4-5 領地経営の開始と北の動向
前回のあらすじ!
新たな領主にはいつぞやのモブキャラを!
え?キャラの設定を作ってなかったって?
そんなんこれから急いで作ればいいさ! ← イマココ!
「突撃だ!ニコラシカ!貴様、元騎士団長ならばもっと迅速に動け!さらに降格するぞ!」
エレメント魔人国とトバン王国国境付近では今日も小競り合いが起きている。ほとんどが数百規模の部隊の遭遇戦であるが、これにカヴィラ領から派遣された騎士団が領主みずから率いて参戦していた。
「いまだ!ついて来い!」
「オクタビア様!危険です!お下がりを!」
「馬鹿め!指揮官が突撃せずに指示だけ出していればどうなるかはあの無能な元騎士団長を見ていれば分かるだろうが!大丈夫だ!なあ、シウバ!?」
いや、俺に振られても困るんですけど。
「いくぞぉぉ!!」
数日前にフェンリルと召喚契約を結んでからというもの、非常に機嫌がよい。
「まあ、今が好機なのは間違いないでしょうね。行くぞ、ナノ。」
「はいっ!」
俺のフェンリルの後ろにはナノが乗っている。シルキット団長ほどではないが、フレイムレインの威力は徐々に上がってきており、騎士団でも有数の破壊魔法の使い手になるのも近いのではないだろうか。今も群がるトバン王国兵を片っ端から迎撃しており、オクタビア様の周囲には近寄らせていない。
「逃がすな!追え!」
この小競り合いには勝ったようである。トバン王国の部隊は撤退していく。お互いにあまり損害はなさそうであるが、それでも数人の被害が出ていた。負傷者もそこそこいる。
「オクタビア様、深追いは禁物です。」
「ふむ、そうだな。このフェンリルに乗るとつい気持ちが高ぶってしまっていかん。」
数週間で召喚魔法のレベルをあげたオクタビア=カヴィラはこのフェンリルをいたく気に入っていた。
「これはいい、是非にも部隊長全員に召喚契約を結ばせて・・いや、むしろフェンリル騎乗専門の部隊を新設するか。レイクサイド召喚騎士団の第5部隊がそんな感じだしな。あれはいい。・・・ぶつぶつ。」
このカヴィラ領が傭兵業務を生業とする以上、最初はレイクサイド領やシルフィード領から援軍があるとしてもいつまでも頼り切る事は難しい。できればカヴィラ領独自の部隊を整えて、他の領地からも引き抜きを行いたいところである。
「援軍としてきてくれた召喚騎士団には砦の建設をお願いするとして、我らは早速派兵をする事としよう。忙しくする事で反乱なんて起こす気力も与えず、練兵も兼ねるのだ。」
引き連れてきた部下たちを鍛えなおすという目標があるために行動も迅速である。もともとの演技していた頃を知っている者たちからすると人が変わったようであるという。
「よし、部隊毎に損害の報告と遺体の収容、負傷者の手当を急げ。すべて済んだら帰還する。」
第6特殊部隊からの護衛としては俺とナノがついてきている。他の3人は要塞建設の手伝いにいってもらっているのだ。あいつらもノーム召喚くらいならできるし、ユーナは完全な戦力だ。
「シウバ、遊撃隊の設立が必要だな。できれば全員フェンリルに騎乗させたい。」
「王国からの援助があればなんとか契約はできるんではないでしょうか?」
「金ないんだよ。マジェスターとエリナを借りていいか?うちの連中を何人か連れて行って素材を手に入れさせよう。自給自足が必要だ。」
たしかに、契約素材は高額だ。援助でなんとかなるくらいなら自分で獲りに行って、その金は他に回した方が効率的である。
「それに、カヴィラ領にも冒険者ギルドの設立が必要だと思われる。力を貸してくれ。」
「分かりました。とりあえずはマジェスターとエリナに素材の回収班を設立させましょう。できればワイバーンに乗れるような部隊に仕上げたいですね。あれは2人乗りですから。」
「そうか、ワイバーンという手もあるな。むしろ、遊撃隊はワイバーンの方が・・・ぶつぶつ。」
非常に活動的な人物であるのは間違いない。今まで状況に拘束されていたのが解かれてやりたい事に溢れているようだ。
カヴィラ領に帰還すると要塞が半分程度完成していた。ここにはレイクサイド召喚騎士団から第1、3、4部隊が応援に駆けつけている。それぞれがクレイゴーレムやアイアンドロイドを召喚して人間のみの数十倍のスピードでの建設を可能にしていた。
