することに異常に長けていた。
一種の特殊能力と言っていいほどのその能力を使い教師を欺き生徒を騙し肉親である祖母ですら欺く。
そして色々なものを手に入れて行った!
生徒会に入り部費などの会計を取り仕切り人望を集めつつ少しづつ着服し金を!
悩みや相談を受けその情報を使い学年で人気の女子を口説き彼女を!
耳障りの良い言葉で多くの友人と言う名の自由に使える駒を!
そんな感じで普通ならかなり充実した生活の筈なのだが男は満足していない・・
「もっと金が欲しい!もっと彼女が欲しい!もっと駒おもちゃが欲しい」
高校に入ってからはその思いは一段と強くなっていた。
それからも彼は今までの手口をさらに昇華させ不良グループまで飼い慣らすようになっていた。
全てが男の思い通りに動き面白いぐらいに進んでいった・・・そんなある日思いもよらぬ事が起りあっさりと人生を終える。
学校から家に帰ると祖母と誰かが言い争う声が聞こえてきた。
「お前が悠を捨てて男の所に行ったんだろ!」
「私は捨てた覚えはない!あんたが勝手に攫ったんだろ!」
「攫ったとは何て言い草だい!とにかくもうあんたには渡さないよ!あの子はわしが育てていくんじゃ!」
そんな言い合いが続いてなんとも醜い声が耳障りだった男は仲裁に入った!
「悠・・悠はお母さんと暮らしたいよね?そうに決まってるよね?」
この母親と名乗る女はさも当たり前のように言い放ってきた。
男は少し考えたが母親に着いて行って得を得れるとは到底思えなくなり
「俺はばあちゃんとこれからも暮らすよ!母さんは母さんで好きなように暮らしていきなよ。」
と何の感情もなく淡々と告げた。
「っ・・!もういい!あんた達がグルになって私を陥れようとしてることはよぉぉくわかった!」
もはや意味も分からない事を言いながら母親は「死んでしまえ」と捨て台詞を吐いて出てい行った。
「さっ!揉め事も収まったしばあちゃん飯食べよ!腹が減って本当に死んでしまいそうww」
母親が吐いた捨て台詞を皮肉りながら夕飯の催促をした。
その日の深夜
男は息苦しさで目を覚ました!
「あんたがいけないんだ!あんたが言うことを聞かないから・・・」
そんなことを言いながら濡れたタオルで男の顔を抑える母親の声が聞こえた!
「あんたが産れなければ私は離婚せずに居れたのに!あんたがいなければ・・」
そう呪いめいた言葉を発しながら暴れる男の顔にタオルを巻きつける。
男は必死に暴れたが後頭部側からタオルを引っ張られ次第に意識が薄れていく・・・
完全に意識を失う少し前に不思議な声を聞いた気がした。
「黒井悠 貴方は人成らざる者転生しますか?」と・・・