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1-2 レイクサイド特殊雑用係

前回までのあらすじ!


エレメント魔人国ピンチ!


とりあえず、お前らだけでも先にいっとけ!


着いたよ!これまずいよ!


あのー、戦闘加わる?


え?まじでか!? ← イマココ!

 アレクはヴァレンタイン大陸にいるであろうハルキ様と連絡を取ると言う。どうやって?

「この魔道具だ。ある程度の距離ならば一方的にメッセージを送ることができる。魔石が必要だがな。」

魔石で言葉を送るのか。すごい魔道具だ、この距離でとどくというのだから。

「お前もそのうち使う事になるかもしれん。使い方を覚えておけ。」

アレクは魔道具に手紙を取り付けた。専用の布のようなものに書き込んでいる。

「そして使うにはこれがいる。」

は?そこそこでかい魔石だな。

「一回で一個だ。」

は?は?そんなでかい魔石をか?なんて贅沢な・・・。え?ほんとに?

「さすがレイクサイド領。金持ちはやることが違う・・・。」

財力って、すげえ。


「攪乱だ。俺たちは帝都の中に潜入する。シウバたちは包囲している魔人族の軍をできるだけ攪乱してくれ。無理はしなくてもいいが、帝都が陥落しづらくなる方法をとってくれ。」

レイクサイド領からの返信があったらしい。しかしアレク、それは無茶振りというやつではないのか!?

「シウバ様!行きますよ!」

待てぃ、マジェスター!お前は正面突破する気だろうが!

「それでは潜入がうまくいけば誰かが迎えに来る。最悪夜にはシェイドの後をたどれば俺たちに合えるようにしておこう。では、作戦開始だ。」

アレクたち第2部隊の連中はあっという間にどこかに行ってしまった。この包囲されている帝都にどうやって潜入するというのか。


「さて、落ち着いて考えよう。」

思考加速!この包囲陣に攪乱作戦をする目的は帝都が陥落しないようにするためだ。ようするに嫌がらせをしてやればいい。大群で帝都を囲んでいるが、こいつらがもっとも嫌な事はなんだろうか。逆に俺たちが帝都を囲んでいるとしよう。そしたら、一番やられたくないのはなんだろうか。こっちは数万の軍勢で、帝都はおそらく1万いるかどうか。十分な準備をしてきている上に兵の士気も悪くない。できれば早めに攻めたいところである。攻めるためにはどうすればいいか。むしろ何があったら攻められなくなるから注意しなければならないか。

「落ち着くまでもない。やる事は決まっている。狙いはメシだ!」

兵糧をなんとかすれば大軍は自然と崩壊するらしい。昔、ハルキ様がエレメント魔人国の侵攻の時に執拗に兵糧を狙って最終的にニルヴァーナ将軍率いる数万の軍を壊滅させた事があったっけか。まだ子供だったけど、あの時はヴァレンタイン王国の男全員が震えた。何せ数倍の魔人軍だ。1人でも魔力が強めであり、強いんだよ。実際、ナノとか純人に比べるとかなりの破壊魔法の使い手だ。この前シルキット騎士団長に手ほどきをしてもらってからというものフレイムレインを習得しやがって、調子に乗っている。

「エリナ!お前の出番だ!」


「ふふふふふふ、突撃!隣の陣の晩御飯!」

「何ですかぁ?それ?」

「よく分からんけど、テツヤ様がレイクサイドにメシ食いに来るときにハルキ様にいう「突撃!〇の晩御飯!」って合言葉を真似してみた。」

「シウバ様、あっという間に領主館の人達と仲良くなったんですねぇ?」

「違う、ハルキ様に振り回されてただけだ。くそホープめ、人使いの荒い奴・・・。」

特殊部隊任命後数日はハルキ様についていろいろな所に行ったからな。まさか、ハルキ様があんなに領地を抜け出すとは思わなかった。ヨーレンが「ようやく他の奴に押し付けられる!」とか言ってたのが何となく理解できる。まあ、役目は速攻でヨーレンにお返ししたわけであるが。

「さて、そろそろ行動を起こすとしようか。」

帝都を包囲している軍の兵糧庫は大きく二か所に別れていた。俺とユーナが南側、マジェスターとナノが東側に向かう。ナノがバニッシュを覚えているとは予想外だったけど、よく考えたら集落ではエリナと行動してた事も多かったっけ?

