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3-1 堕落神

前回までのあらすじ!


マジェスターとペニーがエルライト領へ!


ハルキとユーナとパティがエルライト領へ!


エリナとヨッシーはエルライト領から動いてねえ!


あれ?作者めんどくさくなって集合させようとしてんじゃね? ← イマココ!

「んごー、んごー。」


 男のいびきが響く。先ほどからずっと起きる気配がない。そして俺たちはめまぐるしく動く状況に全くついて行けてなかった。



 状況を整理しよう。昨日、ユーナのウインドドラゴンの召喚契約も済ませたし、俺たちはエルライトの町を散策する事とした。主な目的は第2部隊の誰かが現れそうな場所で向こうから声をかけてくるのを待つためだ。

「あの鍛冶屋さんとかは第2部隊の協力者なのよね!」

 俺の愛剣を作ってくれた鍛冶屋は昔から第2部隊に情報を提供しているのだそうだ。そういえば、ユーナがいなくなった時も何かの情報をもらってたな。

「行ってみようか。」

 そして俺たちが鍛冶屋に向かおうとした時に、通りで思いもよらない人物たちに出会う。


「シ、シウバ様!?」

「あれ?マジェスターか?それにペニー殿。」

 彼ら捜索隊はほとんどの人間がレイクサイド領の奪還に戻ってしまっているそうだ。これだけエルライトの町にいたのに何も声がかからない時点でおかしいとは思っていた。第2部隊のほとんどは第3部隊と連携してレイクサイド領主館の周囲に張っているらしい。マジェスターはエリナの捜索を続けるという事でペニー殿と一緒に各地を回るつもりでいた。そして最初にやってきたのがエルライトの町だった。

「シウバ殿がいるという事は、ハルキ様は無事なんでしょうか?」

「あ、そうですね。ハルキ様は・・・ちょっとペニー殿にマジェスター。失礼を承知で洗脳にかかってるかどうかを確かめてもいいですか?答えはその後という事で。」

「なんと!確かめる術があるというのですか?」

 俺はパティ=マートンを紹介して、洗脳を解除する事のできる回復師だと説明する。

「かかってるかどうかは分からんけど、かかってたら解除される。何も感じなかったら洗脳されてなかったという事だから、安心していい。」

 そしてパティ=マートンは「キュアコンディション」を2人にかけた。

「抵抗された感じがなかったから、解除されたかかかってなかったかのどちらかだ。おかしな所はないか?」

「いや、まったく何も変わった所はなさそうだ。」

「私もです。」

 つまり、2人は洗脳されてなかったという事になる。

「洗脳かけた奴の魔力が強いと弾かれるんだ。「ブレインウォッシュ」をかけられるほどの幻惑魔法の使い手だと魔力的に負けてしまう回復師が多い。俺も絶対に解除できるというわけではないぞ。相手の魔力がどの程度か分からんからな。だが、今回にかぎってはシウバ様のあれがあるから大丈夫だ!」

 あれとはドーピングの事である。むしろ弾かれてしまってドーピングをかけざるを得ない状況になって欲しいというような表情のパティ。なんで魔人族なのに表情がよく分かるんだ?

「しかし、これで証明された。疑って済まなかったですが、全員にこれをかけていく予定ですんで。」

「いや、そちらの立場ならば当然ですし、身の潔白が証明されたようで逆にうれしいもんです。」

「そう言ってもらえるとありがたい。それでハルキ様は御無事なんですが・・・。」

「立ち話もあれですね。そろそろお昼ですし、近くにハルキ様御用達の隠れ家的な宿があります。私は行った事ないんですが、レッドボアを使った料理がおいしいとかで。そこでゆっくりと情報交換しませんか?」

