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4-7 漆黒の鎧と白銀の巨体

「隊長! 大変であります!」

「どうした!? またアクセス数が減ったか?」

「そうであります! それもかなりの数が! ユニークが全盛期の半分になってるようで作者のメンタルが持ちません!」

「なんだと!? 新規読者はどうしたんだ!?」

「全くいないのではないかという予想がされております!」

「ならばよし!」

「え? いいんですか?」

「どうせ本編でのギャグ要素がなくなってついて来れなくなっただけだ! 作者も現在の私生活でギャグを考えれるほどの精神状態ではないからな! いつの日か帰ってきてくれる事を祈ろうではないか。」

「あー、また体重増えましたもんね。 ストレスでラ〇ービールばっかり飲むから。」

「うむ、禁酒だ!」

「それ、連載やめちゃいますね。 完全にエタりますよ?」

「なぜだ! 作者の後ろには例の人が・・・まさか!?」

「奴もいける口ですからね・・・。」

「・・・。」


 東側の戦場において「勇者」フラン=オーケストラの剣をものともしなかったミスリルゴーレムはフラン=オーケストラが地に伏せるのを気にもせずに中央へと向かった。

 「マジシャンオブアイス」ロラン=ファブニールと第3部隊はテトの召喚するコキュートスと激戦を繰り広げていたようである。そこに何故か「破壊の申し子」シルキットが鎮圧軍側として参戦する。この記述には矛盾点があるようであるが、妻である「聖母」ヒルダに説得されたのであろうか。彼の参戦でコキュートスを下した鎮圧軍側はその後にミスリルゴーレムに蹂躙されるのである。


        -「新説 レイクサイド史」タークエイシー=ブックヤード著 より抜粋―



「フィリップ! 貴様!」

 召喚されたのは白銀の巨人だった。アイアンゴーレムなどとは違い、人の形に近く俊敏さを伺わせる。しかしその巨体はほかのゴーレムほどでないにしても人の2倍は優に超える。強度は計り知れない。重量が少ない分、ほかのゴーレムよりも力が弱いかと言えば、それは期待できそうもない。さらにこのミスリルゴーレムの強さを決定づけるものが追加される。


「魔装!」

 もはやレイクサイド召喚騎士団であればコツを伝授されるだけですぐにできるようになるのではと誤解されがちであるが、魔装には高度な召喚魔法だけでなく、高度な補助魔法の技術も必要である。スクラロ族がその一生をかけて培う技術が、この騎士団では訓練として日々鍛えられている。特に召喚魔法の要素の強い魔装はレイクサイド召喚騎士団にとっては容易な技術であったのかもしれなかった。そして、その魔装がミスリルゴーレムを覆う。黒色の鎧と、身長ほどもあろうかという大剣が威圧感を増加させる。


「フラン様! 時代は変わったのです! ハルキ様を抹殺する事こそが大事であることを理解されないとは!」

「ここまで来たか。」 

 フランの額に落ちる汗。それがこのミスリルゴーレムの強さを物語っていた。


 巨体が一瞬にして間合いを詰めてくる。そしてその巨体以上の長さの大剣がフランを襲った。

「ちぃっ!」

 間一髪で避ける。ゴーレムとは思えないほどのスピードと、風圧から想像される威力が凄まじい。

「私が家臣筆頭だ!」

「それが貴様の劣等感というやつか!?」

 巨大な剣の連撃を躱し、魔装を纏っていない脚に斬りつける。フランのミスリルの剣にはフランの魔力が通っており、ほとんどの物を切り裂く事ができるはずであった。しかし、それでも脚部を切り落とすことはできない。

「何て硬度だ!」

 その間には大剣はフランを襲う。身長のはるか上から振り下ろされる大剣をまともに受けるわけにいかず、避け続けるしかない。


 だが、それも永遠に続けるわけにもいかなかった。横薙ぎの剣がフランを襲う。一瞬避けるのが遅れたフランはそれを剣で受けてしまった。

「ぐふっ!」

 ミスリル製でありさらにはフランの魔力が込められている剣が折れる。そしてその大剣はフランの鎧に食い込んだ。一瞬の後に吹き飛ばされるフラン。周囲の人間には信じられない光景であった。

「勇者フラン=オーケストラ。あなたは紛れもなく伝説だった。」

 倒れたフランにとどめも刺さず、フィリップ=オーケストラは戦場の中央へと向かう。残されたのは地に伏すフラン=オーケストラとそれに回復魔法をかけ続ける第2部隊の数名だけであった。



 戦場の中央ではコキュートスがロラン=ファブニールと死闘を繰り広げていた。

「氷の槍!!」

「だから、コキュートスには氷属性の魔法は効かないんだって!」

「属性はな、だが純粋に氷の塊をぶつけられ続けて耐えきれるものかな!」

 かつてハルキ=レイクサイドに一蹴されたアイシクルランス伝家の宝刀「氷の雨」。模擬戦とはいえ唯一の敗戦で彼らは己の慢心を恥じた。故にコキュートスや氷属性の効かない者を想定した訓練もやってきているのである。しかし「マジシャンオブアイス」は違う。無骨に氷属性のみを上げることに拘った。それは己の意地のためであり、二つ名のためであり、そして「マジシャンオブアイス」という名前が持つ意味のためでもあった。つまり、コキュートス対策は何一つしていない。

