1-1 災厄の前触れ
「隊長!大変であります!」
「どうした!?」
「またしても作者のメンタルが崩壊寸前です!今度は1日のユニークがブックマーク数以下になっているのに気付いてしまったようで、いままで読んでくれた読者が離れてしまっていると嘆いているとか!」
「なにぃ!?調子に乗って大量投下などしているからだろうが!だが、活動報告でも言ってたように奴のバックにはすでに強大な存在がついている!多少のメンタルの崩壊など問題ないわ!」
「もしかして、万が一エタらせると命の危険がってやつですか!?」
「うむ!さすがにロージー出産後の変化に男性読者が悲鳴を上げまくったセーラ=レイクサイド(結婚後限定)のモデルだけはあ・・・だばぁ!!」
「そ、狙撃だと!?皆伏せろ!衛生兵~!衛生兵~!隊長が被弾された!ここはもうだめだ!撤退するぞ!力の差が激しすぎ・・・ぐはぁ!!・・・無念。」
邪王シウバ=リヒテンブルグの名前は世界を駆け巡った。同時に発足した「大同盟」はヴァレンタイン王国のアイオライ=ヴァレンタイン王が提唱者であるにも関わらず、シウバ=リヒテンブルグが望んだ事として世界に認知された。ネイル国のサイド=ネイル12世はもともと北のリヒテンブルグ王国が占領していた領土を譲渡される事で国としてのメンツを保ち、停戦を承諾するという形を取っていたが、「エレメント平原の戦い」に参加した多くの将兵たちからすると「邪王」シウバ=リヒテンブルグの強大な力の前に異議を唱えるなどという事はできず、言われるがままに撤退した事は明白であった。
「大同盟」にはヴァレンタイン王国、エレメント魔人国、ヒノモト国、リヒテンブルグ王国が参加する事となった。後日トバン王国とネイル国にも参加を要請する予定となっており、それはほぼ強制と同義語であるほどの規模の同盟である。
何故かリヒテンブルグ王国はヴァレンタイン王国からの様々な要請を却下しなかった。そのため、アイオライ=ヴァレンタインは「大同盟」の中でもかなりの権力を持ち、「帝王」とまで言われることとなる。その会議などでヴァレンタイン王国代表として出るのがオクタビア=カヴィラ領主であり、彼の示すアイオライ=ヴァレンタイン王の提案が何故かことごとく通る仕組みを理解できているのは「大同盟」の中でも極僅かな人数である。
誰が「大同盟」を作り上げた「邪王」がヴァレンタイン王国の一領地の騎士団の中の一部隊の隊長であるという事を信じてくれるだろうか。その隊長の下にリヒテンブルグ王国があり、つまりあれだけの力をしめしたリヒテンブルグ王国はヴァレンタイン王国の属国も同然であったのである。
「卑怯だ。」
ヒノモト国魔王テツヤ=ヒノモトは言う。大同盟の会議は基本的にエレメント魔人国で開かれる。理由は各国のちょうど真ん中だからだ。しかしエレメント魔人国の発言権は低い。
「シウバが魔王なんだから、アイオライの言う事をホイホイ聞いてるんじゃねえよ。」
もっともな言い分であるが、組織に属する者にとって上からの命令を拒むのは難しい。
「だいたい、なんでシウバ来てないんだよ。なんでお前?」
「だってシウバ様が俺に代表やれって言うんですもん。」
リヒテンブルグ王国代表「統率者」ナノ。シウバが四騎将の連中は信用ならないから皆のとりまとめをナノに押し付けたのである。いままで魔王の近くにいたナノは最も重用された側近として認知されていた。最近では元族長のフェルディでさえ、ナノに対して敬語を使うこともある。
「テツヤ殿、我が国としてはシウバに言わせてるつもりはありません。魔王であるシウバが判断してるんですよ。」
オクタビア=カヴィラがしれっと言う。
「まあ、今のところヒノモト国に不利な決定は何ひとつないから文句があるわけではないんだけどよ。」
さっきまで文句ばっかり言ってた魔王であるが、むしろシウバを気遣って言っていると皆が知っているのが憎めないところでもある。
「では、今回の議題でもありますトバン王国とネイル国の「大同盟」参加要請の件ですが・・・。」
議長リゼ=バイオレットが苦笑しながら続けた。
「エレメント平原の戦い」が終わり、俺たちはリヒテンブルグ王国の皆と再会した。ついでにこんな大きな戦いを引き起こした事についてはみっちりと説教した。さらに「邪国」と「邪王」の命名者であるローレに関してはきついお仕置きをしておいた。ドーピング状態で柔らかい布を鞭のように使った「剣舞」で叩きまくったのである。
