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踊ってばかりいないでさっさと鑑定しなさい。  作者: 法蓮


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アゴウ

 時空の歪みは一人の勇者によってもたられた。勇者の名は『アゴウ』と呼ばれているらしい。本当かどうかは定かだけど、昔の逸話の中で描かれている物語が残されている。資料館にいき、選ばれた人間のみが閲覧する事が出来る。その前にパスワードが発行されており、管理されるらしい。誰でも構わず読めるものではない代物だった。


 世界を渡る『アゴウ』は沢山の国を治めていく、そして新しい世界を創造した者と記載されている。それを見る事が出来るのは一部の者だけ。ジュビア達の立場でも不可能だった。しかし、ある一人の女は簡単に見る事も、手に入れる事も出来る。


 「リン、お前はどうしてこんな事が出来る?」

 「……」


 黒ずくめの男がそう聞くと、無言を貫く『リン』と呼ばれる女。緊迫した空気の中で時間がゆっくりと過ぎていく。リンは口角をあげ、くすっ、と微笑むと、こう言った。


 「私に出来ない事なんてないわ、アゴウの事なら猶更ね」

 

 男はその言葉に違和感を覚えながらも、口にする事が出来ずにいる。まるで彼女自身がアゴウを知っているように語るものだから。逸話の中で知っているという事ではない、まるで自分の知り合いに対しての物言いだったのだ。


 「……ジュビを追うわよ」

 「あ…あ」


 そんな事があり、リン達は遠くの空中で浮かびながらジュビア達の動向を観察している。透明化されているリン達の術に気付く事もないジュビアは本当に有能な鑑定士なのかと思う彼等がいた。


 リン達は裏で雇われているもの。雇い主は国王ではない。もっと大きな力を持ち余している存在の者だという事が分かる。ジュビア・ミゲル・サイレ、そしてサザ。勇者の細胞を持つサザを守る存在の三人の事をジュビ・ミル・サイと呼んでいる。名前が知れ渡っている三人のハンドルネームを言うのは厄介なのだろう。自分達の同志が裏切るとも限らない。ジュビア達の動向を見張るように任されたのはリンと黒ずくめの男カイ、そして妖精族のレイ。


 「レイはうまくやるのか、少し心配だ」

 「大丈夫でしょう、接触はレイに任せておけばいい」

 「リン、お前はいつでもレイの肩を持つのな」

 「仕事が絡んだら優秀だもの、カイ、貴方と違って」

 「酷い女」


 酷い女と言われても顔色一つ変えないリンは遠くの一本道を歩いていくジュビア達を見つめていた。




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