3-1 山脈の主
大量投下第1弾!!
前回までのあらすじ!!
クソ天使と訓練かなんかしてたはず! ← イマココ
思考加速は非常に便利なスキルだった。判断に迷った時なんてこれを使えばゆっくりと考えることができる。正確にはゆっくりと考えるのではなくてあっという間に考えがまとまるといった表現が正しいかもしれない。
「シウバ様!食糧事情の事ですけど!」
「シウバ様!テンペストウルフの調教が・・・。」
「シウバ様!造船技術を持った奴がいました!」
「シウバ様!」
「シウバ様!」
なんという事だろう。全ての案件を俺一人で考え抜いて処理できてしまった。
まず食糧事情の事からだ。これがなんとかならない限り、俺たちに未来はない。
「狩猟と採取でどの程度の改善があったんだ?」
これが意外にも多かった。まあ、今まではテンペストウルフに怯えながら採取と狩猟をしていたわけであり、思い切った遠征など皆無だったのだから収穫が増えるのは当たり前か。当面の目標の5割を超えるほどの収穫量があり、さらに遠征を続ければもっと収穫は増えるから今年くらいなら乗り切れそうだ。
「他に食糧の調達方法を考えなければならない。農業の方はどうだ?」
「穀物はすこしずつ畑を広げてます。なにせ今までは無理だった所まで広げられるようになった上に労働力も増えましたからね。」
農業は順調か。という事は来年も行けるのか。なんとかなった。少しだけ安堵感がある。なにせ食い扶持を減らすために戦争をしていたような地域だ。いつ誰が死ぬかもしれないと言われて慣れてない俺としてはかなり堪えるものがある。
「他にも家畜なんかを飼えればいいんだがな。」
すこし飼いやすい魔物なんかを家畜として飼ってしまえば定期的に安定した肉が手に入る。今の状態では狩りに行かねばならず、そして獲物が常にいるとは限らない。そしてテンペストウルフをはじめとして狩りは危険がつきものだ。できるだけ安全性をあげるためにも集団で行動してもらいたいが、それだと効率は落ちる。あくまで狩猟は食糧的には補助の立場まで持って行きたい。そのための農業であり畜産業だ。
「なにか、家畜になりそうな魔物でも考えてみてくれ。」
こういう事にフェルディは非常に役に立つ。テンペストウルフの調教が成功したのもこいつの功績がでかい。もともとは族長だった事もあって、食糧事情の深刻さも理解していてくれる。
「分かったぜ、大将。またいい奴がいたら捕まえてもらってくるさ。」
「エリナにも言っておくよ。」
そして魔物の捕獲はエリナの得意分野だ。あのパラライジーズがなければ捕獲という選択肢はなかっただろう。魔人族のなかにもパラライズを習得してもらうよう人員を選別するようにした。エリナ一人では心もとないからな。
「ナノ!造船技術を持った奴はどこにいる?」
「海岸の村にいます。いままでは小型の船しか作った事がないそうですけどね。」
操船技術はヒノモト国が非常に優れていると聞いた事がある。なんでも魔石を動力源にした帆がない船があるんだとか。
「帰る事も考えると、やはり南の山脈を攻略するのが近道か。」
青竜はかなりの強敵だったが、俺も強くなったしユーナもいる。やってやれない事はない?しかし、どうしても犠牲がでてしまう気がするために今すぐ挑むのは腰が引けてしまう。
「どうするか・・・。」
こうやって考えるときに思考加速が役に立つ。
まず青竜と対峙するためにそれなりのレベルの人間が必要だ。そしてその攻撃が通る人物でなければ単なる足手まといになってしまう。今のところ、青竜の鱗を貫いてダメージを与える事ができるのは俺とユーナくらいだ。マジェスターも多少は氷魔法で動きの制限などができるかもしれない。おそらくエリナのパラライズは効果がないだろう。他の魔人族なんかは論外。いまでもテンペストウルフの攻撃力に頼り切りになっているために、個人として攻撃力の高い者はいないのだ。すると俺とユーナとマジェスター、そしてユーナの召喚獣で戦いを挑むこととなる。戦場は空。空で戦うためにはユーナのようにワイバーンに乗らねばならないが、俺やマジェスターはワイバーンとの契約は結んでいない。なのでユーナがワイバーンを多く召喚して戦うという選択肢しかないように思えるが、それではユーナの召喚獣が減るもしくは弱い者へと代わってしまう。完全な戦力ダウンだ。俺が一撃で青竜を倒せるのであれば、それもいいだろうがおそらくは無理。理由は俺の剣よりもあいつの首がでかいから切り落とすことができないという事だ。