4-4 カヴィラ領の新領主
あなたー!あなたー!
おかしいわね、ひさびさの前書き茶番だってのに。
あなたー!最近減り気味の読者の方がいらしてるわよー!
大量投与でついてきてくれなかった人が結構いたからって、引き籠ってるんじゃないわよー!
そりゃ作者もあわてて世界地図書いたくらいだから分からない人もいたでしょうけど、あんまり内容なかったから読み飛ばしてもらってるはずよー!
・・・ごめんなさいね。この前からブックマーク(何故か微増)がその日のユニークアクセス数(微減)のうちの9割を超えるようになって来てて(事実)落ち込んでるのよね。
あなたー!大丈夫よー!それでも楽しみにしててくれる変な人は結構いるわよー!
あ、ごめんなさい!
魔人族が世界を牛耳るようになって以降、純人のみの王国が世界を動かした唯一の時代が「アイオライの治世」である。アイオライ=ヴァレンタインが「帝王」と呼ばれた理由はその在位の間にヴァレンタイン王国が繁栄を極めたと言われているのが理由であるが、その立役者には各地の名領主の存在があった。「大召喚士」ハルキ=レイクサイドを筆頭とし、「名宰相」ジギル=シルフィードが名を連ねる。そして、後世の評価ではその次と言われており最も「帝王」を「帝王」として確立させたのが「愚者」オクタビア=カヴィラであった。
「親父、やりすぎたかな?計画は変更だな。しかし、これで良かったんだろう。」
エジンバラ領エジンバラ領主館。病床のタイウィーン =エジンバラを見舞うオクタビア=エジンバラ。本日をもってカヴィラの姓を名乗る男は側近を一人も連れずに訪れている。侵入経路は領主と次期当主のみが知る隠し通路であり、ここには異母兄弟のフェイス=エジンバラを含めて3人しかおらず、人払いがされている。タイウィーン派はこれがタイウィーンとフェイスの二人きりの相談だと信じきっており、オクタビア派は次期当主がここに加わっている事を予測できている者は皆無である。
「膿は全て連れていく。あの無能な騎士団長もだ。あとは頼んだぞ。」
頼まれたフェイス=エジンバラは無言で頷いた。
もともと、腐敗の続くエジンバラ領を改革しようとしたのはタイウィーン=エジンバラであった。しかし、長年に渡って根付いた腐敗はこの優秀で老獪な領主をもってしても拭い去る事が難しく、膨大な数に膨れた外戚の排除をある程度する必要があった。
しかし、上手くいかない。
中には非常に優秀で将来を期待していた人物もいたが、派閥争いに破れて命を散らしたり、疲れ果てて野に下るものもいた。能力があり志を持つ者ほど、権力争いに負ける傾向があるらしい。無能ものどもが唯一力を入れて努力するのが保身と権力にすがり付く事だった。
「俺がなんとかする。」
次期当主のオクタビア=エジンバラは優秀だった。彼は今のエジンバラ領を憂いていた。
「このままでは、シルフィード領あたりに地位を奪われる。最近新しく領主になったジギル=シルフィードは優秀だと聞いてるぞ。」
唯一エジンバラ領に対抗できると思われる領地は若い領主の下で改革が進んでいるらしい。
「フェイス、俺が失敗したらお前が次期当主だ。本日をもって人前でお前と親しく話す事はしない。唯一はこの部屋で親父と3人の時だけだ。そして、その際は俺がここにいる事を知られてはならない。いざと言う時は俺の首を刎ねるのを躊躇するな。」
その日を境にオクタビアは外戚を中心に派閥を作った。将来を見込んだものにはむしろタイウィーン派へと鞍替えするように誘導し、次期当主としての立場に群がってくる者を選別した。自然と古参の外戚が増え、卑劣な手段でタイウィーン派を排除しようとする者達もいた。御しきれずに毒殺し、それをタイウィーン派の仕業であると証拠もなく吹聴してみるなどをしたため、オクタビア自身の評判は地に落ちている。
そして、予想を覆して王国最大の領地の称号はレイクサイド領に持っていかれた。
「親父、レイクサイドから手を引け。潰されるぞ。それにこのままではこの関係もばれる。奴らの諜報が嗅ぎ付けるのも時間の問題だ。俺も当分は来ないことにしよう。」
裏でエジンバラ領がレイクサイド領と争い始めた矢先にオクタビアは父に忠告した。実際、諜報関係ではレイクサイド領に大きく差をつけられていた。この忠告がなければタイウィーンはレイクサイド領と全面的に争うつもりでおり、時の宰相であるクロス=ヴァレンタインはレイクサイド領を目の敵にしていた。本質を見抜く目は父親を越えていた。
