表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/169

3-3 洗脳の召喚士

前回までのあらすじ!


「この世界をめちゃくちゃにしてやる!!」


やばい!打ち切りエンドか!?


このセリフがあるって事は今回で打ち切りエンドになるに違いない!


前と一緒だ!


え?許さない?続けろ?・・・はい、わかりました。ガンバリマス。 ← イマココ!

「島の南に奴らの間諜らしき2人組が見つかったらしい。」

 スクラロ島の族長の集落の北にある「世界樹の塔」建設現場ではナトリ=スクラロが2人の召喚士を相手にしていた。彼らは敵であるヴァレンタイン王国レイクサイド領の召喚士であり、その中でもかなりの実力をもつ2人であったが、盟友であるクロノスの「ブレインウォッシュ」で洗脳をかけられ、味方となっていた。


「どんな2人?クロノスがレイクサイド領は抑えたんでしょ?ほとんどの召喚士はそこにいるって言ってなかった?」

 召喚士レイラ。もともとはレイクサイド召喚騎士団第4部隊に所属しており、ウインドドラゴンを召喚する5人目の召喚士として実力は申し分ない。彼女はアレクが選んだ中でも初期に洗脳をかけるべきだと言われていた。

「純人と魔人族の2人組だそうだ。両方とも男だな。」

「片方が魔人族?だったら、たいした奴じゃねえな。」


 そしてもう一人はヨーレン。旧レイクサイド召喚騎士団第5部隊副隊長であり、こちらもかなりの実力者である。

「ハルキ様はシウバとユーナと3人で逃げたらしいじゃねえか。ということはその間諜はハルキ様やシウバの可能性は低くないか?」

 しかし、彼の頭の中ではその間諜と思われる2人に心当たりがある。だいたい、魔人族と2人組みで行動するような者はレイクサイド領の人間で間違いない。そして、このタイミングでここに来ると言うことはシウバがたまたまリヒテンブルグ王国の人間を連れてきているか、もしくはハルキだ。ハルキであった場合にもっとも仲が良く2人で行動をする魔人族というと「神殺し」テツヤ=ヒノモトしかいない。そしてその予想は完全に当たっていた。そして彼は洗脳にかかっていない。


「俺が1人で様子見てきてやらぁ。」

「ちょっと待ちなさいよ。」

 しかし、ここでレイラが口を出す。彼女もこの2人組に関して違和感を感じていた。第2部隊の間諜が現地のスクラロ族に発見されるような愚行を冒すだろうか?そしてその片方が魔人族であるという事。第2部隊に魔人族はいまのところ所属していなかったはずであるし、わざわざ一緒にいる意味もない。魔人族であればスクラロ族に化けていればよいのだから。

「私がいくわ。あなたはここにいなさいよ。」

 そうであれば思い当たる人物が数名いる。そして、その中にはこの状況を覆す事のできそうな領主自ら潜入しているだとか、第6特殊部隊の隊長だとかがいるはずであった。今のうちに自分が洗脳にかかっていないことを伝えて置く必要がある。そして、ヨーレンをはじめとして洗脳された召喚士たちを救う方法を探さなければならない。つまり、彼女も洗脳にかかっていなかった。


「いやいや、レイラはここでナトリ達と一緒に世界樹の塔を護ってくれよ。俺1人で十分だ。」

「私のウインドドラゴンの方が早いわよ。ヨーレンはここでナトリ達と世界樹の塔を護っていればいいんじゃない?」

「いやいや、はっはっは。」

「ねえ、ふふふ。」


溜息をつきながらその様子を眺めていた魔王が提案する。

「2人で行けばよかろう。ここは私1人で十分だ。」

 結局、ヨーレンとレイラは2人向かえと言われてしまう。

「いや、ウインドドラゴンの方が早いって言ったじゃねえかよ!」

「うるさいわよ!黙って後ろに乗せないさい!」

 そして2人をのせたワイバーンが南へ向かった。

 

 その頃スクラロ島の南では。

「魔装!」

「ぎゃはははは!なんだ、その貧相な「魔装」は!?」

 ハルキ=レイクサイドはその溢れんばかりの魔力でスクラロ族が得意とする「魔装」を行う。さらに魔人族に扮する魔道具を用いる事で完全にスクラロ族に変装したつもりでいた。しかし現実は補助魔法にほとんど才能がないために、ペラペラの貧相な鎧しかつくる事ができなかったのである。

