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全て


 『やっと目が覚めたんだね……』

 「……うん」

 『よかった』


 正直複雑な気分だった。あたしの目の前にいるのは闇に巻き込まれる前のサザ。それは理解しているんだけど、どうしても昔の事を思い出してしまうの。


 荒れる木々。

 朽ちていく生命。

 あたしとサザしか残されない未来(・・)


 【俺様達が未来を変えればいんだよ、ジュビア。大切な人を取り戻す為に……な】


 ズシンの心を突き破るのはアゴウの言葉だった。彼は一部の未来を変える為に行動を起こしたの。あの時のあたしは脆くて弱くて、彼の言葉通りに行動出来ずにいたのだから、最後のチャンスとして世界を書き換えたアゴウは凄いと思う。


 もう一つの世界でしか存在を認められなかったアゴウが、勇者として語り告げられているのだもの。しかしその代償は大きかった。


 アゴウは世界を書き換えてしまったのだから、勇者と言う枠に捕らわれ、姿を消したの。能力を使えば代償が起こると聞いていたけど、その本人が消えるなんて、誰が想像出来たのだろう。


 (次はあたしの番……)


 そう思うと憂鬱になってしまうけどあの時(・・・)の自分に戻るくらいなら、同じことを繰り返して後悔するのならあたしはあたしの出来る事を精一杯する。そう決めたのだから、逃げる気なんてもうなかった。


 『ジュビア、どうしたの? まだ調子が悪い?』


 表情に出ていたのかしら。少し深刻に考えてしまったのかもしれない。この世界に過去の記憶は必要ない。今目の前にある世界があたしの現実なのだから、否定はしたくないの。


 勿論勇者が起こした行動も否定するつもりはないけど、新しいジュビアとして真っ新に生きていきたい。我儘かもsれないけれど、それくらいは許してくれるわよね、アゴウ。


 心配するサザを安心させるように何も知らなかった頃のあたしへと塗り替えていく。未来は変えれる、その言葉がある限り、あたしは諦めたりしない。


 ただ今は目の前にいるあどけない少年サザを安心させたい。

 そう思うのも罪なのかしら?


 「大丈夫よ、サザ。少し力を吸われていたみたい。寝たらだいぶ良くなったわ」

 『……本当?』

 「ふふっ、このジュビア様を見て嘘をついているように見えるのかしら?」


 おどけるようにウィンクをし、起き上がった。正直眩暈がしたけどそこはウオザメがサポートしてくれているから余裕があるように見せる事が出来る。


 あたしとウオザメは感情、記憶、魂……全てをリンクさせているから今の状況も、何故あたしが眠り続けていたのかも全て知っているもの。


 サザがどれだけ心配していたかも、全てね。



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