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3-3 山脈での死闘

大量投下第3弾!!

 夜になり、俺たちは行動を開始する。昼の間の仮眠もばっちりだ。

「バニッシュとサイレントをかけてくれ。」

「はぁい。」

エリナにバニッシュとサイレントをかけてもらい移動だ。ここから巣穴までは数十分で着く。それまでならば十分魔力が持つことは実証されていた。

「最初の一撃が肝心だ。ユーナとマジェスターにも薬を渡しておくから、巣の入り口の所で飲んでくれ。」

魔力増強ドーピングと身体強化ドーピングの薬は多めに持ってきてある。俺はそれに加えて補助魔法まで使う。準備はできるだけしておくのだ。

「いまの時間帯、青竜は寝ているはずだ。早めに移動しよう。」


 巣穴の入り口までくると、青竜のいびきが聞こえてきた。これは完全に寝ていると考えてよさそうだ。

「じゃあ、エリナはこの辺りで待機だ。もし、負傷する奴がいたら入り口付近まで逃げ帰ってくるから回復も頼む。」

そんな余裕があればいいんだけど。

「じゃあ、薬を飲んでいくとしますか。ユーナはもうケルビムの召喚しとく?」

「そうだね。薬飲んでからにする。」

魔力をできるだけ込めておきたいのだろう。他にもMP回復ポーションも渡してある。

『お呼びでしょうか、主よ。』

「いまから青竜を討伐するから、気配消しててね。」

『かしこまりました。・・・むっ!何故まだこの下種が!』

「貴様召喚獣の分際でシウバ様を下種と呼んだのか!?」

『誰だ貴様は!?我が主を守るのは私一人で十分!消え失せろ!』

「うるさいわ!青竜が起きたらどうするんだ!?」

まじで、この召喚獣どうしてくれようか・・・。


 あれだけ騒いでもサイレントのおかげで青竜には気付かれてないようだ。エリナはマジで優秀だな。

「よし、行こう。」

巣に入る。かなりでかい入り口だ。これならば青竜の巨体でも問題なく入る事ができる。しかし、入った瞬間にその空間に満ちた魔力を感じた。なんだ、これは?青竜の魔力が漏れて溜まっているのか?


「シウバ!」

ユーナに呼ばれて気付く。青竜のいびきが止まった。

「しまった!この空間自体が青竜と魔力でつながっている!起きたか!?」

洞窟の先で青竜の巨体が起き上がろうとしているのが見えた。

「やばい!飛ばれるまえに一撃入れるぞ!」

「はっ!「氷の槍」よ!!」

マジェスターが氷系魔法「氷の槍」を放つ。これはマジシャンオブアイスの得意技として最強の氷魔法にも挙げられているものだが、その使い手の魔力がそのまま反映されるというだけの魔法だ。弱い奴が放っても全く強力ではない魔法なのだ。しかし、マジェスターのそれはかなりの威力があった。

「グルオァァァァァァアアアア!!!」

効いている!青竜にもダメージを与えられるほどにマジェスターの魔力が上がっている!

「ケルビムっ!」

『はっ!』

ケルビムがその翼で飛んでいき、青竜に斬りつけた。鱗にやすやすと剣を突き立てる。あいつ、あんなに攻撃力が高かったのか!あの剣で斬られていたら本気で死んでたんじゃないのか!?おのれ!

「パワーアップ!スピードアップ!オフェンスアップ!」

補助魔法を使っての身体強化だ。これでかなり早く青竜まで到達できるはず。しかし、俺が到達するより早く青竜は飛び上がってしまった。

「しまった!間に合わなかったか!」

こちらで飛行能力があるのはケルビムである。マジェスターが上へ向かって氷の槍を放っているが、見下ろされるのはいささか不利だ。

「仕方ない。翼を斬れば地に墜ちるのを期待しよう。」



 オフェンスアップの時と同じ要領でアダマンタイト製の剣に俺の魔力を込めていく。込めるのは風の破壊魔法だ。イメージするのは空気の刃。切れ味を増した剣にさらに風の刃を纏わせる。そしてその刃は刀身を越えて切っ先は風の刃のみとなる。さらに伸ばす。

「こんな発想、誰もしないよな。」

・・・多分。もしかして、誰かがしてるかもしれないけど、俺は知らない。つまりは俺のオリジナルだ。

「技の名前って付けなきゃなんないのかな?」

青竜が俺を見下ろしている。あの巨体でこれから襲いかかってくるのだろう。俺に回避の方法はない。相手がでかすぎるからだ。では、これは迎え撃たねばならない。どうやって?そりゃもちろん。

「斬り落とすしかない!うらぁぁあ!!」

風の魔力を込めた一太刀の斬撃が飛んだ。剣に纏わせた特大の風の刃が上空の青竜の翼の付け根に当たり、その左の翼を根本から斬り裂いた。たまらず、青竜が地に墜ちる。しかし、これ、魔力の消費が半端ない。多用はできないな。

「いまだ!」

ユーナとケルビムが斬り込む。マジェスターも氷の槍を放つ。

「ユーナ!危ない!」

『させん!』

近くにいたユーナが青竜のしっぽで吹き飛ばされそうになるが、ケルビムががっちりと防御した。あの巨体の尻尾の攻撃を抑えるとか、どれだけの防御力なんだ。そういえば、俺の攻撃も通じなかったな。あのクソ天使。しかし、青竜は今度は頭でケルビムを突き飛ばした。あ、あれは死んだんじゃねえか?

