表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
89/169

4-6 剣舞と冷騎士と

あなた!ついにやったわよ!

あなたの言ってた「ここに何も書かなければ誰かが感想書いてくれるだろう大作戦」がついに2日目で功を奏したのね!1人だけだけど。


そう言えば、久々の本編ね!最近更新滞ってたからね!

あとがきは毎日朝5時に書いてるみたいだけど!


え?もういいって?

メンタルは大崩壊中?とどめを刺された?

おかしいわね?

まあ、気にせずに執筆してなさいな!


 とにかく資料が少ない。あるのは数行の覚書きに近く、伝え聞いたものを日記にした程度のものである。信憑性を問われれば、私は祖先を信じるとしか言えないだろう。しかし、そこにあるのは当時最強の騎士団が崩壊寸前まで追い込まれた状況に対する焦りと、なんとかそれを凌いだ安堵感、そして彼らに対して劣等感を抱く祖先の思いであった。歴史に語られる事のなかった戦い。故に私はこの反乱を余すことなく伝えようと思う。

 後半に入り、フィリップ=オーケストラの召喚したミスリルゴーレムの記述が目立つ。テトやヘテロ=オーケストラに関しては触れられていない。だが、このミスリルゴーレムの記述より、両者は捕縛されたのではないかとの予想が成り立つ。

 第4部隊のほとんどを捕縛し、さらには第5部隊を打ち破る事が「疾風」ユーナや第4部隊副隊長のペニーにできただろうか。やはり、そこには我らの知らない誰かがいたと考えるのが妥当であろう。


        -「新説 レイクサイド史」タークエイシー=ブックヤード著 より抜粋―



「シウバ! なんとかしないと押し切られる!」

 元いた部隊である第5部隊の新人たちをボコボコと地上に落としながらユーナが叫ぶ。こっちで優勢に戦いをすすめているのはユーナだけだ。ケルビムの補助もあって、ユーナの周囲のワイバーンは少しずつ数を減らしているようである。しかし、もし俺がヘテロ殿にやられでもしたらいくらユーナでも危ないに違いない。

「アイスストーム!」

 マジェスターとエリナは2人で固まって第5部隊の猛攻を凌いでいる。たまにエリナのパラライズが効くやつがいてワイバーンごと地上に落ちる事はあるが、その捕縛にまでは手が回らないようだ。

 そしてペニーもなんとか撃墜されないように戦っている。周囲に数体の召喚獣が配置されていて上手い具合に止めを刺されないように立ち振る舞っているようだ。


 つまり、俺が最もピンチなわけで。


「隙ありッス!」

「危ないっ!」

 このヘテロ殿の一撃が思いのほか重い。思考加速スキルで体重移動してようやく受け流せるレベルなのだ。そしてワイバーンがものすごい勢いで噛みついて来る。このワイバーンは特別製なのか?明らかに俺の召喚するワイバーンとはレベルが違った。

「手ごたえがあるのにおかしいッスね。さすがはシウバッス。」

「そりゃ、どうも。」

 しかし、いつまでもやられているわけにはいかない。この肉体派の召喚士は召喚士本体がやたら強い。という事は召喚士の弱点が弱点ではなくなってしまっている。フィリップ殿もそうであるが、なんで両方ともに鍛えて、さらに強いという事があり得るのか。是非コツを教えていただきたいところである。

「仕方がない。」

 あまり、練習できていないから不安ではあるが、さっきのヒルダさんを見ていて思いついた技がある。特にヘテロ殿は動きが基本に忠実で予想しやすい。予想できるのに防げないのはその鍛錬が凄まじいものであるからだろう。しかし、変則的な戦いには慣れていないのではないだろうか。

 チャンスは1回。おそらく失敗すれば次には対策をされてしまうだろう。

「そろそろ終わりにするッス!」

 ワイバーンが急降下する。まずはこのワイバーンを止める事から始めなければならない。


「召喚!」

 急降下するワイバーンの前にもう一頭のワイバーンを召喚する。そしてそのワイバーン2頭ががっつりと絡み合い、墜落させるのだ。しかしヘテロ殿のワイバーンは俺のワイバーンに比べて力が強く、墜落というよりは俺のワイバーンが組み伏せられた状態での着陸に近い形で落ちた。それによるダメージはないだろう。まあ、最初から期待はしていない。地に落とす事が重要だ。

