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1-5 災厄の始まりの元凶

「隊長!大変です!」

「どうした!?」

「投稿前の原稿が吹き飛んだために作者のメンタルが崩壊しました!」

「はっはっは!大丈夫だ!今の作者には奴がついている!投稿しないなんてあり得ない!」

「それが!原稿が吹っ飛んだ原因が奴らしくて!」

「何ぃ!?」

「PCを後ろから覗こうとしたようです!阻止しようとして変なボタン押してしまい2000文字近くが・・・ガクガクブルブル!」

「な、なんて、お、お、恐ろしい!!」

「サポートどころか邪魔をするとは!?、という作者の主張も全く通りません!逆にビール1本回収されてました!」

「なんて事だ!それで原稿は!?」

「あ、それはきちんと間に合わせてました。まあ、強制的にですけど。」

「・・・・・・さすがだな。」


「魔王ナトリ=スクラロ、私はお前と同じく神に選ばれた者だ。」

 10日ほど前にその男は急にスクラロ島に現れた。

「証があるか?」

 魔王の問いかけにその男はある数字を答えた。それはナトリのみが知る神器で神託を得るための番号である。数年前からその番号を使ったところで神託は得られなくなっているが。

「神器が使えなくなったために、私が遣わされた。数日前から神託が聞けていないだろう?神は今力をためる時期に来ている。私は神を助ける君を助けるために遣わされた。疑うというならば他にも君と神にしか知りえない情報を持っているが?」

 数日前からという部分を強調して話す男。その数日前という部分は当人たちにしかわからない嘘である。本当は数年前から神託は聞けていないのだ。神殺しが神を殺したと言った日から。

「私の名前はクロノスだ。力を貸そう、ナトリ=スクラロ。私はお前の同志だ。」

 狂気を目に宿した男はそう囁いた。



 世界樹の実を強奪したのはアレク、レイラ、ヨーレンの3人に加えて魔王ナトリ=スクラロであった。その事はビューリングさんも証言してくれたし、なにより世界樹の村から飛び立つワイバーンとウインドドラゴンが多数に目撃されていた。

「一体、何でこんな事になったッスか!?」

 レイクサイド領主館では各部隊長たちを含めて幹部のほとんどがハルキ=レイクサイドのもとに集合していた。ヘテロさんが叫んでいる。ヨーレンが裏切ったというのが信じられないようだ。

「ビューリング、あいつらの目的は聞けたのか?」

「いや、結局何も分からなかった。ただ、ヨーレンがこっちにはこっちの事情があるとだけ言ってたが。」

 信頼していた人間の裏切りに揺れ動くレイクサイド召喚騎士団。こういう時に限ってだけ、ハルキ様は冷静である。

「・・・少なくともナトリ=スクラロまでいて人的損害がなかった事が幸いだな。よくやった、シウバ。」

「いえ、レイラに邪魔されて仕留められませんでしたし、追撃もヨーレンに阻止されてしまいました。」

「なんだかんだ言ってもうちの精鋭だ。お前も含めてな。」

 重苦しい空気が漂う。

「とりあえずは向こうの目的を知る必要があるだろう。ウォルター。アレクがいるからやりにくいとは思うが、何とかして情報を集めてくれ。ナトリ=スクラロまで絡んでいるという事は魔大陸まで広げる必要があるだろう。さらにナトリの上の存在がいるかもしれない。」

「かしこまりました。」

「他の者は待機だな。外に出る際には決して1人にはならない事を順守しろ。俺はアイオライに報告してくる。」

「「「はっ!」」」



「ねえ!シウバ!ハルキ様は外には決して1人で出るなって言ってるんだよ!」

「大丈夫だよ、ユーナ。ちょっとドーピング薬が切れたから薬草採取してくるだけだって。」

 エルライト領「奈落」まで。本当の目的はヨーレンに会いに行く事だけどね。ついでに本当にプロトン草採ってこないとそろそろ在庫がなくなりそうである。

「・・・何か隠し事してるでしょ?」

「え!?そ、そ、ソンナコトナイヨ!」

 だってヨーレンが誰にも言うなって!

「浮気?」

「ぶふぅっ!!ち、違うよ!」

「じゃあ、なんなのよ!」

「な、な、ナンデモナイヨ!チョット、プロトン草ヲ取リニ行クダケダヨ。」

 な、なんでそうなるんだ?浮気なんてするわけないじゃないか!

「・・・分かったわ、じゃあヨーレンによろしくね。」

「あ、うん。伝えておくよ・・・・・・え?」

「やっぱり!!ヨーレンに会いに行くんでしょ!私も行くからね!」

 何故だ!何故ばれた!?

