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由紀と翔希の恋愛事情  作者: *ゅきだるま*
2/2

出会い

「あっつー・・・」


蝉の声が鳴り響いていた。


あぁー、数学か。あの先生何言ってるかよくわかんないんだよな~。

だっる。

っていうか隣の人寝息うるさっっ!

えーっと…


大原 翔希


確かそんな名前。

そんで、すっごく隣の席になってくる人。

このクラスになって何回か席替えをしてるんだけど8割同じ班or隣。

「運命だよーー♥」

とかって、冷やかしてくる子もいるけど絶対ないわ。

っていうか、まず好きな人いるし。


まぁ、その好きな人も別に付き合えるわけでもないけど。

だって、彼女いるし…

部活の先輩なんだけど、その彼女も私の先輩でもある。


とかいって、この恋を誰かに相談してないしする気も尚更ない。

言ったところで

「大丈夫!頑張ってアピールしたら先輩もその気になるって!」

とかいう思ってもないこと言われるのがオチ。

私の一番嫌いなこと。


そう思いながら、ふと窓の外を眺めた。


あ、2年生体育してる。先輩…いるかな?

いた…。


そこにはクラスメートと仲良くサッカーをしている先輩がいた。

他の人から見たらただたんに高校生が体育してる情景だけど私にとっては先輩しか

見えてなくて、輝いてて、他の人とは比べものにならないくいらいかっこよくて…。

先輩の彼女はいつも近くに入れて、支えてあげれて、あの大きな腕で抱かれて…

ずるい。

なんてこと言えもできないけど。

だって先輩が好きになった人。そう、私じゃなくて…

あぁーー。こんなこと考えなかったらよかった。

こんなとこで泣いてたら馬鹿みたいじゃん。


涙をこらえるために私は目をつぶった。



キーンコーンカーンコーン…


ハッと思い目を覚ました。

けど、遅かった…


授業はとっくに終わって教室には私だけがぽつんと残されていた。


やばい、やばい、やばい。

成績終わった。ただでさえ頭悪くってやばいのに

授業態度も悪いって…

それに部活も遅刻…

皆も帰ってるし。起こしてよ!


溜息をついて部活に行く準備をする瞬間…


ガラッ!


教室のドアが開いた。

びっくりして目を向けるとそこには

大原翔希が立っていた。


「あ…どーしたの?」


「別に…」


あ、忘れ物取りに来ただけか…。

何びっくりしてんだろ。普通のことじゃん。

それにしてもこの人か。

もし先輩だったら…とかって何期待してんの?

ほんと私って馬鹿…。


「先生に、起こすように言われたから残ってただけ。んで、ほら…」


と言って、缶ジュースを私に投げてきた。

それを上手に受け取った私は


「え…?こんな…。悪いよ!ちょっと待って今お金…」

「いいよ。そんくらい」


「あ、じゃあ…ありがたく頂戴いた…します…」


「ははっ!何でそんなかしこまってんの?

俺そんなたいしたことしてねーのに」


「あ、いや…。えっとー

あ!ていうか、なんで起こしてくれなかったの?!」


「あぁーそれ?えっとなぁ言っていいの?」


そう言って、大原は頭をグシャグシャとかいて横目でこっちを見つめてくる。


「え?うん…。」

まさか、いびきかいてた・・・?!それとも、よだれ?

だから近寄れなかったみたいな…?!


「泣いてた・・・」


「は?」

とっさのことで思わず聞き返してしまった。


「だから、泣いてたんだよ!だから、今起こしちゃまずいかなぁって…」


最悪・・・・。

泣いてるところこんな形で見られるなんて…

しかも、その理由は多分あれでしょ?先輩…

あぁ~、ちゃんと堪えてたのにぃ…


「あ!大丈夫!ちゃんと隠したから」


そう言った大原は少し顔を赤らめてまた頭をグシャグシャとかいていた。


「はははーどーもー…」

完全にわたしは、心ここにあらず。って感じの力の抜けた返事をした。



「あ、もう私部活行くね!これ、ありがとう!」

分かりやすい作り笑いでその場から逃げようとした。

その瞬間。


「神谷…」


急に名前を呼ばれて振り返った私に大原は無表情で近づいてきた。

明らかに、今とは雰囲気が違う。

どんどん顔が近づいてきた。

急すぎてすごく胸がドキドキいっている。


「え…?な……」

「まつげついてる」


「え?

あ、そお?あ、ごめん!ありがと!ははっ…」


すごい取り乱しちゃった~~~

すっごい恥ずかしいんだけど!!今日ってほんと最悪続き…。


「ど、どこ?」


私は目のあたりをゴシゴシこすった。


「あ!ちょっと待って。今…取るから…」


そう言って大原はまた顔を近づけてくる。

そしてゆっくり大原の大きな手が私の顔に近づく。


ガラッ!


「すいませーん。神谷さんいませんか?」


その声…!

バッと勢いよくドアのほうを見るとそこには先輩がいた。


「あっ…、ごめん。お取込み中?邪魔してごめんね~」


先輩は、苦笑いで教室から出ようとしていた。


「あぁ!あのっ!ちちち、違うんです!

えと、あの、これは…ね?!」

とっさに大原に投げかけた。

「え、なんのこと?」

こいつ馬鹿だ。


「なんかよくわかんないんだけどー…とりあえず

神谷さん連れてってもいい?部活。」


「え。はい。いいですけど…

あ、え、なんかすんません」


「あぁ~なんかごめんね~

ほんっと邪魔だね俺。今度は邪魔しないから!」


「いや、先輩違いますから。そーゆう関係じゃありませんから。

ってゆうか早く行きましょうよ部活。」

「遅刻して迎え来させた奴がよく言うな!笑」

「あ、すいません。

えっと、それじゃバイバイ!またなんか奢らせて!今日はありがと…!」


「おぅ!んじゃ明日」


そう言い残して私と先輩は教室を出た。



「………だよね?ん?お~い聞いてる?」


「えっ?!聞いてます聞いてます! いいですよね!それ!」

「あはは~完全に聞いてないね」


聞けるわけないじゃん!!!

だって今隣に先輩が!!当たり前のように!!二人きりで!!

この距離近っっ!頭の中グルグルしすぎてやばいんですけど。


「んじゃ、今度からは遅刻しないよーに!」

「え?あ、はい。すいませんでしたぁ」


なんだ、もう着いたんじゃん。

もっと先輩といたかったなぁ…。

なんて言えるわけもなく…

私はすぐに練習を始めた。


しかし、ずっと頭に残ってるのは今さっきの大原のことだけで今日は練習に励むことができなかった。

いつまでもあの時の大原の顔が忘れられない。

そういえば、今日初めてまじまじとあいつの顔見たけど、

あの人…少し先輩に似てたなぁ。


大原 翔希…。


私は知らぬ間に彼の名前をつぶやいていた。



『これが彼との出会い、そして初めての会話でした。』






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