「ケルビムっ!」

ユーナは回避できていたようだ。この隙に俺は首を狙う。ここしか切り落とせそうな場所はない。

「だらぁぁ!!」

次は剣に炎の破壊魔法を乗せる。これが最も純粋に攻撃力が上がる。刀身を伸ばしたり斬撃を飛ばしたりする事はできないけれどな。ザクゥっという感触とともに青竜の首に斬りつけた。一撃を受けた青竜が暴れまわる。俺も頭の一撃を受けて後方に吹っ飛ばされてしまった。

「シウバ様!!」

「シウバ!」


きっつぅー、頭がふらふらするぞ?そして、あれ?右足が変な方向に曲がってる。完全に折れたな、こりゃ。剣を手放さなかったのは我ながら上出来だ。

青竜は首から血を流しながらもまだ暴れていた。ユーナもマジェスターも上手い事これをかわしている。しかし、あの巨体だけにいつかは攻撃をくらってしまうかもしれない。早く、戦線に復帰しないと。

「痛ってぇ・・・。」

薬を飲んで回復魔法をかける。しかし、骨折が直るには時間がかかりそうだ。そしてあの二人では決め手に欠ける。もっと攻撃力を!

『主!大丈夫ですか!?』

後方からケルビムが戻ってきた。どこまで吹っ飛ばされてたんだよ、お前。

「おい、クソ天使。」

『お前に構っている暇などない!』

「俺をあの青竜の上まで連れて行け。」

こいつに運んでもらって斬りかかるしか移動手段がねえ。少し癪だが、今は非常事態だ。

『何故お前を!!』

「時間がねえ!ユーナがやられてしまってもいいのか!?」

『ぐぬぅ!!仕方あるまい!』

よし!おれを青竜の真上まで連れて行・・・なぜ首根っこを持つんだ!?ちょ、苦し・・・あぁ!ここから投げるつもりか!?まだ距離が!こらぁ!あ!あああぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!

『逝って来ぉぉぉいぃぃぃ!!』

なんて奴だ!そして青竜こっちに気付いてるじゃねえか!?お前が叫ぶから!!このクソ天使!ええい、思考加速!


 魔力を剣に通す。今まで何度もやってきた事だ。そしてその上に風の破壊魔法を足す。これで先ほどと同じ剣撃を放つ事ができる。さらに、俺はこの一撃に賭ける。この巨大な竜を確実に倒すために。おそらくはこの一撃が決まらなかったら撤退だ。俺は足がやられてしまってるから、動けない。フェンリル召喚してなんとかもがいてみようとは思うけど、おそらく逃げられないだろう。じゃあ、一番威力が乗るであろう攻撃をするべきなんだけど、何がいいだろうか。・・・なんて考えなくても決まっている。俺の二つ名だ。


「片手・・・風・・・剣舞!!」


 風の刃が剣舞によって無数の剣撃となって青竜に襲いかかる。一撃一撃に俺の魔力が込められている。思考加速によって全ての剣撃が青竜に向かうようにきちんとコントロールされて、さらにできるだけ急所に集中的に当たるようにしている。一撃で足りなくても二撃、三撃と重ねることによって、その威力は増大していくのだ。いくら青竜が硬くてでかくても、首を飛ばされて生きている魔物なんていてたまるか!?

「うぉぉぉぉぉおおおおお!!!」

俺って、叫んでばっかだな!!





「し、死ねる・・・。」

着地の事を全く考えてなかった。終わったあとに思考加速してみたけど何も思いつかなかったのだ。ケルビム砲で発射された俺はそのままの勢いで風の魔力を付加した剣舞を青竜の首に叩き込み、そして削り斬った。さらに後方まで勢いを削げなかった俺は飛んでいくこととなり、壁に激突してようやく止まった。魔力は完全に枯渇状態。指一本動けない。おそらく足だけじゃなくて、全身の骨が何か所も折れている。死ぬほど痛い。内臓がやられてなきゃいいけど・・・気絶してもいいかな?

「シウバ!やったね!」

「シウバ様!!うおおおぉぉぉぉ!!」

「やったぁ!シウバ様ぁ!!」

『ちっ、生きてたか・・・、まあ青竜を倒せたのは私の投擲力の賜物だな。』


 お、お前ら、喜んでないで回復魔法をかけてくれないかな?俺、死にそうなんだけど・・・。あとクソ天使許さん。



まだまだ続くよー。朝読んでる人は仕事とか学校に間に合うかなー?


最近、色んな賞がありますね。あれって、前作を応募したらプロの目で見てどのくらいの評価になるんだろう?って、思う事があるんですが感想くれるんですかね?でも酷評されたら凹むからやめとこ。

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