「いや・・・一人で来いって・・・。」

「行くからね!」

「あ、はい。」



「ヨーレンはもっと強いし、もっとワイバーンに上手に乗るのよ!」

 要はビューリング相手に手を抜いて戦っていたのが丸わかりだったし、ワイバーンでの体当たりの仕方もおかしかった。旧第5部隊のユーナからすれば違和感があったという事だった。対してアレクの攻撃には殺気が混じっていたという。アレク許さん。

「で、エリナは生きてるのよね?」

「うん、もう燃やしちゃったけどヨーレンの手紙にはそう書かれてた。」

「良かった・・・。」

 まだ気を抜ける段階ではないけれど、状況から考えてヨーレンは信用できるのではないかと思う。そのヨーレンがエリナは生きているというんだから、希望はあるって事だ。し、信じてたぜ!ヨーレン!

「ところで、ユーナ。なんで俺ってワイバーンに括りつけられてるのかな?」

 しかも尻尾の方に。ワイバーンが羽ばたく度に上下に揺れる。

「だって本当に「奈落」が待ち合わせ場所か分かんないでしょ!?」

 いや、待って。信用してくれないのはまあしょうがないとして、この待遇の事なんだけど。そしてユーナのワイバーンは超高速だから本気で風がきついんですよ。マジで。

「さあ、急ぐわよ!」

「急いでも約束は明日なんだけどぉぉ!!」

 結局その日の昼過ぎには「奈落」についたらしい。え?なんでらしいなんて言うかって?そりゃ、俺が途中から気絶してたからだ!文句あるか!?



「ずいぶん早かったな。「4日後」は明日だぞ・・・ってユーナか?シウバに聞いたのか。まあ、お前でも大丈夫だろう。」

 ヨーレンは「奈落」の入り口の所にいた。早めに来て、明日までここで待ってるつもりだったらしい。

「さて、ここには誰も来ないと思うが万が一があっちゃならねえ。お前らが昔キャンプしてた所まで行こう。」

「分かったわ!」

「ところで、その後ろの荷物はなんだ?・・・あ、シウバか。・・・お疲れ。」

 ホント、お疲れ様だよ。


 以前キャンプをしていた所は何故か綺麗になっていた。

「これがここにあったぞ?」

 ヨーレンに渡された布きれには文字が書いてあった。

『エルライト領冒険者ギルド・マスタング殿の依頼でここの素材は回収しました。詳細はマスタング殿まで。』

 受付おっさん、俺たちの素材を回収してくれてたのか。ありがてえ。今度会いに行かなきゃな。生存報告もしてないや。

「さて、じゃあ話すとしようか。」

 どかっと座ったヨーレンは今回の事件についての詳細を語った。



「クロノスという男が元凶だ。」

 そのクロノスという顔を隠した男が魔王ナトリ=スクラロに神託を与えた。その神託に従い、ナトリ=スクラロは世界樹の実を手に入れようとした。しかし、世界樹があるのはヴァレンタイン大陸であり、ナトリ=スクラロにはそこまで行く手段がなかった。

「クロノスはアレクをおびき出した。」

 もともとクロノスは何処かでアレクと接点がある人物らしい。おびき出されたアレクはナトリ=スクラロに捕縛された。そして・・・。

「幻惑魔法「ブレインウォッシュ」をかけられた。」


 洗脳魔法であるブレインウォッシュは高度な幻惑魔法であるが、非常に弱い魔法である。対象の心の弱い部分を突いて動揺させた状態でなければかかる事はない。そのため、非常に親しい相手にしか知りえない事でしか効果が出ず、さらにその動揺するような弱い部分に関する事柄しか思い込ませる事ができないために戦闘向きではない。そしてその思い込ませる事柄もあまり多くないために使い勝手は悪い。しかし、上手く使えば絶大な効果を得る事もある。主に政治などの分野において。


「レイラの弱点はアレクが知っていたらしい。任務の途中で知ったんだろうが、俺は内容を知ってるわけじゃない。洗脳と言っても一つの事柄を違うように思い込ませる程度のものだ。だけどあいつらはそれでレイクサイド領に反旗を翻した。もともと、現状に多少の不満があったんだろう。」

「・・・ヨーレンは?」

「俺か?俺もブレインウォッシュをかけられた。で、かかった振りをしたんだ。そしてその後からあいつらとはあまり絡まずに個人行動を多めに取るようにした。他にもレイクサイド召喚騎士団から数名がブレインウォッシュをかけられてスクラロ島にやって来てる。アレクが任務上知りえた弱点を持つ奴らがほとんどだ。」

 対象の心の弱点・・・。まさか。



「ヨーレンがかけられたブレインウォッシュって、もしかして髪の・・・。」

「言うな!!それに弱点じゃねえ!実際かかってないだろが!」


 ヨーレンにとっての弱点だと思われていたのは二つ名の「髪」の部分だったらしい。

軽くスランプ気味

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