「氷! 両手剣舞!」

 氷属性を纏わせた剣舞。斬りつけた周囲を凍らせてしまうために拘束するには最も良い。ただし、その氷の強度はあまりないためにヘテロ殿であれば砕くことは容易であろう。

「そんなん、効かないッスよ!」

 ワイバーンの鞍から飛び出したヘテロ殿が俺の攻撃を迎撃しようとする。氷を砕き、そのまま俺を斬りつけるつもりなのだろう。だが・・・。

「魔装!」

 召喚するのは装備ではない。たんなる魔力の塊だ。そしてそれを体に纏わせる。この魔力の塊の強度はさほどでもない。というか、ヘテロ殿が本気を出せばほとんどの装備は意味をなさないだろう。唯一対抗できるのは俺の魔力を帯びた両方の剣だけである。しかし、この場合は状況が違った。

「なんと!?ッス!」

 魔装を纏わせたのは俺ではなくヘテロ殿の方だった。それによって間接の動きを封じる。迎撃しようとしていた剣は、腕が制限された事によって間に合わず、俺の剣はそのままヘテロ殿の胴体を捉える。なぜかへこみがあるがミスリルの鎧。強度は最硬であるために斬れる事はなかった。しかし、氷属性を纏った剣はその体ごと凍結させ、ヘテロ殿を完全に拘束した。

「ぐあっ!」

 地面に倒れるヘテロ殿。しかし、すぐさま周囲の魔装と氷がバキバキと音を立てて割れていく。

「まだ終わってないッス!」


「はぁい、そうですねぇ。パラライズぅ!」

 そこにやってきたエリナ。自分も戦いながら俺たちの戦いを見ていたらしい。マジェスターに守られながらヘテロ殿にパラライズをかける。

「あがぁっ!」

 不意打ちでくらったためにヘテロ殿が麻痺する。ヨーレンもなければユーナの抜けているために第5部隊には主だった幹部が不在である。他に一騎打ちで警戒しなければならない召喚士はほぼいないはずだ。そして、できるだけはやくヘテロ殿をパティの所に連れて行って洗脳を解かねばならない。この人は魔力があまりなくても十分に強いはずだから。


 これでこっちの戦いはなんとかなると思う。

「よし!」

「さすがシウバ様ですぅ。」

「おぉっ、さすがはシウバ様!」

 マジェスターとエリナの方でも少しずつ麻痺に成功した第5部隊がいたらしく、数が随分と減っていた。これに協力しながら周囲の敵を減らしていく。エリナがいる事で麻痺させればいいのだ。怪我を負わせる必要はない。


「さすがシウバ!」

 ユーナに打ちのめされた第5部隊の新人たちが地面でうめいている。当の本人は涼しい顔しながらこっちにやってきていた。周囲にいた第5部隊はほとんど倒してしまったらしい。

「へへへ、今度ミア様に言ってやろう! うちの旦那が勝ったんだよって!」

 ・・・あ、あんまりそう言う事は言わない方がいいんじゃないかな。


「おーい、こっちも手伝ってくれよ。」

 上を見ると4匹のワイバーンが周囲にアークエンジェルやらなんやらを引き連れて第5部隊の5人から逃げてくる所だった。ペニーが1人で10人くらいを相手にしていたようであるが、数が減っている。顔がやけに蒼い気もするが、さすがは第4部隊副隊長である。まだ余裕がある。

「行けっ!ケルビム!」

『仰せのままに。』

 なんか、ケルビムが大人しいのが気になるが、第6特殊部隊およびペニー対第5部隊の戦いはこちらの勝利で終わったようだ。



 中央ではマジシャンオブアイスがコキュートス相手に苦戦していた。しかし、本当の苦戦はこれから起こる事となる。それは、反対側の戦場でフランさんがやられるという予想外の出来事から始まった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