学級委員長のストレスはヤバいと相場が決まっている
僕は時と場所を選ばずとにかく眠ってしまう。夜間の睡眠は十分に取っているしむしろ平均より長いくらいなのだが、予兆なく襲い来る強烈すぎる睡魔に意識を保てなくなる。五分ほどで目覚める場合もあるが酷いときは半日眠り続けるし、次の睡魔までのインターバルにも法則性はない。真面目な高校生活を目指すには致命的すぎる体質だ。
「君は流石に怠惰が過ぎる。何日連続で居眠りの注意を受けた?これ以上先生方のお手を煩わせるのはクラス委員として見過ごせない」
休み時間、委員長の西山くんに階段の踊り場に呼び出され注意を受けた。僕本人にいくら指導しても改善しないことに音を上げた教員から何か言われたのだろうか?そうだとすると申し訳ないが、彼のタイプ的に自発的な行動の気がする。
「D組は出席率、授業態度、部活加入率、課外活動への積極性も並以上の生徒が多いし、成績に関してはトップクラスの者が数人いる。それなのに一部の君達みたいな生徒が足を引っ張るとクラス全体の平均値を下げてしまうことは分かるよね?」
高校生にもなれば個人主義の子がほとんどだろうしクラスの平均値など気にするほどでもないと思うが、実際お荷物状態の僕が何か言える立場ではない。
「ごめん、西山くんの立場は分かる。すぐに…は無理かもしれないけど改善策を用意して今後は気を付けます」
「ふん、分かればいい。高校は義務教育じゃないんだ、もしまだ頻繁に続くようであればどうなっても知らないからね。先生方だけじゃない、クラス内には君をよく思ってない生徒も多い。僕のクラスでイジメなんて存在してはならないが、庇うにしても限度がある。この機に自分を省みたまえ」
たまに絡んでくる意地悪い生徒から庇ってくれたことなんてあったっけ、と思いながらも頭を下げる。改善策など思いつかないがこう言っておくしかない。ひとまず西山くんは納得してくれたようだ。
(こっちでは平和的に終わって良かった…)
緊張感から解放され安堵で息をつく。本当は彼はこの休み時間ではなく、今朝の朝礼後に僕を呼び出すつもりだったのだ。案の定僕が寝ていたため断念したようだが(授業中ならいざ知らず自由時間の睡眠を邪魔する権限はないため引き下がったらしい)、当然ながら夢の世界の僕は起きていたため一足早く先ほどとほぼ同じ内容の説教を聞いた。
そして夢の中では調子に乗りがちな僕は聞き流すような態度を取ってしまい、逆上した彼に突き飛ばされ無様にも階段から転がり落ちたのだった。
言い訳に聞こえるかもしれないが、僕の態度自体にそこまでするほど腹が立ったというよりは、ギリギリまで鬱憤が溜まっていた彼に最後の一押しを与えてしまったのだと思っている。いつ現実でも地雷を踏むか分からないので、互いの為にもしおらしくしておこう。
「まあ君は試験だと最低限の成績は出すようだからまだマシだが…。問題は醒内さんだな…彼女にまた最下位を取られたりしたらクラス委員としての内申点が…推薦取らなきゃ親に殺されるってのに…」
ブツブツ言いながら戻っていく彼を見送る。突き飛ばされたとき、咄嗟に彼の制服を掴みボタンを引きちぎってしまって見えた青痣を思い出し、悩みの種は人それぞれだなと思った。