 しかし、人はいくつになっても進化するものである。今までは着弾と同時に氷結させていた「氷の槍」が放出とともに氷化し、巨大な氷の塊となってコキュートスへと降り注いだ。つまりはでかい氷山で殴られているのと同じである。物理攻撃に近く、氷の属性はほぼ関係なくなっていた。

「でも、あなたには氷属性が効くんでしょ!?」

 テトの言う通りでロラン=ファブニールは生身の人間である。しかも恰好つけて鎧は軽装程度しかつけていない。コキュートスの氷の攻撃がロランに当たりそうになる度に死を意識しなければならなかった。


 しかし、ここでこの均衡が崩れることとなる。

「フレイムレイン!」

 後方より降り注ぐ炎の雨がコキュートスを襲った。

「シルキット!?」

「まさか、自分がこんなにふがいない人間だったとは思いませんでしたね。」

 そこには洗脳の解けたシルキットがいた。勝負が一瞬でついたために魔力は十分にある。

「さあ、氷の巨人は私に任せてください。」

 シルキットの参戦で活気づくアイシクルランスと第3部隊。形勢が徐々に鎮圧軍側へと変わる頃にコキュートスが強制送還される。

「くそっ! なんでハルキ様の抹殺の邪魔をするんだよ!」


「あなた、さっきまであなたはあんな感じでしたのよ?」

「うぅ、ごめんね。こうしてみると本当に「ブレインウォッシュ」がすごいのがよく分かるよ。」

 ヒルダに黒歴史を説明されているシルキット。そして最後の黒騎士が強制送還されたころには騎士団と第1部隊のほとんどが捕縛され、アークエンジェルたちがテトの周囲を包囲していた。

「ヒルダっ! なんでヒルダまで僕らの邪魔をするんだ!?」

 洗脳されたテトが最後の抵抗をするが、最終的には数体のアークエンジェルに捕縛される。

「いや、一時はどうなる事かと思ったが、我らの勝利のようだな。」

 ロラン=ファブニールが一息ついた瞬間に異変は起こった。


「止めろぉ!!」

「相手は一体だ! 囲え!」

「ダメです! 敵いません!」

 東側に展開していた第3部隊のアークエンジェルが次々と強制送還されていく。追加でアークエンジェルの召喚を行う者もいたようであるが、それもすぐさま切り伏せられ送還されてしまっていた。


 そこにいたのは漆黒の鎧を身にまとった白銀の巨人、フィリップ=オーケストラの召喚したミスリルゴーレムである。

「テトもヘテロもやられたか。しかし、ハルキ様がいないのであれば私1人で十分だ。」

 縦横無尽に戦場を駆け巡る巨人。その手には巨大な剣が握られ、それが振るわれる度にアークエンジェルたちが強制送還されていく。第3部隊の召喚が追い付かず、魔力が枯渇するも者も現れてきた。


「鉄巨人!」

 マジシャンオブアイスの「氷の槍」がミスリルゴーレムをとらえる。さすがにダメージがないわけではなかったが、耐久力はアイアンゴーレムを凌ぐようだ。魔装が若干破壊されるが、ゴーレム自体に傷はついていない。

「フレイムレイン!!」

 シルキットのフレイムレインもゴーレムに収束させて放出される。一つ一つの威力があまり高い技ではないが、その手数はかなりのものであり、蓄積によってのダメージがあるはずだ。しかし、ゴーレムの勢いは全く止まらなかった。

「無駄だ!」

 周囲の召喚獣たちを薙ぎ払いながらも第3部隊の召喚士に体当たりをするミスリルゴーレム。かなりの巨体による体当たりのためにほとんどが戦闘不能に陥ってしまう。そしてその射程内にロラン=ファブニールとシルキットを捉えた。それぞれの破壊魔法で対抗するが勢いは削げない。

「吹き飛べ。」


「氷剣舞!」

「アイスストーム!」

「行けぇ! ケルビム!」

 間一髪間に合う第6特殊部隊の面々。攻撃を邪魔されたミスリルゴーレムの矛先が変わる。


「うぉぉ! なんだこれ! すげえ!」

「シウバ様ぁ、ちょっとこれマズイんじゃないですかぁ? めちゃくちゃ強そうですよぉ。」

「シウバ! 新しい召喚獣だよ! さすがフィリップ様! 私もこれ欲しいな!」

「シウバ様! 先陣は私で構いませんな! はっはっは!」

 そしてその後ろからついてくる第4部隊副隊長ペニー。

「いや、君ら・・・、緊張感ないよね。いつもこんな感じ?」 


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