「痛たたったたたたったたぁぁぁぁ!!!!地味に痛い!!」
「このボケがぁぁぁぁ!!!!なんだ「邪王」って!!めちゃくちゃダサい!!」
魔王の怒りが皆に知れ渡ったにも関わらず、周りが爆笑していたのはよく分からんが、まあこれで終わりにしておいてやろう。これ以上するとローレが変な世界の扉を開けかねない。すでに変な顔をしている。
「大将、リヒテンブルグ王国に帰ってきてもらえんですか?」
フェルディが言う。帰りたい気もあったが、俺にはすべき事もあった。
「だいたい、俺は魔王ではないんだ。お前らの国はお前らが統治すべきだろ?」
「いや、リヒテンブルグ王国は大将がいたから成り立ってんですよ。大将以外に魔王が務まるとは思えんです。」
たしかに事情を聴くと四騎将といいながらも4人が好き勝手している印象だ。こんな状態ではまたどこかで戦争を繰り広げるに違いない。ライレルなんて常に暴走している。
「しかし、俺はレイクサイド領に家買ってユーナたちと住んでるしなぁ・・・あ。」
そしてナノと目がある。こいつ、魔王代理にして逃げちゃえばいいんじゃない?
「じゃあ、・・・ナノが魔王代理でお前らまとめる事にしよう。あとは頼んだ。」
「「「えええぇぇぇ!!!?」」」
そしてその後発足した「大同盟」に参加を強制させられ今に至る。北の領土はちょっともったいない気もしたけど、戦争するよりはいいかと思いネイル国に譲渡する事とした。これで北の魔大陸の戦乱は収まるのではないか。ハルキ様もネイル国とトバン王国も「大同盟」に強制参加させれば戦争自体がなくなる可能性があるって言ってた。それはいい考えだと思う。
「さあ、帰ろう。」
レイクサイド領の家にはあまり帰ってない。せっかく皆で作ったんだ。ナノが西の大陸に行ってしまうのはすこしさみしいけれど、たまに顔を出すように言ってある。俺たちも任務でカヴィラ領くらいなら行く事があるかもしれない。
リヒテンブルグ王国の皆と一通り話し込んで、宴会して、気付いたら1週間以上経っていたので帰還命令が出ている。名残を惜しみながら俺たちはヴァレンタイン大陸へと戻ることになった。
「本当に今まで通りでいいのか?」
ハルキ様にはこれまでどおりに第6特殊部隊を続けるという事を告げた。さすがにリヒテンブルグ王国の魔王が部下にいるというのはやりにくいと言われたが、いまさら態度を変えられても困ると突っぱねた。そもそも俺は魔王と名乗った事は一度もないのである。リヒテンブルグの名前も捨てたのだ。
「これからもよろしくお願いしますよ。」
「まあ、そこまで言うのなら遠慮なく利用させてもらおう。」
こうしてヴァレンタイン王国の属国としての地位が固まってしまった。「邪王」シウバ=リヒテンブルグと「剣舞」シウバが同一人物であるという事を知っている人物は少ないままで押し通す事になった。
「さて、それじゃさっそくだけど仕事が・・・。」
おい、人使い荒いな。いきなりかよ。
「なんか、世界樹がおかしくなってるらしくてね。ビューリングたちの所に行って様子見てきてくんな
い?」
世界樹の色が少し変わり始めているらしい。以前の大木だった時にはなかった、もしくは伝承などにないだけではるか昔にあったのかもしれないが未知の現象だという。この調査が次の第6特殊部隊の任務であるという。ナノがいなくなって4人に減ってしまったが、新生第6特殊部隊として頑張りますか。
「いよっし、頑張ろう。」
「久々のヴァレンタイン大陸での任務だね!」
ユーナもどことなく嬉しそうである。
「シウバ様ぁ、私大森林いくならプレジデント・キラービーの蜂蜜が食べたいですぅ。」
「せっかくですので、怪鳥ロックの肉などの食材も持って行くことといたしましょう。北の大陸ではあまり美食ができませんでしたからね。」
マジェスターもエリナもあんな事があったばかりなのに平常運転だ。
「ビューリングさんに言えばきっと分けてくれるよ。こっちからもお土産持って行こうか。」
しかし、4人で頑張るという目標は達成できなかった。
その数日後、エリナが消息を絶った。
ヴァレンタイン王国の地図を作製中