「おぉ!これはすごい!もうここまでできたのか!?」
いつ見てもあり得ないスピードである。あれだけ巨大な召喚獣をこれだけの数働かせれば要塞であろうとも数日でできてしまうのは当たり前なのだが。
「そうだ、ここまで建設が進んでいるならば少し余裕もできてきているだろう。召喚騎士団の第4部隊に手伝ってもらって素材回収に行ってもらおうか。この近くにもダイアウルフを始めとしてなかなか魔物の数が多いと聞いているからな。お、フィリップ殿!いい所に来たな!ちょっと相談があるんだが・・・。」
領主みずから精力的に動くためにここは活気に溢れている。特に若い世代は親の世代のせいで左遷させられたと思っているために、実力で認められようと必死な奴らも多い。その中から領主直属の部隊として数名の選定はすでに終わっているようだ。これからまだまだ増えていく事だろう。逆に年寄りはすでに人生が終わったかのようにやる気がない。それを引退するように勧告していく作業もこれから続くのだという。前途は多難である。
「よし、召喚騎士団の第4部隊を貸してもらえた。明日からマジェスターとエリナにもそっちに加わってもらうようにしよう。素材回収班はそのまま遊撃隊として設立させたいからいまから人選に入る。シウバも手伝え。」
「あ、はい。」
かなり忙しい。寝る暇もなさそうだ。
「オクタビア様。レイクサイド召喚騎士団第2部隊アレクと言います。緊急にお伝えしたいことが・・・。」
素材回収班兼遊撃隊の人選を行っている最中にアレクがやってきた。緊急の知らせとは?
「ネイル国が「邪国」と同盟を結びました。後方の憂いがなくなりましたのでエレメント魔人国へ攻め入ってくる恐れがあります。」
「そうか、これからさらに忙しくなるな。我が方でも諜報部隊の設立を急がねばならんが、まだまだそこまではできない。レイクサイド召喚騎士団第2部隊には世話になる。」
「来週にはシルフィード騎士団アイシクルランスも上陸いたします。本格的な争いが始まる前に準備を急がれますように。」
「分かった。忠告はありがたく聞いておこう。」
「では。」
用件を済ませるとアレクはふっと消えていく。いつもどこにいるのか分からないやつだ。
「予定より遊撃隊の人員を増やそう。練兵を急いだほうが良さそうだ。明日の朝には出立するように指示しておく。とりあえずに部隊長はマジェスターに任そう。そのうち、我が領地から出さねばならんが今のところ適任がおらん。教育には時間がかかりそうだな。」
「ええ、分かりました。」
翌日、マジェスターとエリナは召喚騎士団の第4部隊の数名とともに素材回収に出かけて行った。戻ってくるのは数日後である。これは練兵も兼ねているので非常に効率が良い選択なのではないだろうか。そういえば召喚騎士団の第4部隊も年がら年中素材回収に行ってるな。
「ネイル国および「邪国」の合同軍がエレメント魔人国に侵攻しているようです。援軍の要請がありました。」
数週間後、カヴィラ領にはレイクサイド領およびシルフィード領から騎士団の派遣が完了していた。そしてそのタイミングで北での戦闘があったという。
「ついに「邪国」と交戦か。やつら、ものすごい強力な魔物を操るらしいからな。」
ものすごい強力な魔物か。厄介だな。
「シウバ、聞いたか?「邪国」の四騎将が乗っているのはテンペストウルフらしいぞ、なんでも西の大陸から連れてきたらしい。今回ネイル国と共に行動しているのは四騎将の一人「魔卒者」と「斬空」らしい。「調教者」と「策士」は確認されてないな。」
・・・え?西の大陸からテンペストウルフに乗ってやってきた?
オクタビ「山手線げーむぅぅぅ!!」
みんな「いえぇーいぃ!!」
オクタビ「お題は「邪国」!」
しうばー「厨二病!」
ゆーなー「四騎将!」
まじぇっち「テンペストウルフ!」
えりなー「西の大陸!」
なの「魔王の二つ名がダサい!」
おくたび「策士ババア!」
しうばー「いや、ちょっと待てよ!?それって!!っていうか今まで誰も気づかんかったんかい!」
おくたび「はい、シウバの負け。」




