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3-2 破壊神ふたたび

前回までのあらすじ!


んごー、んごー。 ←イマココ!


って、前回は通りから宿まで移動しただけ?内容なくね?


 レイラとヨーレンの襲撃現場に出くわしたエリナは、なんとか2人を逃がそうとしたらしい。しかし、アレクやクロノス、ナトリの3人にはなんとかパラライジーズが効いたものの、もう一人には効かなかった。それがこのヨシヒロ神だったという事だ。エリナは当初、この男が神であるかという考えはなかったらしいが、その明らかに規格外な力を恐れレイクサイド領から引き離していたらしい。そして、この男にはどこにでも瞬間的に移動できるスキル「ワープ」があるとの事だった。普通であればそんなスキルの存在は納得できないが、ヨシヒロ神であればありだろう。エリナはその力で襲撃現場から移動させられたのか・・・。


 しかし、今現在はハルキ様とテツヤ様にやられてしまって力の一部が発揮できない状況にあるのだという。力の一部が発揮できない状況でも、俺たちなんて軽くひねられてしまうほどに強い魔力を感じる。確かにこれは規格外だ。なぜか酔いつぶれているけど。


「それで、どうしたらコイツを拘束もしくは無力化できると思う?抹殺でもいいけど。」

「えぇっとぉ、・・・たぶん、無理だと思いますぅ。」

「そうか・・・。」


 逃げる事もその「ワープ」スキルがあれば無理だ。そして何か攻撃でもすれば起きてしまうだろう。この魔力をもった人物を一撃で倒す事ができるとは考えにくい。最悪は2段重ねドーピングでユーナがケルビムを召喚するのが今のこのメンバーでは最も強い魔法という事になるが、本当にそれで神を相手に戦う事ができるのだろうか?どうせテツヤ様は「次元斬」で斬ったに違いない。あのスキルであれば何でも切れるからな。なんて考えている間にも時間だけが過ぎていく。そして・・・。


「んごー、んごー・・・んぐはっ!・・・ぶふっ。」


 やばい!なんかむせだしたぞ!

「げふっ、げふっ・・・・んん・・・あれ?」


 起きたぁぁぁぁあああー!!


 そこにいた全員が一斉に構える。パティなんかは完全に宿の外に逃げ出していた。マジェスターに至ってはすでに抜刀している。

「・・・誰?あ、エリナ、おはよう。」

「お、おはようございますぅ・・・。」

「この人たちはどちら様かな?」

「えっとぉ、エリナの仲間ですぅ。」

「そっか、よろしくねぇ・・・うっぷ、気持ち悪い・・・おろろろろ。」

「ぎゃー!ヨッシーが吐いたぁ!」

 ・・・なんか、想像していたピンチとは若干違う気がするけど、これ、どう対処したらいいんだろう?




「いやー、まいった。まいった。コンソール使えないとこんなに純人の体が不便だなんて思わなかったよ。「キュアコンディション」使えば良かったんだ。あー、朝食べたものが気管に詰まって死ぬかと思った。」

「ペニー殿、確か昔見た事があったって言ってましたよね。本当にこれが神ですか?」

「シウバ殿、私も若干自信がなくなってきました。もしかしたら悪い夢でも見ているのかもしれませんね。」


 さっきまで完全に戦う気でいた俺たちはもうそんな雰囲気ではなくなってしまっている。

「あの、ヨシヒロ神ですよね?」

「え?僕の事知ってるの?なんで?」

「いや、会った事はないんですけど、昔レイクサイド領襲いませんでした?」

「あー、そういう事か。そこで見られてたんだねー。実はその時の記憶はないんだよね。バックアップ取ってたのがもっと前だったから。」

 いまいち、話が嚙み合わない。

「あ、そんなに警戒しなくていいよ。僕はエリナに出会った事で世界を滅ぼすのをやめたんだ。」

 は?

「いやー、先生に話に行こうと思ったらいきなりバックアップ機構が働くんだよ。びっくりした。しかも完全に復元するまでに数年かかるとか意味分からんし。」

 こっちが意味わからん。それに世界を滅ぼすとかスケールがでかすぎて何て言っていいのやら。


「で、エリナの仲間ってことはもしかして・・・。」

 何がもしかしてなんだろうか?すでに会話のキャッチボールが成立していない気がする。

「エリナ!もしかしてこの人たちの中に君の言ってた好きな人がいるのか!?」

「な、な、何を急に言いだすんですかぁ!?」

「その反応!いるんだな!?」


 マジェスターの事だろうか。ついに度重なる告白が実ったという事だろう。おめでとう。

 俺とペニー殿がマジェスターの方をちらっと見る。妻のいる俺と、ほぼ知り合い程度のペニー殿がその対象になるわけがない。つまりは消去法でこいつしかいないんだから当たり前だ。そしてその反応をヨシヒロ神は逃さずに見ていた。

「貴様だな!?エリナとの交際を賭けて勝負しろぉ!!」

 いや、待て。いくら戦闘狂のマジェスターであっても神と戦って勝てるわけな・・・。

「上等だ!返り討ちにしてくれる!貴様なんぞとエリナの交際は認めん!!」

 待てぇい!!無理に決まってる!どうする?どうやってこれを止めればいいんだ?