「むう、文字通り紙装甲だな。」

「こっちには紙ねえからな。久しぶりに聞いたぜ、その単語。」

 スクラロ島に潜入して2日目。夜間にフェンリルで移動した事もあって、族長の集落までにあと半日の距離まできていた。当初は誰にも見つからないようにこそこそと移動していたが、現在ではもはやめんどくささが前面に出ており、スクラロ族の集落からある程度の距離があれば特に気にする事なくフェンリルで疾走してしまっていた。


「神楽がいたら、最悪はウインドドラゴンで逃げるしな。最初からこそこそする必要なんてなかったのかもしれん。」

「おいおい、マジかよ。この数日の努力はなんだったんだ?」

「つっても、あんまり努力してないよね。一番つらかったのはデッドリーオルカにしがみついてた時間かな。」

「まあ、たしかに。」

 特に妨害もなくここまで順調に来た。そろそろ、相手に見つかっててもいい頃である。



「おい、あれ、ワイバーンじゃねえか?」

 テツヤの指差した先には飛んでいるワイバーンがいた。こちらへ向かってくるようだ。

「ワイバーンってことはヨーレンかもな。ウォルターからの通信では他にこっちにいてワイバーンを召喚できそうなのは・・・。」

「あ、ヨーレンとレイラだな。」

 視力も魔王なテツヤが2人を確認する。

「2人だけ?神楽は?」

「いない。どうする?ヨーレンは洗脳されてないんだろ?ここでレイラを捕まえてしまうってのもありだぞ?」

「洗脳って、解けそう?」

 捕まえたとしても洗脳を解く方法がなければ拘束し続けなければならない。 

「ヒノモトには洗脳を解除できそうな奴はいなかったからな。むろん、俺も解けるわけじゃねえよ。だけど、ぐるぐる巻きにしといて詠唱できないように口の中に何か入れとくってのもありかもな。女の子のレイラにやるのはちょっと抵抗あるけど、ヨーレンに見張らせてりゃいいだけだし。」

「たしかに、その手もあるか。」

 方針が決まった所でワイバーンから見える所に移動する。不意打ちなんて使わなくてもあの2人であればなんとかなるだろう。片方はヨーレンだし、こちらにはテツヤがいる。ヨーレンが洗脳し直されていたとしても対処可能なはずだ。


「まさかー!ハルキ様だったなんてー!」

 ヨーレンのバカが棒読みで叫ぶ。あれで演技をしているつもりなのだから、これで騙されているスクラロ族たちは何なのだろうか。

「ここで会ったが100年目ー!お覚悟ー!」

 レイラが2匹目のワイバーンを召喚して乗り込むと、ヨーレンがこちらに突っ込んで来ようとした。レイラに見えないように片目をぎこちなくウインクしており、若干の殺意が芽生えるのは何故だろうか。まあ、少しだけ戦う振りをしながらレイラの隙をついて拘束する事にしよう。

「うおらぁぁー!・・・ぶべらっ!」


 しかしヨーレンはレイラに背後から攻撃されてワイバーンから落ちていく。地上に落下する寸前にレイラのワイバーンがヨーレンを掴んで、そのまま地上に着陸した。ワイバーンの足で抑えられているヨーレンは呼吸ができないのか、苦しそうである。さすがにばれていたか。

「ハルキ様!」

 ワイバーンに乗ったレイラが叫ぶ。ヨーレンを助けるというミッションも含めてこれはちょっとやりにくいかもしれない。しかし・・・。


「このバカは洗脳されてますけど、私は大丈夫ですからね!」

 え?レイラは洗脳されてねえの?反論しようとヨーレンがバタバタともがくが、ワイバーンに頭を踏まれていて発言する事ができそうにない。

「いや、レイラ、ちょっと待って。」

 

「でも、ヨーレンを殺すのは待ってください!私がなんとかして洗脳を解いて見せますから!お願いです!」

 絶叫するレイラ。こちらの話を全く聞いてくれない。あ、ヨーレンのワイバーンが魔力不足で送還された。

「いや、今ヨーレン息ができてないからこのままだと死ん・・・。」

「どうしてもだめだと言うなら私の手でとどめを刺させてください!!」

「あの、ちょっと、話を聞いて・・・。」

「おい、ハルキ。ヨーレン、さっきから動かなくなってない?」



 ヨーレンを踏んでいるワイバーンが足をどけた時、少しの間は意識がなかった。俺たち3人は、ヨーレンの意識がもどってホッとしたと同時に、覚えてないようなので今回の事は黙っておこうと話し合ってもいないのに分かりあえたのは何でだろうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