「フレイムレイン。」

小声で詠唱だ。バニッシュの他にサイレントもしているからと言って油断するのはどうかと思うしな。

「ふふふふふふ燃えろ燃えろ。」

威力低めの俺のフレイムレインでも兵糧庫に積んであった穀物は燃えていく。すぐに何人かの魔人族が気付いたみたいだが、死角からフレイムレインを追加して消火のための氷魔法以上に燃やしてやる。ある程度火に勢いが付いたら離脱だ。

「よし、エリナ。ずらかろう。」

「はぁい!!シウバ様!」

ふたたびエリナにサイレントとバニッシュをかけてもらって兵糧庫を後にする。マジェスターたちは上手くやっただろうか?すこし心配だから見に行こう。そして、俺はたまたま他にも思いついた事がある。


「はっはっはっは!アイスストーム!」

用事を済ませて東の兵糧庫の近くに行くと、マジェスターがご機嫌で軍勢と正面から戦っている。なぜだ!?

「こら!マジェスター!なんで目立っとんねん!」

「ああ、シウバ様!ふははは!どうです!立派に攪乱しているでしょう!?」

俺が完全に攪乱されてしまってる。

「すいません、暴走を止められず。」

「いや、むしろ今まで死なずにこれだけの相手をしていたことの方がすげえよ。」

周囲には数百人の魔人族が詰めかけてきていた。

「フレイムレイン!」

ナノも十分立派に応戦している。というか、2人のために兵糧庫も焼き払われ、かなりの損害を出しているようだ。かれこれ1時間は戦っているのではないか?

「これでもう十分だ!離脱するぞ!」

包囲軍の本陣も混乱しているようだ。少数で行動するのもこれが限界だろう。

「フェンリルを召喚しろ!ついて来い!」

4人はフェンリルに乗って戦場から離脱する。ナノは俺のフェンリルの後ろだ。本当にマジェスターもナノも死ななくてよかった。しかし、なんて人数だ。数万の軍勢は初めて見た。


 追手を振り切り、森を突っ切る。森を出たところでフェンリル2頭に乗り直し、エリナにバニッシュをかけてもらい戦場方向へと逆走する事にした。第2部隊が見つけやすい所にいなければならない。

「かなり、攪乱できたと思うんだけどな。」

特殊部隊の初陣としては立派な功績なんじゃないかな?ユーナ、褒めてくれるかな?


 そして夕方にアレクが迎えにきた。バニッシュとワイバーンで帝都の上から侵入するという子供だましで俺たちも潜入した。なんだよ、もっと秘密の抜け道とかかと思ったのに・・・。

「そうだ、アレク、兵糧庫焼き払う時に通りすがりの偉そうな人がいたから倒しといた。よく知らない人だったけど。」

「それならたまたまシェイドに見張らせてた人物だ。しかし、シウバ・・・、お前なぁ。」

「え?俺、なんかやっちゃった?」



「シウバたちがトバン王国の兵糧庫をほとんど焼き払った上に北部のネイル国の将軍を暗殺したようです。」

「は?」

「少なくともトバン王国は包囲を継続する事は難しいでしょうね。対してネイル国は指揮官を失ってしまい混乱しているようです。おそらく数日は帝都が攻められることはないでしょう。召喚騎士団の援軍は十分に間に合います。明日には第1、第3部隊が帝都に到着するでしょう。」

「・・・なんであいつら、そんなに優秀なんだよ?」

「それは、ハルキ様自ら発掘した人物ですから当然かと。特殊部隊とはいえ、初めて他領地から部隊長を引き抜いたわけですから。ただ我が第2部隊から現地に入った者も驚いています。アレクの報告もかなり驚愕したとの事でした。」

「ウォルター・・・、もしかしてシウバって強い?」

「フラン様とテツヤ様の剣を真正面から受けて反撃できるような奴ですから。10本中2本は獲られるとフラン様がおっしゃってましたよ。」

「・・・爺がか・・・。あいつそんなに強かったんだ。知らんかった。ただの雑用係くらいに思ってたんだけど・・・。」

「・・・・・・。」

「・・・・・・。」


仕事がぁぁぁ!!!締切がぁぁぁぁぁ!!なんでこんなに忙しいねんっ!!


オレオ「ようやく終わったぁぁぁ!!よし、データ送信と!そして帰宅時間まであと1時間!ようやく帰れるぜぇ!!」

上司「締切間に合った?」

オ「ういす!」

上「これって明日プレゼンだけど、直したい時はどうするの?」

オ「はい!プレゼンまでならいつでも直しに来てくれって言ってましたぜ!」

上「じゃあ、ここと、ここと、ここと、ここと、こことを直そうか。あと、いらないかもしれないけどこことここにもあれを追加しておいて。」

オ「え?」

上「え?」

オ「・・・。」

上「・・・。」

オ「御意。」


そして執念で帰宅時間までに直したオレオは今日も酒を飲む。酒がうめぇぜぇー!!


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