「いいですね!」

 ユーナが先に答える。もちろん、俺も賛成だから問題ないんだけど。

「じゃあ、こっちです。」


 そしてその宿に5人で入ることにした。入り口からすぐの所は食堂になっているようだ。

「いらっしゃい。」

 宿の主人が出迎えてくれる。向こうには昼間っから酔っぱらってる男女2人組が。2人ともつぶれてテーブルに突っ伏しているようだ。男の方のいびきがうるさい。

「すまんね、こんな感じになってて。代わりにサービスするからさ。」


「エ・・・エ・・・。」

 マジェスターがプルプルしだした。そして後ろに尻もちついて倒れる。

「どうした、マジェスター?らしくねえ恰好して。」

「あ・・・。」

 ユーナも向こうを見て固まる。つられて俺もテーブルの方をもう一度見た。そしてその女の方に見覚えがある事を思い出す。


「・・・・・・エリナ?」

「あれ?お知り合いですか?いやあ、この数日、彼女のおかげでうちはすっかり儲かっちゃいまして。」


「「「えぇぇぇぇぇぇ!!!!!!?」」」

「いや、なんでこんな所に!?というか、どんな状況!?」

「だ、だ、・・・誰なんだ?その隣の男は・・・・。」

「むぅ、意外な所にいましたな。」

「えっと、ちょっと待って!どういう事!分かんない!」


 俺たちは大混乱だ。とりあえずエリナが見つかった事を喜べばいいのか?しかし、隣の男は誰なんだ?というか、どういう状況なんだ?

「酔いつぶれてるのか?」

「あ、あぁ、彼女たち朝から飲んでるから。」

 朝から知らない男と飲酒?本当にあれはエリナなのか?そしてマジェスターがひどい事になっている。なんというか、全体的に白い感じになって魂が抜けているかのような。

「ちょっと待ってください。」

 ペニー殿が男の方に近づく。いびきがうるさいが、顔を確認しているようだ。

「なんてこった・・・。」

「ど、どうしたんですか?」

 こんな状況でこれ以上驚くことなんてあるわけがない。


「ヨ、ヨシヒロ神?」

 前言撤回だ。意味が分からん。




「こんな時にハルキ様がいてくれれば解決案を提示してくださるのだがな。」

「ペニー殿、ハルキ様は今頃ヒノモト国の魔王館で自堕落な生活を送ってるから、すぐには連絡とれないんですよ。」

「しかし、シウバ殿。我らには荷が重すぎる。」

 たしかにそうだ。いろんな物が一気に解決しそうであったのに、もっと酷い問題を抱える事になるとは。

「だって、これ、ヨシヒロ神ですから。前に見たことあります。レイクサイド領でハルキ様を襲ってきた時に。」


 まさかこんな所に探していたエリナと、よりによってヨシヒロ神が仲良く酔いつぶれているとは思わんかった。そしてエリナが男と2人で宿にいるという事で生きる気力を失っているマジェスター。

「おい、マジェスター。現実を直視しろ。まだ、希望は捨てちゃいかん。というか、これどう見てもお前が思ってる状況ではないぞ?なあ、ご主人?」

「あ、あぁ。ヨッシーはまるでエリナちゃんに相手にしてもらえてなくてね。見てて可哀想になるくらいに。それに思いっきりごちそうだけは食べてくれたから私としては儲かっちゃって儲かっちゃって嬉しい限りだったんだけど。」

 

 ヨシヒロ神に貢がせまくっていたという事か?何でそんな事に?

「もしかして、ヨシヒロ神を引きつけてくれてたのかな?例のスクラロ族はヨシヒロ神だったんじゃない?」

 ユーナの推測でなんとなく事情が分かった気がする。

「エリナに惚れたヨシヒロ神をここで食い止めてたって事?しかしヨシヒロ神にまで「チャーム」が効くとはどれだけ幻惑魔法が強くなったんだ?」

「もしかしたら「チャーム」じゃなくて、素で惚れられたのかもね!」


「事情は本人たちに聞けば?女の子だけ酔いを醒ましてやれるよ?」

 パティ=マートンがあきれた声を出す。酔い覚ましに回復魔法を使うなんてもったいない気もするが、時間をかけていたらヨシヒロ神が起きてしまう。ここはその手で行こう。

「よし、頼む。」

「あいよ。」

 徐々にパティの口調から敬語が抜けてきているのはこの際不問としてやろう。


「あれぇ?え?皆、どうしたんですかぁ?っていうか、ヨッシーは!?」

「ヨッシー・・・。」

 がっくりとうなだれるマジェスター。いちいち落ち込むんじゃない。

「んごー、んごー。」

「あ、寝てる。」

 ヨシヒロ神の方は爆睡中だ。

「エリナ、心配したぞ。だけど、ちょっとこの状況説明してくれるかな?」



 まあ、エリナが無事だった事を喜ぶとしようか。誤解が解ければマジェスターも復活するだろう。誤解だったらだけど。

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