エジンバラ領は荒れた。次期当主についていたのは古参の者達が多く、そのほとんどがオクタビアの新領主への抜擢を左遷ととらえた。改革を嫌う保守派が新天地への移動を容認するはずがない。
「オクタビア殿。忙しい時に申し訳ないが、シウバはすでにうちの召喚騎士団の人間となっている。どういう意味か分かるな?」
レイクサイド領主ハルキ=レイクサイドが釘を刺しに来たのは返って都合が良かった。
「もちろんです。シウバ=リヒテンブルグには手を出さない事を誓いましょう。代わりと言ってはなんですが、こちらのお願いを聞いて頂けないでしょうか?」
オクタビアにとって、これ以上の機会はなかった。
「おい、人払いだ。お前らも出ていけ。いや、ハルキ殿、せっかくなんでウインドドラゴンに乗せて頂くわけにはいかないでしょうか?上空なら盗聴の危険もないでしょう。」
丸腰の新領主は臆する事もなくウインドドラゴンに乗った。
「あなたなら、今のエジンバラ領の裏事情を話しても大丈夫でしょう。この事は来たるべき時期までアイオライ王にすら漏らさないで頂きたい。」
エジンバラ領の腐敗の歴史を語ったオクタビアは、改革に邪魔な保守派をカヴィラ領へと全て連れて行くつもりであると言った。その際に手荒い手段を取らねばならない事も。単純に武力が必要だった。新領主として、レイクサイド領に貸しができるのは仕方がない。アイオライ王も助けるようにと指示しているはずだ。これがオクタビア=カヴィラの構想だった。
「いいだろう。召喚騎士団の第5部隊を回そう。好きなように使え。」
こうしてオクタビア=カヴィラは自身の選んだ「膿」をカヴィラ領へと連れて行った。集められた貴族たちの中で真っ先に反対した叔父にあたる人物はオクタビア自ら首を刎ねた。召喚騎士団第5部隊に囲まれた貴族たちはそれ以上反抗するものはいなかった。
「卿らを左遷するというわけではない。新天地で働いてもらおうと言うだけだ。俺の演技も見破れないような無能どもは死ぬ価値すらないからな。」
評判の悪かったエジンバラの次期当主がカヴィラ領の新領主として最初にした仕事であった。
「おぉ!!狂犬か!久しぶりだな!」
北の魔大陸カヴィラ領、仮設領主館。俺たちは着任そうそうに新領主オクタビア=カヴィラの歓待を受けた。もう少しで30歳になろうかという若い領主であるオクタビア=カヴィラはマジェスターの元の主人と言ってもいい存在である。本来であれば気まずい関係であるはずだ。マジェスターは文句一つ言わずについてきているが・・・。
「オ、オクタビア様!雰囲気がずいぶんと変わりましたね。」
「あぁ、そうだな。もう猫被らなくてもいいからな、この裏切り者め。」
「ノ、ノートリオ家は代々リヒテンブルグ家の執事でありまして・・・。」
「あぁ、皆まで言うな。うっとおしい。そっちがシウバ=リヒテンブルグか。」
ずいぶんと前評判とは違うみたいである。そしてここに来るまでにエジンバラの保守派が完全に粛清されてほとんどカヴィラ領へ飛ばされたと聞いた。それを成し遂げたのがこのオクタビア=カヴィラ新領主らしい。
「レイクサイド召喚騎士団第6特殊部隊隊長シウバです。これからオクタビア様の護衛任務に就きます。よろしくお願いします。」
「うむ、オクタビア=カヴィラだ。いつぞやは我がエジンバラ領の騒動に巻き込んでしまってすまなかったな。まあ、あの程度で死ぬような奴でなくて良かった。」
むちゃくちゃな事言ってるな。
「我が領地はできたばかりであるし、部下は今にも反乱を起こそうとする信用ならん奴しかおらん。レイクサイド領とシルフィード領から騎士団を貸してもらってようやくだ。君らには期待しているし、できればカヴィラ領に来てもらえると嬉しいがそれはハルキ殿に駄目だと言われているからな。」
よく考えると新しい領地を治めるのにめちゃくちゃ条件悪いよな。部下が誰ひとり信用できないって、どれだけだよ。
「まあ、まずはそれぞれの貴族の当主を引退させるところから始めなきゃならん。若い奴を引き抜いて直属の部隊をつくる所からだな。それに早めにエレメント魔人国の戦争に加わって成果を出して連中の目を外に向けさせる必要がある。不満持ってる人間がごまんといるから護衛しっかり頼むぞ。」
・・・これはとんでもない任務を押し付けられたのではなかろうか?
人の名前を考えるのがつらい。もうすでにネタ切れですわ。ナトリ=スクラロとかその辺の飲料水の原材料名の欄からとってるしナトリウム=スクラロースってか?めちゃくちゃ化してるww