これは致命的かもしれない。あれだけ大きいと、続けて攻撃を回避するのにも限界がある。相手のスピードをかなり上回っているのであればそれも可能なのかもしれないが、あの青竜は意外と速い。でなければ更なるレベルアップもしくは新たな攻撃手段の構築が必要となってくるわけであるが、これ以上のレベルアップは暇もなければやり方も分からん。ユーナが総魔力を上げるにも時間がかかるだろう。俺なんかはもっとかかるに違いない。そしてマジェスターの氷魔法が青竜に通用するまでに上がるのも同様だ。では新しい攻撃手段の事を考えよう。たとえば攻城兵器のような石を投げたりとかする魔力を使わない攻撃手段である。それであればなんとか木とかを伐り倒して作る事は可能かもしれない。しかし、肝心の威力が足りないのではないか?そもそもアイアンゴーレム3体の高度落下に耐えるような強度の体をしているのだ。生半可な攻城兵器では傷すらつかないだろう。そんな技術が求められる物を作り上げる事はできそうもない。そういえば、ゴーレム空爆であるが、アイアンゴーレム3体でダメージは多く与えられたな。つまり、4体、5体と増やしていけばいつかは倒せるのではないかと思われる。しかし、その4体5体を落下させるにはユーナ以外の召喚士が必要となっていまい、今の所それは無理と思われる。しかし、3体であれば可能であるのは証明されているために、まずはゴーレム空爆を成功させる作戦から入ってもいいかもしれない。青竜は前回空爆をくらっているから警戒しているかもしれないが、裏はかけるだろう。まずはそこからか・・・。
と、ここまでを一気に考える事ができるのだ。思考加速万歳。これは戦闘時以外にも重宝するぜ!
「飛行の問題と、威力の問題か。」
解決すべき問題は見えてきた。まずは威力を上げる事から解決していこう。
「マジェスター、お前の攻撃力では青竜戦では使えない。もっと上げろ。」
「なっ!?私の攻撃力が足りないと!?」
「その通りだ。このままでは「狂犬」でなく「小型犬」に二つ名を変えねばならん。」
「ぶふぅー!「小型犬」マジェっち!きゃははは!」
「ええい!うるさい!その名で呼ぶなとどれだけ言えば!!」
「エリナもこのままだと青竜には何一つ通用しないから留守番な!」
「えぇー!!そんなぁ!」
「分かりましたシウバ様!エリナはともかく私はこれから攻撃力を上げる特訓へと入ります!ノートリオ家の神髄をお見せいたしましょう!」
「エリナも負けないんだからぁ!」
よし、これでこいつらが少しでも強くなるのであれば儲けものだ。いざという時は俺とユーナの2人になってしまうけれど、その時は仕方ない。
「ユーナ!青竜と戦うとして、戦闘用の召喚獣を出した後にワイバーンを何頭まで召喚できる?」
「んー、戦闘時間にもよるけど、2頭・・・あまり積極的に戦わなければ3頭かな?」
やっぱり、そんなもんだよね。どうせケルビムあたりがごっそりと魔力持って行くんだろうけど。あのクソ天使め。
「じゃあ、やっぱり俺たちも飛行ができる何かを考えないといけないな。」
「青竜と、空で戦うの?」
「だって、飛んでるんだし・・・。」
「引きずり落とせないかな?」
引きずり落とす?ちょっと待って、思考加速っと。
引きずり落とすのは考えてなかった。それならばやりようがあるかもしれない。しかし、そもそも青竜は翼を切り落とせば落ちるのか?それとも魔力的な何かで飛んでて翼は見せかけだけかもしれん。それならば物理的に落ちるようにしてやったほうがいいかもしれないけれど大がかりな装置が必要になりそうだ。それはあの巨体相手では現実的ではないな。そうするとまずは翼を斬り裂く事、もしくは飛んでいられない場所で戦う事だ。あの巨体が入れる洞窟に逃げ込むのがいい。しかし、そんな所あるか?今の所は分からないな。あとで誰かに聞いておこう。他にも引きずり落とす手段としては何かないか?引きずり落とす。地上で戦う。・・・あれ?引きずり落とす必要すらない?地上で戦えればそれでいいんじゃない?
「ユーナ!いい事思いついた!これで青竜を倒せるかもしれない!」
さあさあ始まりました大量投下第1弾。
オレオはたまに仕事の合間でやる事なくて時間あったときに書き溜めるんでこういう事になります。前作も1日4話投稿とかやってた事もあったっけか?
まあ、投稿速度にはムラがあるし、誤字脱字も多いと思うけど、ゆっくりしってってねー。