 しかし、その時ヨシヒロ神にとっても俺たちにとっても予想外の発言が・・・。

「ヨッシーさんを見損ないましたぁ。ヨッシーさんはエリナの気持ちも確かめずに、まるでエリナを物として扱うんですねぇ。そんな人は嫌いですぅ。」

 エリナが泣きだす。嘘泣きと思うけど・・・嘘泣きだよね?

「いや、冗談だよ!そんな事するわけないじゃん!これは言葉の綾というか、流れにそった冗談と言うかそんなもんだよ!」

「エリナ、付き合うならきちんと話を聞いてくれる人がいいですぅ。」

「も、もちろんだよ!僕はきちんと話聞くよ!」


「おい、いつの間にエリナの一人称が「私」から名前に変わってるんだ?」

「この数日こんな調子なんだよ。ヨッシーはエリナちゃんにいいように転がされちゃっててね。見てて可哀想なんだけど、その分色んなものを注文してくれるから私としては止めるタイミングがなくてね。」

 宿の主人が説明してくれる。

「こ、これは作戦なんだよ!きっと!」

 ユーナはエリナを擁護してくれてるみたいだけど、なんかちょっとショックだな。うん。見なきゃよかった。


「ええと、ヨッシーさん?でしたっけ。エリナにもエリナの生活というものがあります!ここは無理矢理ではなくて、エリナの生活をまずは尊重してあげて、それから交際を申し込んだらどうですか?相手の気持ちを尊重しない男は嫌われちゃいますよ?」

 ユーナが女性目線でヨシヒロ神を説得にかかる。

「たしかに・・・、その通りだね。僕はエリナに出会った事で今まで滅ぼそうとしてた世界に感謝を感じる位に舞い上がってたみたいだ。」

「ほ、ほら。しつこい男は嫌われますって!一旦引く事も肝心ですよ!」

「なるほど!そして僕のいない寂しさを感じてもらうんだね!」

 ユーナが馬鹿の相手をしてくれている。


「エリナ!寂しいけど、僕は一旦帰るよ!寂しいけど!エリナも寂しがってね!」

「嫌ですぅ。寂しくないですぅ。」

「ふふふ、照れ隠ししなくてもいいよ!」

 そしてヨシヒロ神は帰り支度を始めた。

「また、数日後にでも会いに行くよ!エリナが僕に会いたくなった頃に!」



「帰って行ったな。」

「帰っていったね。」

 どっと疲れが押し寄せる。あんないつ爆発するか分からん奴と付き合うとか最低だ。エリナは良く耐えたな。しかし何処に帰っていったんだろうか。やっぱりスクラロ島かな?



「エリナ!無事で良かった!」

 マジェスターがエリナを抱きしめる。感動の再会だ。本当に無事で良かった。

「マジェっち・・・。」

「誰がマジェっちだ。」

「・・・うん、怖かった。来てくれると思ってたよ。」

 エリナが泣きそうになる。マジェスターはエリナを離そうとしない。エリナも拒もうとはしていなかった。そして俺たちが見ている前というのも気にしていない。

「もう、離さない。いいな?」

「・・・うん。分かったぁ。ちょっと、色々と気持ちを整理するからこのままでいてぇ。」


 おぉ!ついに二人が結ばれるとは!というよりもエリナが失踪するまでは2人の事は気づいてなかったんだけど。ユーナも感慨深いものがあるのか、ちょっと涙目になってるし、ペニー殿も若い2人を祝福してくれているようだ。パティはまだ宿の外から帰ってきていない。


「あ、そうだ。エリナ。言い忘れたことがあ・・・。」


 そして最悪のタイミングで帰ってくるヨシヒロ神。2人が抱き合っているのを完全に目撃する。ふっと宿の玄関を閉めて神はどこかへ消えていったが、すぐに外から命の叫びが聞こえてきた。



「この世界をめちゃくちゃにしてやる!!」


なんか、どっかで聞いたセリフだな。

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